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アカウントプランとは?項目と作り方、抜け漏れを防ぐ更新のしかた

この記事のポイント

アカウントプランとは、重点のターゲット企業ごとに、課題・関係者・目標・施策と営業の対応をまとめた計画です。

アカウントプランとは、重点のターゲット企業ごとに、その会社の課題、検討にかかわる人、今期の目標、施策と営業の対応をまとめた計画です。英語の account plan をカタカナにした言葉です。

ターゲット企業を数十社に決めて、営業の担当を割り振ったとします。半年たって振り返ると、担当の営業がこまめに連絡している会社と、割り振ったまま一度も連絡していない会社が混ざっています。どの会社に手が付いていないかは、担当の営業に1人ずつ聞くまで分かりません。よくある抜け漏れです。

計画を作っていても、同じことが起きます。作った日から書き足されず、営業のフォルダに残ったままになるからです。

この記事では、書く項目と作り方に加えて、担当を分けたあとに手が付いていない会社に気づく更新のしかたを紹介します。

この記事でわかること
  • アカウントプランの意味と、ターゲット企業の一覧・アクションプランとの違い
  • アカウントプランに書く6つの項目と、架空の会社での記入例
  • 作り方の5つの手順と、欄ごとの営業とマーケティングの分担
  • 作ったあとに使われなくなる3つの理由
  • 担当を分けたあとに、手が付いていない会社に気づく更新のしかた

アカウントプランとは?BtoB営業での意味と目的

アカウントプランは、重点のターゲット企業1社から商談を獲得するために、その会社の現状から関係者・目標・行動までを、営業とマーケティングで1つにまとめる計画です。

アカウントは、ここでは取引先や見込み客の企業を指します。大企業では事業部ごとに課題も決める人も違うため、1社をさらに事業部ごとに分けて作ることもあります。

CRMやSFAには、この計画を作る機能を持つものもあります。たとえば Salesforce の「営業アカウントプラン」は、顧客のニーズの把握、強みと弱みの分析、指標を使った目的の定義と追跡を1か所で行える機能だと説明されています(Salesforce ヘルプ)。機能の説明は、2026年10月22日時点のヘルプのページで確認しています。専用の道具が無くても、Excelやスプレッドシートで始められます。

ABM戦略・ターゲット企業の一覧との違い

ABM戦略は、どの企業に、どの順番で、どう働きかけるかを決める全体の方針です。ターゲット企業の一覧は、その方針で選んだ企業を、段や担当と一緒に並べた表です。アカウントプランは、一覧の中でも重点の企業について、1社ごとに中身を書き込んだ計画にあたります。

上から下へ4段に重ねた図。上ほど受け持つ範囲が広く、下ほど具体的。1段目はABM戦略(どの企業に、どの順番で働きかけるかを決める全体の方針)。2段目はターゲット企業の一覧(選んだ企業を、段・担当・段階と一緒に並べた表)。3段目は強調したアカウントプラン(重点の1社について、課題・関係者・目標・施策と営業の対応を書く)。4段目は毎週の対応(電話・メール・面談・施策を担当者が行い、結果を書き足す)。

図1:ABM戦略は全体の方針、ターゲット企業の一覧は選んだ企業の表、アカウントプランは重点の1社について書く計画。毎週の対応の結果を書き足して、計画を新しく保つ

「ABM戦略とは?」で紹介したアプローチ計画は、今の段階・今月の施策・期限を書く毎月の計画です。アカウントプランは、重点の会社について、それに課題・今期の目標・更新の記録を加え、関わる部署を人の名前まで書く計画にあたります。一覧の作り方は「ターゲット企業とは?」で扱っています。

アクションプランとの違い

役割が違います。アクションプランは、決めた目標に向けて、誰が・いつまでに・何をするかを並べた行動の計画です。アカウントプランは1社についての計画の全体で、アクションプランはその中の「何をするか」の部分にあたります。

アカウントプランに書く6つの項目は?

