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シグナルベースドセリングは、ターゲット企業に表れたシグナル(検討の手がかり)をもとに、アプローチする順番と時期を決めるBtoBの営業の進め方です。
シグナルベースドセリング(英語ではSignal-Based Selling)は、ターゲット企業に表れたシグナルをもとに、アプローチする順番と時期を決める営業の進め方です。マーケティングの側から同じ考え方を指すときは、シグナルベースドマーケティングと呼ばれます。シグナルは、自社サイトへの来訪、サイトの外で調べているテーマ、役員の交代のような、検討の手がかりになる動きです。
展示会のリードには一通り連絡した。ターゲット企業の一覧もある。それでも、今月どの会社から連絡すればよいかは、担当者の勘で決まっている。シグナルベースドセリングは、この「どこから・いつ」を、表れた動きで決め直すための考え方です。
この記事では、意味とシグナルの種類に加えて、ターゲット企業を先に決めること、相手の行動を文面に書かないこと、営業の結果を戻して毎月数えることまで、始め方と定着のさせ方を紹介します。
目次
BtoBでのシグナルベースドセリングとは、ターゲット企業に表れたシグナルを手がかりに、アプローチする順番と時期、案内する内容を決める進め方です。
シグナルは、検討の手がかりとして扱います。資料の閲覧のような動きがあっても、その会社が購入を決めたとは限りません。情報を集めている担当者かもしれませんし、競合の調査かもしれません。シグナルは「どこから確かめるか」を決める材料で、確かめるのはインサイドセールスや営業の連絡です。
展示会やフォームで名前を残してくれる会社は、ターゲット企業のうちの一部です。多くの会社は、名前を残さないまま記事を読み、資料を比べ、社内で検討を進めます。名乗った会社の情報だけを見ていると、それ以外のターゲット企業のどこから確かめるかを、勘で決めることになります。シグナルは、名乗る前の動きに順番を付けるための材料です。
2つは同じ考え方で、使う人が違います。シグナルベースドマーケティングは、マーケティングがシグナルをもとに広告やメール、資料の案内を決めるときの呼び方です。シグナルベースドセリングは、インサイドセールスや営業が、シグナルをもとに連絡の順番と時期を決めるときの呼び方です。実際には、マーケティングと営業が同じシグナルを見て分担します。
変わるのは、確かめる順番・連絡する時期・案内する資料・振り返りの単位の4つです。
| 観点 | 一覧の順番で進める | シグナルを手がかりに進める |
|---|---|---|
| 確かめる順番 | 担当者が決めた一覧の順 | シグナルが表れたターゲット企業から |
| 連絡する時期 | 担当者の予定が空いたとき | シグナルの種類ごとに、表れてから何日以内と決める |
| 案内する資料 | どの会社にも同じ会社紹介 | シグナルから考えた課題に合う事例や資料 |
| 振り返りの単位 | 連絡した件数 | どの種類のシグナルから商談が生まれたか |
向いているのは、検討の期間が長く、関わる人が複数いて、ターゲット企業を数百社以内に絞れる商材です。単価が小さく、たくさんの会社に同じ商材を売る場合は、1社ずつ確かめる手間に見合わないことがあります。
シグナルは、自社サイトの中の動き、サイトの外で調べているテーマ、会社の出来事の3つに分けられます。 見る場所と、分かることが違います。
| 種類 | 例 | 分かること | 単位 | 見る場所 |
|---|---|---|---|---|
| 自社サイトの中の動き | 来訪した企業、見たページ、資料の閲覧、セミナーへの申し込み | 自社の商材やコンテンツに、どの会社が接点を持ったか | 企業(来訪)と担当者(資料・フォーム) | MAの通知、アクセス解析、フォームの送信 |
| サイトの外で調べているテーマ | 「インサイドセールス 立ち上げ」「外観検査 自動化」のようなテーマを調べている会社 | 自社サイトに来る前に、どんな課題を調べているか | 企業 | インテントデータ |
| 会社の出来事 | 事業部長の着任、営業企画部の新設、データ分析の担当者の募集 | 予算や担当が変わりそうな時期 | 企業 | 相手のサイトのお知らせ、IR資料、採用ページ |
サイトの外で調べているテーマは、インテントデータと呼ばれるデータから分かります。仕組みは「インテントデータとは?BtoBマーケ・セールスでの種類と取得方法」で解説しています。
