ABMツール比較|4種類の違いと13製品・選び方【2026年】

この記事のポイント

ABMツールは企業データベース型・広告配信型・インテント型・MA型の4種類です。止まっている段階で比べ始める種類を決め、6つの観点で2〜3製品に絞ります。

ABMツールとは、ターゲット企業ごとに情報を集め、マーケティングと営業が同じ会社にそろってアプローチするためのツールです。中身は、企業データベース型・広告配信型・インテント型・MA型の4種類に分かれ、種類ごとに分かることとできることが違います。

比較サイトで気になった製品のページを1つずつ開くと、企業データの件数、インテントデータ、広告、MAの機能が、製品ごとに違う言葉で並んでいます。比べる軸がないまま1製品だけを調べても、自社の課題に合うかどうかは決まりません。

この記事では、4種類を同じ項目で並べ、自社の課題がターゲット企業の設定・最初の接点づくり・リードからの商談化のどこにあるかで、比べ始める種類を決める方法を紹介します。比べる6つの観点と主な13製品の比較表も載せ、2〜3製品に絞って導入の理由と費用を社内で説明するところまでを扱います。

この記事でわかること
  • ABMツールとは何か、MA・SFA・CRMとの違い
  • 4種類(企業データベース型・広告配信型・インテント型・MA型)で分かること・できること
  • 止まっている段階から、比べ始める種類を決める方法
  • 企業データ・部署と人物・営業準備・CRM連携など、比べる6つの観点
  • 主な13製品の比較表と、種類を組み合わせる考え方

ABMツールとは?MA・SFA・CRMとの違い

ABMツールは、ターゲット企業を会社の単位で見て、マーケティングと営業のアプローチをそろえるための道具の総称です。

ABM(アカウントベースドマーケティング)は、取引したい会社を先に決め、その会社の担当者に合わせて施策と営業の対応を組む考え方です。ABMツールは、その考え方を実行するときに足りない情報や手段を補います。

似た名前のツールとの違いは、何の単位でデータを持つかです。

ツール主に持つデータの単位受け持つ範囲
ABMツールターゲット企業(会社)会社の情報、会社の関心の手がかり、会社ごとの施策の反応
MA名前の分かったリード(人)メール・フォーム・スコアでのナーチャリング
SFA商談商談の段階、金額、受注の見込み
CRM取引先と担当者契約と対応の履歴

MAは名前の分かった人を、SFAは商談を、CRMは取引のある会社を中心に持ちます。まだ名前の分からない人がいる会社や、商談になる前の会社の動きは、どれにも入りにくい部分です。ABMツールは、そこをターゲット企業の単位で埋めます。

ABMツールの4種類とは?分かることとできること

ABMツールは、企業データベース型・広告配信型・インテント型・MA型の4種類に分かれます。 違いは、会社の属性と会社や人の動きのどちらをもとにするかと、分かることを増やすのか働きかけるのかの2点です。

ABMツールの4種類を2つの軸で分けた図。横軸はもとにする情報で、左が会社の属性、右が会社や人の動き。縦軸はツールの役割で、上が分かる、下が働きかける。左上は企業データベース型で、業種・規模・拠点・部署などターゲット企業の情報が分かる。右上はインテント型で、自社サイトへの来訪やサイトの外で調べるテーマが分かる。左下は広告配信型で、ターゲット企業に絞って広告を出し最初の接点を作る。右下はMA型で、名前の分かったリードの行動に合わせメールやスコアで働きかける。
図1:企業データベース型とインテント型はターゲット企業について分かることを増やし、広告配信型とMA型はターゲット企業に働きかける。左右は、会社の属性をもとにするか、会社や人の動きをもとにするかで分かれる
種類何が分かるか何ができるか向く課題できないこと
企業データベース型業種・規模・拠点・部署などの会社の情報ターゲット企業の条件で絞る、社名の表記をそろえる、CRMの会社データに属性を付けるターゲット企業の設定その会社がいま何を調べているか
広告配信型ターゲット企業ごとの広告への反応ターゲット企業に絞って広告を出す最初の接点づくり名前の分かるリードを直接得ること
インテント型自社サイトへの来訪、サイトの外で調べているテーマ関心が高まった会社からアプローチの順番を決める最初の接点づくり、リードからの商談化購買の意向を言い切ること
MA型名前の分かったリードの行動(製品により来訪がある会社も)メールやスコアでナーチャリングし、営業への引き継ぎの基準を決めるリードからの商談化接点の無い会社の動き