書く項目は、会社と取引の現状、課題、検討にかかわる人、目標、施策と営業の対応、更新の記録の6つです。最後の更新の記録が無いと、計画が古くなっても気づけません。

中心に「重点の1社のアカウントプラン」を置き、6つの項目を周りに並べた図。会社と取引の現状(事業・公開された出来事と、取引のある事業部・無い事業部)、課題(本人から聞いた課題とデータの手がかりを分ける)、検討にかかわる人(決める部署・使う部署・情報システム部門・購買部門)、目標(今期に進めたい段階と商談の目標)、施策と営業の対応(何を、誰が、いつまでにするか)、強調した更新の記録(最後に更新した日・更新した人・次に見直す日)。

図2:アカウントプランには、会社と取引の現状、課題、検討にかかわる人、目標、施策と営業の対応、更新の記録の6つを書く。更新の記録があると、計画が古くなったことに気づける

架空の会社「サンプル精機株式会社」に、生産技術部が使う外観検査の装置を案内する場面での記入例です。

項目 書くこと 記入例(架空)
会社と取引の現状 事業、公開された出来事、取引のある事業部とまだ取引の無い事業部 産業用の機械をつくる。新工場の稼働を発表している。品質保証部とは取引があり、生産技術部・設備企画部とはまだ無い
課題 本人から聞いた課題と、データの手がかり(分けて書く) 本人から:検査工程の人手が足りない。手がかり:外観検査の自動化を調べる動き
検討にかかわる人 決める部署・使う部署・情報システム部門・購買部門と、分かっている人 使うのは生産技術部(窓口は課長)。決めるのは設備企画部。購買部が見積もりを見る
目標 今期に進めたい段階と、商談の目標 今期中に、生産技術部との商談を獲得する(今は新規リード)
施策と営業の対応 何を、誰が、いつまでに マーケティングが10月末までに検査の自動化の事例資料を案内する。インサイドセールスが月末までに課長に連絡する
更新の記録 最後に更新した日、更新した人、次に見直す日 10月14日、担当の営業が課長との電話のあとで更新。次は11月の定例で見直す

課題の欄では、本人から聞いたことと、データからの手がかりを分けて書きます。手がかりは推測なので、本人に確かめるまでは課題として扱いません。

アカウントプランの作り方は?5つの手順

全部のターゲット企業ではなく、重点の企業から作ります。手順は、作る会社を絞る、情報を集める、関係者の空欄を書き出す、目標と対応を決める、分担と見直す日を決める、の5つです。

手順1:作る会社を、重点の企業に絞る

A・B・Cの段に分けているなら、プランを作るのはAの会社だけにします。プランを作った会社は、更新の記録を持つので、計画が古くなったことに気づけます。B・Cの会社にはプランを作らず、一覧に段階・最後に対応した日・次の対応と期限を直接書きます。

手順2:営業とマーケティングの情報を1か所に集める

営業は、商談の記録や、先方の担当者から聞いた話を持っています。マーケティングは、資料のダウンロードやセミナーへの参加、サイトへの来訪、サイトの外で調べているテーマを持っています。1社分を1か所に集めると、どちらも知らなかった接点が見つかることがあります。

手順3:関係者のうち、分かっている人と空欄を書く

検討にかかわる人の欄は、分かっている人と、まだ分からない欄を分けて書きます。空欄ごとに、誰から聞くか、いつまでに確かめるかを書き添えます。空欄が、次に接点をつくる相手です。購買にかかわる人の集まりの考え方は「Buying Group Marketing(BGM)とは?」で紹介しています。

手順4:今期の目標と、施策と営業の対応を決める

目標は、売上より先に、どの段階まで進めるかで書きます。まだ接点の無い会社なら「サイト訪問か新規リードまで」、リードがいる会社なら「商談まで」のように決めます。施策と営業の対応は1行に1つずつ、担当と期限の日付を入れて書きます。期限の無い行があると、毎月の定例で、手が付いていない会社を見落とします。

手順5:欄ごとの分担と、次に見直す日を決める

プランは、マーケティングだけでは書けません。欄ごとに、誰が書き、誰が更新するかを決めておきます。

欄 書く・更新する人
会社と取引の現状 マーケティング(公開された出来事)と担当の営業(取引のある事業部)
課題(本人から聞いたこと)・検討にかかわる人・目標 担当の営業
課題(データの手がかり) マーケティング
施策と営業の対応 施策はマーケティング、連絡はインサイドセールス、面談のあとは担当の営業
更新の記録 更新した人がその日に書く

分担を決めたら、担当の営業と読み合わせて、次に見直す日を決めます。見直す日を決めないと、作った日が最後の更新になります。

アカウントプランが使われなくなるのはなぜ?

