ABMとは?アカウントベースドマーケティングの意味と3つの型

この記事のポイント

ABMとは、売りたい相手を会社(アカウント)の単位で先に決め、その会社にマーケティングと営業が分担して連絡・提案するBtoBマーケティングの進め方です。

あなたの会社の会議で「うちもABMで」と言われた。MAは入っているし、インサイドセールスもいる。では、ABMは何が新しいのか。ここで言葉の意味があいまいなまま進むと、ツールを1つ足して終わることがよくあります。

ABMで先に決まっているのは、連絡する相手の会社です。人を集めてから相手を選ぶやり方とは、最初の一歩が違います。

この記事でわかること
  • ABM(アカウントベースドマーケティング)の意味と、ABMで使う言葉
  • ABMとMA・インサイドセールス・デマンドジェネレーションの関係
  • ABMの3つの型(ストラテジックABM・ABMライト・プログラマティックABM)
  • ABMを始めるかを決める3つの問いと、よくある4つの誤解

ABMとは?アカウントベースドマーケティングの意味

ABMとは、売りたい相手を会社(アカウント)の単位で先に決め、その会社にマーケティングと営業が分担して連絡・提案するBtoBマーケティングの進め方です。ABMは Account Based Marketing の略で、アカウントは取引先の会社を指します。

Adobe の製品ドキュメントも、ABMを「企業やアカウント全体をターゲットにして販売する」マーケティングの戦略と説明しています(出典:Adobe Experience League「アカウントベースのマーケティングの概要」)。

大企業を相手にする場合は、1つの会社をそのまま1アカウントにせず、事業部やグループ会社の単位で数えることもあります。同じ社名でも、事業部ごとに予算と決める人が違うからです。

ABMは、売りたい会社を先に決め、その会社にマーケと営業が分担して連絡する1 売りたい会社(ターゲットアカウント)を先に決める、2 マーケが広告・メール・資料を届ける、3 営業が電話・訪問で連絡する、4 その会社と商談する(商談の社数で見る)。リード獲得型は人を集めてから連絡する相手を選び、ABMは先に会社を決めてから届ける。ABMは、売りたい会社を先に決め、その会社にマーケと営業が分担して連絡する1売りたい会社を先に決めるターゲットアカウント2マーケが資料を届ける広告・メール・資料3営業が連絡する電話・訪問4その会社と商談商談の社数で見るリード獲得型:人を集めてから、その中で連絡する相手を選ぶABM:先に会社を決めてから、その会社の人に届ける
図1:ABMは、売りたい会社を先に決めてから、マーケと営業が分担して連絡・提案する

先に会社を決めるので、ABMでは成果も、集めた人の数より、選んだ会社のうち何社と商談になったかで見ます。

ABMで使う言葉の意味(ICP・購買グループなど)

ABMの話でよく出る言葉は、次の6つです。

言葉 意味
アカウント 取引先の会社
ターゲットアカウント ABMで先に決めた、売りたい会社。ターゲット企業とも呼ぶ
ICP(理想的な顧客プロフィール) ターゲットアカウントを選ぶ条件。業種・規模・売りたい部署など
購買グループ 1つの会社の中で、導入を決めるまでに関わる人たち(使う部署・情報システム・決裁者など)
来訪企業 自社サイトを訪れた会社。人の名前ではなく、会社の単位で記録する
インテントデータ 会社がどのテーマを調べているかが分かる行動のデータ。購入の予定ではなく、検討の手がかりとして扱う
ABMで使う言葉と、売りたい会社との関係ICP(業種・規模・部署などの、会社を選ぶ条件)でターゲットアカウント(先に決めた、売りたい会社)を選ぶ。その会社の中に購買グループ(導入を決めるまでに関わる人たち)がいる。来訪企業(自社サイトを訪れた会社)とインテントデータ(会社が調べているテーマ)から、その会社の来訪と調べているテーマが分かる。ABMで使う言葉と、売りたい会社との関係ICP会社を選ぶ条件業種・規模・部署選ぶターゲットアカウント先に決めた、売りたい会社購買グループ導入を決めるまでに関わる人たち来訪企業自社サイトを訪れた会社インテントデータ会社が調べているテーマ来訪とテーマが分かる
図2:ICP・ターゲットアカウント・購買グループ・来訪企業・インテントデータと、売りたい会社との関係

ICPの決め方は「ICP(理想的な顧客プロフィール)とは」、購買グループの誰に、どの順で連絡するかは「バイインググループマーケティングとは」の記事で詳しく書いています。

ABMとMA・インサイドセールスとの違いは?