製品によっては、種類をまたいだ機能を持ちます。たとえば Musubu と SalesNow は企業データにインテントの情報を重ね、infobox は企業データにWebの行動ログを合わせます。LEADPAD は、企業データからアプローチの自動化までを受け持ちます。この記事では、各製品が公式サイトで主に案内している役割で種類を分けています。

企業データベース型

企業データベース型は、業種・規模・所在地・拠点・部署などの会社の情報を持ち、ターゲット企業の条件に当てはまる会社を絞り込みます。CRMにある取引先の社名の表記ゆれをそろえる名寄せや、足りない項目の付与も受け持ちます。製品によっては、部署や担当者(キーマン)の情報まで持っています。

一方で、その会社がいま何に関心を持っているかは、会社の情報だけでは分かりません。データの件数は製品ごとに数え方が違い、「社」で数える製品と、事業所を含む「件」で数える製品があります。

広告配信型

広告配信型は、ターゲット企業の担当者に絞って広告を出し、まだ接点の無い会社との最初の接点を作ります。広告に接した会社と反応を、会社ごとに戻せるのが特徴です。海外では、インテントデータと広告配信を1つにまとめたABM専用の製品(6sense・Demandbase など)がこの種類に入ります。

国内の製品では、Sales Marker が企業を絞り込んだ「インテント広告」を、HubSpot Marketing Hub が Meta や Google などの広告の管理を案内しています。6sense と Demandbase は海外の製品なので、日本語での支援や国内の会社のデータの範囲を、デモで聞いておきます。

広告だけでは、名前の分かるリードは得られません。広告から資料請求やセミナー申込みにつなぐ導線を、別に用意します。

インテント型

インテント型は、自社サイトへの来訪がある会社や、サイトの外で特定のテーマを調べている会社を知らせます。関心が高まった会社から、アプローチの順番と話題を決める材料になります。Sales Marker は、検索行動のデータを使うこの進め方を「インテントセールス」と呼んでいます。インテントデータの種類と集め方は、インテントデータとはで説明しています。

注意したいのは、インテントデータは関心の手がかりで、購買の意向とは言い切れないことです。同じテーマを調べていても、情報を集め始めた人もいれば、競合の調査をしている人もいます。インテントだけでアプローチを決めず、ターゲット企業の条件や、過去の商談・接点と合わせて読みます。

MA型

MA型は、資料請求やセミナー申込みで名前の分かったリードの行動(メールの開封、ページの閲覧、フォームの送信)を追い、メールやスコアでナーチャリングします。リードを会社ごとにまとめて見られる製品なら、同じ会社の複数の担当者の動きを合わせて、リードからの商談化を判断できます。

MAが中心に扱うのは、名前の分かったリードです。BowNow の企業解析や、HubSpot Marketing Hub の匿名のウェブサイト訪問者を特定する機能のように、自社サイトへの来訪がある会社を見られる製品もあります。それでも、まだ接点の無いターゲット企業の動きは、ほかの種類で補います。

ABMツールはどの種類から比べる?

どの種類から比べるかは、ターゲット企業からの商談獲得までの、どこで止まっているかで決まります。

比べ始めるABMツールの種類を、止まっている段階から決める図。根は「止まる段階(ターゲット企業からの商談獲得までのどこか)」。枝は3つ。ターゲット企業の設定(一覧が無い・条件で絞れない)は企業データベース型。最初の接点づくり(接点の無いターゲット企業が多い)は広告配信型とインテント型。リードからの商談化(リードはあるが商談にならない)はMA型とインテント型。
図2:ターゲット企業の設定で止まっているなら企業データベース型、最初の接点づくりなら広告配信型とインテント型、リードからの商談化ならMA型とインテント型から比べ始める

ターゲット企業の一覧が無い、または業種・規模の条件で絞れていないなら、企業データベース型から比べます。どの会社をターゲット企業にするかが決まらないまま、広告やインテントの製品を入れても、アプローチの対象が定まりません。

ターゲット企業は決まっているのに、接点の無い会社が多いなら、広告配信型とインテント型を比べます。広告配信型は最初の接点を作る手段に、インテント型はどの会社にいつ・何の話題でアプローチするかを決める材料になります。

リードは獲得できているのに商談にならないなら、MA型とインテント型を比べます。リードの行動とスコアに、会社の関心の手がかりを合わせて読むと、商談化に向けたフォローの順番を決めやすくなります。リードからの商談化が進まない原因は、ターゲットとの合い方、フォローの時期、商談化の基準のどこにもありえます。ツールの種類を決める前に、どこで止まっているかを社内で言葉にしておきます。