使われなくなる理由は、作った日から更新されない、営業とマーケティングが別々の場所に書く、全部の会社に作ろうとする、の3つです。

作った日から、更新されない

プランは、提案の前や期初に作られることが多い計画です。作ったあとに電話や商談で分かったことが書き足されないと、数か月で中身が古くなります。古い計画は、誰も開かなくなります。

営業とマーケティングが、別々の場所に書く

営業は商談の記録をCRMに、マーケティングは施策の結果を別の表に書く、という分かれ方はよくあります。同じ会社の情報が2か所に分かれると、プランを開いても、最近の動きが分かりません。

全部の会社に作ろうとして、続かない

全部の会社を同じ細かさで書こうとすると、1社あたりにかけられる時間が減ります。重点の会社にしぼり、ほかの会社は一覧の段階と次の対応で追います。続けることが先です。

左は作って終わりのプラン:提案の前に作り書き足されない、営業とマーケティングが別の場所に書く、全部の会社を同じ細かさで書く、古くなって誰も開かなくなる。右は毎月更新するプラン:連絡や商談のたびに分かったことを足す、同じ会社の情報を1か所に集める、重点の会社だけに作る、毎月の定例で手が付いていない会社を見る。下の注:更新した日と次に見直す日を、プランの中に書いておく。

図3:作って終わりのアカウントプランは、書き足されず、情報が2か所に分かれ、古くなって開かれなくなる。重点の会社だけに作り、連絡のたびに書き足して、毎月の定例で見ると使われ続ける

担当を分けたあと、手が付いていない会社に気づくには?

ターゲット企業の一覧に、すべての会社の「段階」「最後に対応した日」「次の対応と期限」を書いておくと、手が付いていない会社が一覧で分かります。Aの会社はプランを更新した日に一覧へ写し、B・Cの会社は対応した日に一覧へ直接書きます。

段階は、マーケティング施策の結果と営業の対応から決めます。たとえば、接点もサイトへの訪問もまだ無ければ「未アプローチ」、訪問はあるが先方の担当者の名前が分からなければ「サイト訪問」、資料請求や名刺交換で名前が分かれば「新規リード」です。以前に接点があり止まっていた会社にもう一度アプローチしていれば「掘り起こし」、日程が決まり面談をしたら「商談」とします。

毎月の定例では、一覧を担当の営業ごとに並べ、最後に対応した日が古い順に並べ替えます。期限を過ぎた次の対応がある会社と、前の月から段階が動いていない会社を取り上げます。

取り上げるのは、担当の営業を責めるためではありません。手が回っていない理由を見つけるためです。担当する会社が多すぎるなら、社数を減らすか、ほかの担当に割り振り直します。接点が無いなら、マーケティングの施策で接点をつくります。

4つの手順をくり返す図。中心は毎月の定例。1 一覧に書く(段階・最後に対応した日・次の対応と期限を書く)、2 並べ替える(担当の営業ごとに、最後に対応した日が古い順にする)、3 理由を聞く(期限切れの対応がある会社と段階が動かない会社について担当と話す)、4 担当か施策を直す(担当する社数を見直すか、施策で接点をつくる)。

図4:毎月の定例で、一覧に書いた段階・最後に対応した日・次の対応と期限から、手が付いていない会社を見つける。理由を担当の営業と話し、担当を割り振り直すか、施策で接点をつくる

アカウントプランのテンプレートは?Excelの列

Excelで始めるなら、ターゲット企業の一覧のシートと、Aの会社ごとのプランのシートを分けます。一覧には、すべての会社の段階・最後に対応した日・次の対応と期限を書きます。

一覧のシートに置く列の例です。

列 書くこと
企業名と事業部 事業部の単位まで書く
段 A・B・Cのどれか(「ターゲット企業とは?」の判定と同じ)。Aの会社だけプランを作る
担当 担当の営業とインサイドセールス
段階 未アプローチ・サイト訪問・新規リード・掘り起こし・商談
最後に対応した日 その会社に電話・メール・面談をした日か、その会社に向けた施策(個別の資料の案内など)をした日。一斉に送るメールや広告の配信は入れない
次の対応と期限 誰が、いつまでに、何をするか
アカウントプラン Aの会社だけ、プランのシートへのリンク

列はこれで足ります。プランのシートは、上で紹介した6つの項目をそのまま行にします。一覧とプランで同じ会社の情報が食い違わないよう、プランを更新したら、一覧の3つの列も同じ日に書き換えます。

アカウントプランでよくある失敗は?