ABMは売りたい会社を先に決めて連絡・提案する進め方で、MAはメールや資料を人に届ける道具、インサイドセールスは電話やメールで連絡する担当です。MAとインサイドセールスはABMの中で使い、デマンドジェネレーションはABMと並行して続けます。

言葉 種類(進め方・道具・担当・活動) 記録の単位 ABMとの関係
ABM 進め方 会社 売りたい会社を先に決めて、連絡・提案する(この表の基準)
リード獲得型(リードベースドマーケティング・LBM) 進め方 人(リード) ABMと順番が逆。人を集めてから、営業が連絡する相手を選ぶ
MA(マーケティングオートメーション) 道具 人(リード) ABMの中で使う。決めた会社の人に、メールや資料を届ける
インサイドセールス 担当(組織) 人と会社 ABMの中で使う。選んだ会社に、電話やメールで連絡する
デマンドジェネレーション 活動 人(リード) ABMと並行して続ける。リード獲得型の中で、見込み客を集めて育てる
ABMの枠の中で使うものと、ABMと並行して続けるものABMは、売りたい会社を先に決めて連絡・提案する進め方で、記録は会社の単位。その中で、MA(道具:人にメールや資料を届ける)とインサイドセールス(担当:選んだ会社に電話やメールで連絡する)を使う。デマンドジェネレーション(活動:見込み客を集めて育て、営業に渡す)はABMと並べて使う。ワンツーワンマーケティングは1人ずつに合わせ、ABMは会社ごとに合わせる。ABMの枠の中で使うものと、ABMと並行して続けるものABM(進め方)売りたい会社を先に決めて、連絡・提案する(記録は会社の単位)道具MA人にメールや資料を届ける担当インサイドセールス選んだ会社に電話やメールで連絡する活動デマンドジェネレーション見込み客を集めて育て、営業に渡すABMと並行して続ける似た言葉:ワンツーワンマーケティングは1人ずつに合わせ、ABMは会社ごとに合わせる
図3:ABMの枠の中のMA・インサイドセールスと、枠の外のデマンドジェネレーション

ABMを契約の後まで広げたABXとの違いは、「ABXとは?ABMとの比較」の記事で、表にしています。

ABMの3つの型は?1社・数社・多数の会社に合わせる違い

ABMは、会社ごとにかける手間の大きさで、1対1のストラテジックABM、1対少数のABMライト、1対多のプログラマティックABMの3つの型に分かれます。上の型ほど1社にかける手間が大きく、下の型ほど多くの会社に同じ広告や資料をまとめて届けます。英語では Strategic ABM、ABM Lite、Programmatic ABM と呼ばれることがあります。

ABMの3つの型は、1社にかける手間の大きさで分かれる上から、ストラテジックABM(1対1:重点の会社ごとに提案を作る)、ABMライト(1対少数:業種が同じ会社に共通の資料を届ける)、プログラマティックABM(1対多:会社の一覧に向けて広告などを届ける)。上ほど1社にかける手間が大きく、下ほど多くの会社に広告などをまとめて届ける。ABMの3つの型は、1社にかける手間の大きさで分かれるストラテジックABM(1対1)重点の会社ごとに提案を作るABMライト(1対少数)業種が同じ会社に共通の資料を届けるプログラマティックABM(1対多)会社の一覧に向けて広告などを届ける1社にかける手間が大きい多くの会社に広告をまとめて届ける
図4:ABMの3つの型(ストラテジックABM・ABMライト・プログラマティックABM)
  • ストラテジックABM(1対1):重点の会社ごとに、提案や資料を個別に作る
  • ABMライト(1対少数):業種や課題が同じ会社に、共通の資料やセミナーを届ける
  • プログラマティックABM(1対多):会社の一覧に向けた広告などを、まとめて届ける

1対多の型でよく使うのが、会社の一覧に向けて広告やメールを届けるキャンペーン(アカウントベースのマーケティング・キャンペーン)です。3つの型は、重点の会社には1対1、残りの会社には1対多のように組み合わせて使えます。型ごとの社数の目安と、会社を型に振り分ける手順は、ABM戦略の記事のステップ3にまとめています。

BtoB企業がABMを選ぶ理由と、始めるかを決める3つの問い

BtoB企業がABMを選ぶのは、複数の部署が導入を決める商材では、1人のリードを追っても会社の決定に届かないからです。自社サイトのアクセス記録やインテントデータで、会社ごとの検討の様子を確かめる方法が増えたことも背景にあります。

始めるかどうかは、複数の部署が関わるか、売りたい会社を絞れるか、会社ごとに来訪やテーマが分かるか、の3つの問いで決めます。3つめの問いは、どの会社から先に連絡するかも決めます。

ABMを始めるかと、先に連絡する会社を3つの問いで決める問い1 導入を決めるまでに複数の部署が関わるか。いいえなら人を集める進め方(リード獲得型)を続ける。問い2 売りたい会社を業種と規模で絞れるか。いいえなら先に受注した会社の条件(ICP)を言葉にする。問い3 会社ごとに来訪や調べているテーマが分かるか。いいえなら、営業が電話で関心を確かめた会社から順に連絡する。すべてはいなら、ABMで進め、先に連絡する会社も決められる。ABMを始めるかと、先に連絡する会社を3つの問いで決める導入を決めるまでに、複数の部署が関わる?人を集める進め方(リード獲得型)を続けるいいえはい売りたい会社を、業種と規模で絞れる?先に、受注した会社の条件(ICP)を言葉にするいいえはい会社ごとに、来訪や調べているテーマが分かる?営業が電話で関心を確かめた会社から順に連絡するいいえはいABMで進める(先に連絡する会社も決められる)
図5:ABMを始めるかを決める3つの問いと、「いいえ」のときにやること

個人や小さな会社にも広く売り、相手の会社を選ばない商材なら、1つめの問いで「いいえ」になります。その場合は、人を集める進め方(リード獲得型)を続けます。向いている会社の見分け方は、「ABM戦略とは?進め方6ステップ」の「ABMはどんな会社に向いている?向いていない条件は?」の表でも確かめられます。

ABMでよくある4つの誤解は?