ABMツールはどう比べる?企業データ・連携など6つの観点

種類を決めたら、同じ種類の製品を6つの観点で同じ表に並べて比べます。 製品のページは書き方がそろっていないので、観点を先に決めておくと、抜けている情報に気づけます。

観点確かめること見落とすと起きること
企業データ件数と単位(社か、事業所を含む件か)、更新の頻度件数の多さだけで選び、ターゲット企業が載っていない
部署と人物の情報同じ会社の部署や複数の担当者まで分かるか1社1人の情報しか無く、決める人までたどり着けない
営業準備に使う情報ニュース・求人・関心のテーマなど、商談前に読む会社の動き営業がアプローチの前に毎回調べ直す
CRM・SFAとの連携連携先、どの項目をどちら向きにつなぐか、連携が別料金か会社のデータを2か所で持ち、二重管理になる
料金の決まり方金額の公開、初期費用、契約期間、人数やデータ量での変わり方見積もりが出るまで社内で費用を説明できない
無料で試せる形と導入の支援無料プラン・トライアルの期間・デモ、導入までの期間、データの扱い試す期間が短く、自社のターゲット企業で数えられない

部署と人物の情報は、BtoBでは特に大切です。1社の中で、現場の担当者、上長、情報システム、購買など複数の人が関わって決めるため、会社の情報だけでは誰にアプローチするかが決まりません。

たとえば、Sales Marker は950万件の人物データと210万件の部署データを、LEADPAD は約40万件のキーマン情報を案内しています。営業準備に使う会社の動きでは、Musubu がニュースや求人の情報を、Mazrica Target がAIを使ったWebでの調べものを案内しています。商談の前に営業が何を読むのかを先に決め、その情報が製品の画面で見られるかを比べます。

CRM・SFAとの連携は、比べる観点の上の方に置きます。ABMツールで分かったことがCRM・SFAの取引先に戻らないと、営業は2つの画面を見比べることになり、使われなくなります。連携できるかだけでなく、どの項目を、ABMツールからCRMへ、CRMからABMツールへのどちら向きに渡すかまで確かめます。会社のデータの選び方は、セールスインテリジェンスツールの選び方でも詳しく説明しています。

主なABMツール13製品の比較表

主な13製品の内訳は、企業データベース型6製品、広告配信型2製品、インテント型2製品、MA型3製品です。 製品は、検索上位の比較記事で多く挙がる製品と、4種類それぞれの代表的な製品から、公式サイトで提供中であることと機能を確かめられたものを選んでいます。内容は各社の公式サイトの記載をもとにした2026年10月17日時点のもので、変わることがあります。

製品(提供会社)種類公式サイトが案内している内容
Sansan Data Intelligence(Sansan)企業データベース型約1000万件の企業・事業所データベースで、顧客データを整えて更新する
SalesNow(SalesNow)企業データベース型1,600万件超の法人・組織データを日次更新し、SFA・CRMのデータをそろえる
Musubu(Baseconnect)企業データベース型国内1200万件超の企業情報に、ニュース・求人などの動きを重ねる
Mazrica Target(マツリカ)企業データベース型560万社の企業データで、営業先の絞り込みとWebでの調べものをAIで手早くする
LEADPAD(Rockets)企業データベース型160万社の企業データベースと約40万件のキーマン情報で、当たる会社を見つける
infobox(インフォボックス)企業データベース型580万社の企業データと自社の顧客データをまとめ、アプローチする会社と理由を出す
6sense(6sense)広告配信型インテントデータとAIで会社に優先順位を付け、広告と営業のアプローチに使う
Demandbase(Demandbase)広告配信型シグナルとAIで会社に優先順位を付け、広告・営業・マーケティングの施策に展開する
Sales Marker(Sales Marker)インテント型検索行動のデータから関心の高い会社を見つけ、560万社の法人データ・950万件の人物データと合わせてアプローチする
どこどこJP(Geolocation Technology)インテント型アクセス元のIPアドレスから、自社サイトを訪れた組織と地域を返す
BowNow(クラウドサーカス)MA型会社と人の自社サイトでの行動を見て、メールで働きかけるMA
Account Engagement(旧Pardot)(Salesforce)MA型Salesforce のCRMとつないで使う、BtoB向けのMA
HubSpot Marketing Hub(HubSpot)MA型フォーム・メール・ワークフローの施策を、HubSpot のCRMと一体で運用する