よくある失敗は、会社の調べものだけで終わること、決める部署の欄を窓口の担当者で埋めること、目標を売上だけで書くこと、データの手がかりを課題として書くことの4つです。

失敗1:会社の調べもので終わる

会社の概要や業界の動きを厚く書き、施策と営業の対応が数行しかない計画は、読んでも次に何をするかが分かりません。対応の欄から先に埋めます。

失敗2:決める部署の欄を、窓口の担当者で埋める

窓口の担当者が前向きでも、決めるのは別の部署ということがあります。空欄も情報です。決める部署の欄が埋まらないときは、空けたまま「次に確かめること」として残します。

失敗3:目標を売上だけで書く

売上の目標だけでは、途中で進んでいるかが分かりません。段階なら、毎月確かめられます。今期にどの段階まで進めるかを、目標に入れます。

失敗4:データの手がかりを、課題として書く

調べているテーマや資料の閲覧は、検討の手がかりです。課題があると決めつけて欄に書くと、営業は確かめずに提案を始めます。手がかりは分けて書き、本人に確かめてから課題に移します。

アカウントプランのよくある質問

アカウントプランは、英語で何と言いますか?
英語でも account plan です。カタカナのアカウントプランは、その読みをそのまま使った言葉です。
アカウントプランとアクションプランは、何が違いますか?
アカウントプランは1社の計画の全体で、アクションプランはその中の、誰が・いつまでに・何をするかの部分です。
アカウントプランは、何社に作ればよいですか?
重点(A)の会社だけです。担当の営業が、毎月見直せる数に収めます。
誰が作りますか?
担当の営業が中心になり、マーケティングとインサイドセールスが、受け持つ欄を書き足します。
どのくらいの間隔で見直しますか?
毎月の定例で、段階と次の対応を見直します。商談や関係者が大きく変わったときは、その日に更新します。
Salesforce などのCRMでも作れますか?
Salesforce には「営業アカウントプラン」の機能がありますが、使えるエディションが決まっていて、管理者の設定も要ります。Excelでも始められます。

アカウントプランと一緒に知っておきたい用語

一覧の段階の数え方と、毎月のアプローチの進め方は、次の記事で紹介しています。

まとめ:最後に対応した日で、手が付いていない会社を見つける

  1. 意味:重点のターゲット企業ごとに、課題・関係者・目標・施策と営業の対応をまとめた計画です。ターゲット企業の一覧の、重点の企業の行から開く計画にあたります。
  2. 項目:会社と取引の現状、課題、検討にかかわる人、目標、施策と営業の対応、更新の記録の6つです。課題は、本人から聞いたことと手がかりを分けます。
  3. 作り方:重点の会社に絞り、営業とマーケティングの情報を1か所に集め、関係者の空欄を書き出し、段階で目標を決め、欄ごとの分担と見直す日を決めます。
  4. 抜け漏れの防ぎ方:一覧に、すべての会社の段階・最後に対応した日・次の対応と期限を書き、毎月の定例で手が付いていない会社を取り上げます。ターゲット企業からの商談獲得に向けて、手が回っていない理由を直します。

今日できることは、重点の会社を1社選び、プランを最後に更新した日がいつかを確かめることです。古いものから、担当の営業と読み合わせます。

一覧とプランを毎月更新し続けるには、マーケティング施策の結果と営業の対応が、同じ会社の欄に集まっている必要があります。

ウルテク(URUTEQ)は、ABM(アカウントベースドマーケティング)の考え方で、ターゲット企業からの商談獲得を仕組み化するBtoBマーケティング・営業支援サービスです。マーケティング施策の結果、営業の対応、サイトの外で調べているテーマを企業ごとに分析し、アプローチの抜け漏れと、商談につながった施策を解析します。

毎月の定例で商談の結果を確かめ、翌月の施策に反映します。ターゲット企業の選定から効果の検証まで、ウルテクチームが並走します。

「ABM実践ワークブック」は、ターゲット企業からの商談獲得を仕組み化する進め方を、自社のExcelで始めるための手順書です。ターゲット企業を5つの段階(未アプローチ・サイト訪問・新規リード・掘り起こし・商談)の社数で数え、毎月の定例で翌月の施策を決める進め方を、Excelのシートと一緒に紹介しています。

著者紹介
井上翔太
ウルテク| URUTEQ 事業責任者
新卒で証券会社に入社し、BtoCのセールスを経験。その後、PR代理店にてBtoB・BtoC企業向けのデジタルマーケティングコンサルティングや新規営業を担当。ログリー株式会社入社後は、BtoBマーケティング向けSaaSの開発やマーケティング、セールスなどを行う。現在は、これまでの経験を活かし、BtoBマーケAIエージェント「アカウントインテリジェンスツール ウルテク」の事業責任者を務めている。

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