ABMでよくある誤解は、「大企業しかできない」「ツールを入れれば始まる」「リード獲得をやめることだ」「マーケだけで進められる」の4つです。実際は次のとおりです(図6)。

  • 大企業しかできない → 自社が大企業でなくても、売りたい会社を絞れる商材なら進められる
  • ツールを入れれば始まる → ツールを比べる前に、マーケと営業の役割分担と、営業に毎週渡す会社の数を決める
  • リード獲得をやめることだ → リード獲得と並べて使い、選んだ会社から来たリードを先に扱う
  • マーケだけで進められる → 営業の連絡の結果がマーケに戻らないと、どの施策が商談につながったか分からない
ABMでよくある4つの誤解と、実際大企業しかできない→自社が大企業でなくても、売りたい会社を絞れる商材なら進められる。ツールを入れれば始まる→ツールを比べる前に、マーケと営業の役割分担と、営業に毎週渡す会社の数を決める。リード獲得をやめることだ→リード獲得と並べて使い、選んだ会社から来たリードを先に扱う。マーケだけで進められる→営業の連絡の結果がマーケに戻らないと、どの施策が商談につながったか分からない。ABMでよくある4つの誤解と、実際よくある誤解実際大企業しかできない自社が大企業でなくても、売りたい会社を絞れる商材なら進められるツールを入れれば始まるツールを比べる前に、マーケと営業の役割分担と、営業に毎週渡す会社の数を決めるリード獲得をやめることだリード獲得と並べて使い、選んだ会社から来たリードを先に扱うマーケだけで進められる営業の連絡の結果がマーケに戻らないと、どの施策が商談につながったか分からない
図6:ABMでよくある4つの誤解(左)と、実際(右)

ABMを始めるとき、最初に決めることは?

ABMを始めるときに最初に決めるのは、売りたい会社の条件(業種・規模・売りたい部署)です。条件が決まると、ターゲットアカウントの一覧と、会社ごとにかける手間の型が決められます。

当社の製品ウルテクを使うレクシスネクシス・ジャパン様は、マーケティングから営業へ渡す会社を毎週5件と決めました。

導入事例には、その結果が「週5件に厳選したリストから、好調時は半数以上が商談化」と書かれています(出典:レクシスネクシス・ジャパン様の導入事例)。売りたい会社の条件が具体的なほど、営業へ渡す会社も絞れます。

ターゲットアカウントの決め方から商談の数え方までの6つのステップと、ABMのメリット・デメリットは、「ABM戦略とは?進め方6ステップ」にまとめています。ABMで使うツールの4種類と主な16製品の比較は、「ABMツール比較|16製品の4種類の違いと選び方」にあります。

ABMのよくある質問

ABMとは何ですか?
Account Based Marketing の略です。取引先の会社(アカウント)を単位に、提案する相手の会社から先に決めるBtoBマーケティングを指します。
ABMは日本語で何といいますか?
「アカウントベースドマーケティング」とカタカナで書くことが多く、意味をとって「企業単位のマーケティング」と言い換えることもあります。
ABMのメリットとデメリットは?
メリットは同じ会社への二重の連絡が減ること、デメリットはターゲットアカウントの一覧と施策の記録を毎月更新する手間です。詳しくはABM戦略の記事で比べています。
ABMとABXの違いは何ですか?
ABMは契約までを、ABXは契約後の継続や追加の取引までを対象にします。ABXでは導入後の支援の部署も、ABMと同じターゲットアカウントの一覧を使います。
ABMとMAの違いは何ですか?
MAはメールの開封や資料の閲覧を人ごとに記録する道具です。ABMではその記録を会社ごとにまとめ、営業が先に連絡する会社を選びます。

まとめ:ABMの意味・3つの型・最初に決めること

  1. ABMの意味:売りたい会社を先に決め、その会社にマーケティングと営業が分担して連絡・提案する進め方です。
  2. 3つの型:1社にかける手間の大きさで、ストラテジックABM・ABMライト・プログラマティックABMに分かれます。
  3. 最初に決めること:売りたい会社の条件(業種・規模・売りたい部署)を決めると、一覧と型が決まります。

あなたの会社で、売りたい会社の条件は言葉になっているでしょうか。条件が決まっていれば、ABMはその一覧を作るところから始められます。

当社(ログリー)のウルテクは、自社サイトを訪れた会社と、その会社がサイトの外で調べているテーマ(検討の手がかり)を、会社ごとにまとめる製品です。あなたのチームでターゲットアカウントの一覧ができたら、その一覧の会社が自社サイトに来ているかを確かめるところから使えます。

著者紹介
URUTEQ 編集部
ウルテクお役立ちコンテンツの編集部

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