費用・試し方・連携は、次の表のとおりです。

製品料金の公開無料で試せる形CRM・SFAとの連携
Sansan Data Intelligence見積もり無料デモSalesforce の顧客データを更新・補完
SalesNow見積もり(初期費用+月額・年間契約)5日間のトライアル環境Salesforce・HubSpot(オプション)、kintone
Musubu月額160,000円〜(12ヶ月プラン・税別)30日間の無料トライアルSalesforce(有料のオプション)
Mazrica Target月額15万円〜トライアル環境(期間の記載なし)SFA・CRMと連携(Salesforce は2026年に連携予定)
LEADPAD記載なし無料相談Salesforce
infobox見積もり(初期費用+月額)記載なしSalesforce・HubSpot など
6sense見積もりデモSalesforce など
Demandbase見積もりデモ公式サイトで確かめられず(デモで聞く)
Sales Marker見積もり無料デモSalesforce・API
どこどこJP初期120,000円+月額12,000円〜(税抜)14日間無料トライアルGoogle アナリティクスと連携
BowNow有料プランは資料で案内無料プランSalesforce・kintone・Sansan
Account Engagement月額150,000円〜(年間契約)デモ動画Salesforce のCRMと統合
HubSpot Marketing Hub有料プランは製品ページで公開無料ツール、14日間の無料トライアルHubSpot 自体がCRM、Salesforce と双方向に同期

料金を製品のページで公開しているのは、どこどこJP(初期120,000円+月額12,000円〜)、Mazrica Target(月額15万円〜)、Musubu(月額160,000円〜)、Account Engagement(月額150,000円〜)、HubSpot Marketing Hub(無料ツールと有料プラン)です。

BowNow は有料プランの料金を資料で案内し、LEADPAD は公式サイトに料金の記載がありません。

ほかの製品は見積もりで、初期費用、契約期間、使う人数、データの量(件数やクレジット)で金額が変わります。見積もりを頼むときは、契約期間、使う人数、データの量の3つをそろえて各社に伝えると、比べやすくなります。

企業データの件数は、「社」で数える製品と、事業所や組織を含む「件」で数える製品があり、そのままでは比べられません。自社のターゲット企業の一覧を試用の画面に当てて、何社が見つかるかで比べます。

6sense の Sales Intelligence の無料プランは、2026年8月12日に終了しています。どこどこJP は、2027年1月1日の利用分から一部のサービスの価格を改定すると案内しています。

ABMツールはどう組み合わせる?

ABMツールは、1種類でターゲット企業からの商談獲得まで全部をまかなえるわけではありません。 止まっている段階が2つあるなら、2つの種類を組み合わせます。

4種類のABMツールのデータを、中心にあるCRM・SFAのターゲット企業のデータに集める図。企業データベース型は業種・規模・部署を会社のデータに付ける。インテント型は来訪と関心の手がかりを会社ごとに戻す。広告配信型は広告への反応を会社ごとに戻す。MA型はリードの行動とスコアを会社ごとに戻す。
図3:企業データベース型は会社の情報を、インテント型・広告配信型・MA型は会社や人の動きを、CRM・SFAにあるターゲット企業のデータに戻す。営業の結果と同じ会社の行で見られると、組み合わせが効く

よくある組み合わせは次の3つです。

  • 企業データベース型+MA型:ターゲット企業の一覧を整え、MAのリードを会社ごとにまとめて、どのターゲット企業からリードが出ているかを見る
  • インテント型+広告配信型:関心が高まったターゲット企業に絞って広告を出し、最初の接点を作る
  • インテント型+MA型:リードがいる会社の関心の変化を見て、商談化に向けたフォローの順番を決める

組み合わせるときの決まりは1つで、どの種類のデータも、CRM・SFAにあるターゲット企業の行に戻すことです。営業の結果と同じ会社の行で見られると、どの施策が商談につながったかを翌月の施策に反映できます。ABMツールのほかにどんなBtoBのツールがあり、どう役割を分けるかは、BtoBマーケティングツールの種類にまとめています。

ABMツールはどう選ぶ?2〜3製品に絞る4つの手順

ABMツールの選び方は、止まっている段階を決め、6つの観点で2〜3製品に絞り、試用で数えてから社内で説明する4つの手順です。

ツールを入れる前に、ターゲット企業の条件と優先順位、マーケティングと営業で合意しておくことを決める進め方は、「ABM戦略とは?ターゲット企業の設定からアプローチ計画までの5つの手順」で紹介しています。