自社サイトの中の動きは、自社の商材やコンテンツに接点を持った動きです。ただし、まだ自社を知らない会社は表れません。サイトの外のテーマと会社の出来事は、自社を知る前の会社の動きを拾えます。3つを組み合わせると、どこから確かめるかの順番を付けやすくなります。
表れた動きのすべてが、順番を決める材料になるわけではありません。採用ページやIRのページだけを見に来た会社は、転職や投資の調べものかもしれません。サポートのページへの来訪は、既存の顧客であることが多い動きです。競合の会社からの来訪や、半年以上前の出来事も、順番を決める材料から外します。
MAやSFAのような手元のデータだけでは、ターゲット企業の動きを数えられない場所が3つあります。
1つめは、名乗る前の会社です。サイトの外で調べている間や、サイトに来ても名前を入力していない間は、どの会社かが分かりません。2つめは、社内で比べている間です。担当が替わったり、別の人が資料を見に来たりしても、その動きは担当者ごとのデータに分かれて残ります。
3つめは、営業に引き継いだあとです。商談・検討中・保留・見送りの結果がマーケティングに戻らないと、どのシグナルから商談が生まれたかを確かめられません。1つめと2つめは企業単位の来訪と調べているテーマで補い、3つめはSFAに結果を書く欄を作って自社で埋めます。
ターゲット企業を決め、見るシグナルを選び、シグナルごとの施策と期限を決め、文面を相手の課題で書き、結果を戻して数えます。
シグナルを見る前に、どの会社のシグナルを見るかを決めます。受注した会社の業種・規模・事業部を書き出して条件にし、会社の名前まで決めます。条件の書き方は「ICP(理想顧客プロファイル)とは?」で紹介しています。
3つの種類の中から、自社の商材とつながるシグナルを3〜5つ選びます。たとえば、導入事例のページの閲覧、商材に近いテーマの調べもの、該当する部署の新設、のように具体的に書きます。選ばなかった動きは見ない、と決めることで、確かめる会社の数が連絡できる数に収まります。
来訪や調べているテーマは、会社の単位で表れます。連絡する相手は、SFAにある過去の接点や、テーマに関係する部署の役職から決めます。担当者が分からない会社は、マーケティングが企業単位の広告や業種別の資料で接点をつくります。
| シグナル | 誰が | 何日以内に | 何をする |
|---|---|---|---|
| 担当者の資料の閲覧 | インサイドセールス | 3営業日 | 資料に関係する事例を添えて連絡する |
| 会社の単位の来訪・調べているテーマ | マーケティング | 2週間 | 企業単位の広告と業種別の資料で案内する |
| 事業部長の着任・新部署の設置 | 営業 | 1か月 | 公開された出来事に触れて、役職の課題で連絡する |
日数は架空の例です。新しく着任した事業部長が方針を固めたあとや、資料の閲覧から何週間もたったあとでは、確かめる意味が薄れるため、種類ごとに期限を決めます。
営業メールやフォームの文面は、相手の事業、役職に関係する課題、役立つ情報で組み立てます。行動のシグナルは、連絡の順番と、案内する資料を選ぶためだけに使い、文面には出しません。公開されている出来事であれば、書き出しで触れてもかまいません。
架空の例で比べます。書いてよいのは「10月に営業企画部を新設されたと、貴社のお知らせで拝見しました」のような書き出しに、その部署の役職で起きやすい課題と、関係する事例を1つ添える文面です。書かないのは、自社サイトのどのページを相手が見たかに触れる文面です。
インサイドセールスと営業は、連絡の結果を「商談・検討中・保留・見送り」から選んでSFAに書きます。毎月、シグナルの種類ごとに商談になった社数を数え、見る対象から外すかどうかは3か月分の数字で判断します。
見送りや反応の無かった会社も、ターゲット企業からは外しません。時期が合わなかっただけの会社は、次のシグナルが表れたときに、改めて確かめます。
ターゲット企業の条件に合うかと、シグナルが表れているかの2つで分け、両方がそろった会社から確かめます。
条件に合い、シグナルも表れている会社は、インサイドセールスがすぐに連絡する対象です。その中では、種類の違うシグナルが重なっているか、同じ会社で複数の担当者に動きがあるか、表れてから日が浅いかの順に確かめます。重なっていても、検討の段階は連絡して相手に聞いて確かめます。