ABMツールを2〜3製品に絞り、社内で説明するまでの進め方の目安。1週目:課題の段階を決める(ターゲット企業の設定・最初の接点づくり・商談化のどこか)。2週目:2〜3製品に絞る(種類を決め、6つの観点で同じ表に並べる)。3〜5週目:試用で数える(ターゲット企業のうち製品で分かった社数を数える)。6〜7週目:社内で説明する(導入の理由・費用・比べた観点を1枚にまとめる)。
図4:最初の1週目に課題の段階を決め、2週目に2〜3製品に絞る。3〜5週目に試用でターゲット企業のうち分かった社数を数え、6〜7週目に導入の理由と費用を社内で説明する(期間は目安)

1. 止まっている段階と、比べる種類を決める

ターゲット企業の設定、最初の接点づくり、リードからの商談化のうち、どこで止まっているかを決めます。ターゲット企業の条件があいまいなら、先にICP(理想顧客プロファイル)で業種・規模・課題の条件をそろえます。

2. 6つの観点で、2〜3製品に絞る

同じ種類の製品を、6つの観点の表に並べます。公式サイトに書かれていない項目は「記載なし」と書き、デモや問い合わせで聞く項目にします。

3. 試用で、ターゲット企業のうち分かった社数を数える

無料トライアルやデモで、自社のターゲット企業の一覧を製品に当て、何社について情報が分かったかを数えます。件数の多さより、自社のターゲット企業でどれだけ分かるかが比べる物差しになります。あわせて、データの出どころ、保存する場所、AIに入れる範囲を、書面で確かめておきます。

4. 導入の理由と費用を、社内で説明する

比べた観点、試用で分かった社数、費用の見積もりを1枚にまとめ、なぜこの種類と製品なのかを説明します。止まっている段階と、その段階が進んだかを何で数えるか(商談になったターゲット企業の数など)まで書いておくと、導入したあとの見直しにも使えます。

ABMツールの導入で失敗しやすいのはどんな場合?

失敗しやすいのは、ターゲット企業、インテントの読み方、CRM・SFAとの連携の3つを決めないまま導入する場合です。

ターゲット企業の一覧が無いまま導入する

インテント型や広告配信型を先に入れても、どの会社を追うかが決まっていないと、関心の手がかりや広告の反応が出ても優先順位が付けられません。ターゲット企業の条件と一覧を先に作ります。

インテントデータを購買の意向と読む

調べているテーマが分かっても、その会社がいま買う予定だとは限りません。インテントが出た会社に営業がすぐ電話をかけると、検討の前の段階の担当者に売り込む形になります。インテントは、話題の選び方とアプローチの順番を決める材料として使います。

CRM・SFAとつながず、データを二重に持つ

ABMツールの画面とCRM・SFAの画面で、同じ会社のデータを別々に持つと、営業は片方しか見なくなります。導入の前に、どの項目をどちら向きにつなぐかを決めます。

無料で使えるABMツールはある?

この記事で比べた13製品のうち、無料プランがあるのは MA型の BowNow、無料ツールがあるのは HubSpot Marketing Hub です(2026年10月17日時点の公式サイト)。 BowNow の無料プラン(FREE)は、上限リード数 100 です。ほかの製品は、無料トライアルかデモの案内が中心です。

無料トライアルは、SalesNow が5日間のトライアル環境、Musubu が30日間、どこどこJP が14日間、HubSpot Marketing Hub が14日間です。試用の期間が短い製品は、自社のターゲット企業の一覧を先に用意してから申し込むと、期間の中で数えられます。

旧FORCASの提供終了(2027年3月)とABMツールの移行先

旧FORCASは2027年3月31日に提供が終わります。 使っている会社は、それまでにデータの残し方と移る先の製品を決めます。

株式会社ユーザベースは、「スピーダ 顧客企業分析」「スピーダ 顧客企業データハブ」「スピーダ 営業リサーチ」(いずれも旧FORCAS/FORCAS Sales)の提供を、2027年3月31日をもって終えると発表しています(出典:スピーダの公式のお知らせ)。

移行先の製品は、同じお知らせで案内されています。営業リサーチを使っている会社には、「Speeda AI Agent」「Speeda MCP連携」とデータフィードへの移行が案内されています。

この発表より前に書かれた比較記事では、旧FORCASが提供中の製品として載っていることがあります。旧FORCASの顧客企業分析は企業データをもとにした製品なので、移る先はこの記事の企業データベース型6製品と同じ6つの観点で比べられます。今の一覧と属性をどの形で残すかを先に決め、移る先の製品で同じ項目が持てるかを比べます。

ターゲット企業を絞り込み、営業連携で商談化した事例

ウルテク(当社のサービス)を使うレクシスネクシス・ジャパン様は、マーケティングがアプローチするターゲット企業を絞り込み、営業と共有して結果を見直す流れを作っています。絞り込みでは、自社サイトでの会社の動きを手がかりの1つに使い、既存のお客様や営業中の企業はラベルで外しています。

公開事例では、週5件に厳選したリストから、好調時は半数以上が商談化と紹介しています(レクシスネクシス・ジャパン様の事例)。

どの種類のABMツールを入れても、絞り込んだターゲット企業の結果を営業と共有して戻す流れが無いと、商談化につながったかを見直せません。ツールを比べるのと一緒に、この流れを誰が受け持つかも決めておきます。

ABMツールのよくある質問

ABMツールとMAの違いは何ですか?
MAは名前の分かったリードに、メールやスコアで働きかけます。ABMツールはターゲット企業を会社の単位で見て、会社の情報や関心の手がかりを集めます。
国内のABMツールは、企業データ・部署と人物・営業準備・CRM連携をどう比べればよいですか?
企業データは件数と単位、部署と人物は同じ会社の複数の担当者まで分かるか、営業準備は商談前に読む会社の動き、CRM連携はつなぐ項目と向きで比べます。
無料で使えるABMツールはありますか?
この記事の13製品では、BowNow に無料プラン、HubSpot Marketing Hub に無料ツールがあります。ほかは無料トライアルかデモで試します。
ABMツールの費用はどれくらいですか?
どこどこJP は初期120,000円+月額12,000円〜、Mazrica Target は月額15万円〜と公開しています。多くは人数やデータ量で決まる見積もりです。
インテントデータで、買う予定の会社は分かりますか?
分かりません。インテントデータは、その会社が調べているテーマという関心の手がかりで、購買の意向とは言い切れません。
最初に入れるのはどの種類がよいですか?
止まっている段階で決めます。ターゲット企業の設定なら企業データベース型、接点づくりなら広告配信型とインテント型、商談化ならMA型とインテント型からです。
導入にはどれくらいかかりますか?
導入までの期間は製品で違い、Mazrica Target は「最短2日で導入できます」と案内しています。比べ始めて社内で説明するまでは、別に2か月ほど見込みます。

まとめ:止まっている段階から、ABMツールの種類を選ぶ

  1. 4種類:ABMツールは、企業データベース型・広告配信型・インテント型・MA型に分かれ、分かることとできることが違います。
  2. 比べ始める種類:ターゲット企業の設定、最初の接点づくり、リードからの商談化のどこで止まっているかで決めます。
  3. 6つの観点:企業データ、部署と人物の情報、営業準備に使う情報、CRM・SFAとの連携、料金の決まり方、無料で試せる形と導入の支援で、2〜3製品に絞ります。
  4. 組み合わせ:1種類で全部はまかなえないので、どの種類のデータもCRM・SFAのターゲット企業の行に戻します。

今日できることは、ターゲット企業からの商談獲得までのどこで止まっているかを1行で書き出すことです。その1行が、比べ始める種類と、社内で導入の理由を説明するときの最初の文になります。

ウルテク(URUTEQ)は、ABM(アカウントベースドマーケティング)の考え方で、ターゲット企業からの商談獲得を仕組み化するBtoBマーケティング・営業支援サービスです。マーケティング施策の結果、営業の対応、サイトの外で調べているテーマを企業ごとに分析し、アプローチの抜け漏れと、商談につながった施策を解析します。毎月の定例で商談の結果を確かめ、翌月の施策に反映します。

ABMツールとMA・SFA・CRMなど、ツールごとに数えるものと見えないこと、同じ会社のデータが部署ごとの画面に分かれる問題は、「商談獲得までのBtoBツール役割マップ」で図にしています。どのツールを組み合わせるかを社内で話すときの下地に使えます。

著者紹介
井上翔太
ウルテク| URUTEQ 事業責任者 ---- 新卒で証券会社に入社し、BtoCのセールスを経験。その後、PR代理店にてBtoB・BtoC企業向けのデジタルマーケティングコンサルティングや新規営業を担当。ログリー株式会社入社後は、BtoBマーケティング向けSaaSの開発やマーケティング、セールスなどを行う。現在は、これまでの経験を活かし、BtoBマーケAIエージェント「アカウントインテリジェンスツール ウルテク」の事業責任者を務めている。

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