条件に合うのにシグナルが無い会社は、未アプローチのまま残りやすい会社です。マーケティングが広告や業種別の資料で接点をつくります。来訪した企業のデータには、条件に合わない会社も表れます。その中に受注した会社と似た会社が多ければ、ターゲット企業の条件を見直す材料にします。条件に合わず、シグナルも無い会社は、対象にしません。
優先順位は、会社の単位で付けます。同じ会社の3人が資料を見ていれば、担当者のリードとしては3件でも、アプローチする会社としては1社です(架空の例)。同じ会社の役職の違う2人に連絡するときは、担当を1人に決め、同じシグナルでも役職の課題で書き分けます。
ツールを入れるだけでは、現場はシグナルを見ません。現場が感じる3つの壁ごとに手当てをし、リーダーが使い、小さく始め、褒める基準を変えます。
1つめは、監視されていると感じることです。シグナルの画面や入力の決まりが、自分の仕事を見張る道具だと受け取られると、営業担当者は使おうとしません。最初に、見るのは相手の会社の動きで、担当者の活動量ではないと伝えます。
2つめは、経験を否定されたと感じることです。「この一覧の会社に連絡してください」と指示されると、自分の勘を否定されたように感じる人がいます。勘で気になっていた会社が、商材に近いテーマを調べていると分かれば、連絡する理由が1つ増えます。勘を確かめる材料として、シグナルを渡します。
3つめは、手間です。新しい画面の見方を覚え、シグナルを読む時間が連絡の時間を圧迫すると感じれば、慣れたやり方に戻ります。見る日は週1回に決め、入力は結果の4つから選ぶ欄だけにします。
手がかりのある会社から確かめれば、まったく接点の無い会社に連絡する時間を減らせます。連絡の理由が言える会社から当たれるので、断られ続ける負担も軽くなります。会社の管理のためでなく、営業担当者の時間の使い方のための仕組みだと伝えます。
1. リーダーが使う:部長やマネージャーが、なぜ今このやり方に変えるのかを、相手の買い方の変化と現場の負担の話で説明します。そのうえで、会議でシグナルの画面を開き、「この会社に連絡した?」と聞きます。リーダーが勘だけで聞いているうちは、部下もシグナルを見ません。
2. 小さく始める:新しいやり方に前向きな人と、周りへの影響が大きい人を数人選び、先に始めます。シグナルをきっかけに商談になった例が1つできたら、全体の会議で紹介します。
3. 褒める基準を変える:最初の数か月は、売上の金額だけでなく、シグナルをもとに連絡したことと、結果をSFAに書いたことを、朝会やチャットで褒めます。慣れてきたら、評価の項目にも入れます。
よくある失敗は、連絡の担当が決まっていない、見るシグナルを絞っていない、シグナルを購入の意向と決めつける、文面で相手の行動に触れる、の4つです。
画面には表れているのに、誰がいつ連絡するかが決まっていないと、確かめられないまま日がたちます。ステップ3の表で、シグナルごとの担当と期限を決めます。
ターゲット企業の数だけ、毎週どこかに動きがあります。全部を見ようとすると、確かめる会社が連絡できる数を超えます。ステップ2で絞り、3か月ごとの振り返りで入れ替えます。
「料金ページを何度も見ているから、予算の話が進んでいるはずだ」と決めつけて連絡すると、相手の状況と話がかみ合いません。シグナルは確かめる順番を決める材料で、検討の段階は連絡して相手に聞いて確かめます。
相手が見たページや資料に文面で触れると、相手は見張られていると感じます。行動のシグナルは、順番と資料を選ぶためだけに使い、文面には書きません。
ICPでターゲット企業の条件を決め、ABMで会社ごとのアプローチを設計し、インテントデータでサイトの外のシグナルを見ます。
今日できることは、過去3か月に商談になった会社を5社選び、商談の前にどんな動き(資料の閲覧、セミナーの参加、事業部長の着任など)があったかを1行ずつ書き出すことです。5社に共通する動きが、最初に見るシグナルの候補になります。
ウルテク(URUTEQ)は、ABM(アカウントベースドマーケティング)の考え方で、ターゲット企業からの商談獲得を仕組み化するBtoBマーケティング・営業支援サービスです。マーケティング施策の結果、営業の対応、サイトの外で調べているテーマを企業ごとに分析し、アプローチの抜け漏れと、商談につながった施策を解析します。毎月の定例で商談の結果を確かめ、翌月の施策に反映します。
手元のデータでは数えられない3か所と、ウルテクが受け持つデータの種類は、「GTM戦略ガイド」の17・18ページで図にしています。
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