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インテントデータとは、企業や担当者がWebで何を調べ、何に反応したかを示す行動データです。BtoBでは、ターゲット企業の関心を推し量る手がかりに使います。
「インテント(intent)」は英語で「意図」という意味です。BtoBのマーケティングとセールス(営業)で言うインテントデータ(インテント情報)は、企業や担当者がWebで何を調べ、どんな記事やページを読んでいるかを記録した行動データを指します。SEOで使う「ユーザーインテント(検索意図)」や、Androidアプリ開発の「Intent」とは別の言葉です。
BtoBの買い手は、営業担当者に連絡する前に、Webで情報を集めて候補を比べます。問い合わせが来た時点で、すでに数社の比較が進み、自社はその候補に入っていなかった、ということもあります。ターゲット企業が、いつごろ、どのテーマを調べ始めたのか。その手がかりになるのがインテントデータです。ただし、記事を読んだことは、買うと決めたことではありません。
この記事では、インテントデータの意味と、行動データ・属性データとの違い、1st・2nd・3rdパーティの種類と取得方法、マーケティングとセールスでの活用法、よくある失敗と個人情報の扱いで確かめることを紹介します。
目次
BtoBでのインテントデータとは、企業や担当者がWebで読んだ記事やページ、資料・メール・セミナーへの反応から、その企業がどのテーマに関心を持っていそうかを推し量るためのデータです。
架空の例で考えます。勤怠管理クラウドを売るA社のターゲット企業に、製造業のB社があります。B社では、社外のBtoBの比較サイトで「勤怠管理 比較」の記事が読まれ、A社のサイトでも料金ページが2人に見られていました。
ここから読めるのは、B社で勤怠管理の見直しが話題になっていて、費用も気にしていそうだということです。読み違えやすいのは、B社がもう比較の最終段階にいると決めつけることです。料金ページの閲覧は、予算を取る前の下調べかもしれません。
業種や従業員数などの属性データだけでは、その会社が「いま」何に困っているかは分かりません。属性データで決めたターゲット企業の中から、関心の手がかりが出ている企業を見つける。BtoBでインテントデータが使われるのは、この順番で使うためです。
一方で、インテントデータは推測の材料です。記事を読んだのは、導入を任された担当者かもしれませんし、法改正の勉強をしていた新入社員かもしれません。購買意向や検討の段階を、インテントデータだけで言い切ることはできません。
買い手が営業担当者に連絡する前にWebで調べて候補を絞るようになり、問い合わせを待つだけでは、比較が始まったターゲット企業に気づけないからです。
展示会の名刺やフォームの問い合わせから始まるやり方では、名乗った企業にしか対応できません。名乗る前に候補から外れた企業は、記録にも残りません。
もう1つの理由は、ターゲット企業の数です。ICPに当てはまる企業が数百社あっても、インサイドセールスが毎月じっくり連絡できるのは、その一部です。属性データが同じ企業の中で、どこから連絡するかを考える材料として、インテントデータが使われます。
属性データは「どんな会社か」、自社サイトの行動データは「自社との接点で何をしたか」、インテントデータは「社内外のWebで何を調べているか」を示します。ユーザーインテントは、検索した人が何を知りたいかを指すSEOの言葉です。
| 比べる項目 | インテントデータ | 行動データ(自社サイト) | 属性データ | ユーザーインテント(検索意図) |
|---|---|---|---|---|
| 分かること | 企業がどのテーマを調べているか | 自社のどのページを見て、何をしたか | 業種・規模・拠点などの会社の情報 | 検索した人が何を知りたいか |
| 例 | 社外の比較サイトで「勤怠管理 比較」の記事を読んだ | 料金ページを3回見て、資料をダウンロードした | 製造業・従業員2,000人・本社は名古屋 | 「インテントデータとは」で検索する人は意味を知りたい |
| 単位 | 企業、または担当者 | 担当者(会社にまとめることもある) | 企業 | 検索語 |
| 主に使う人 | マーケティング・インサイドセールス | マーケティング・営業 | マーケティング・営業企画 | コンテンツ・SEOの担当者 |
| 使う場面 | アプローチの優先順位と話題を考えるとき | リードの状況を確かめるとき | ターゲット企業の条件を設定するとき | 記事の題名と構成を考えるとき |
自社サイトの行動データと、インテントデータは重なっています。料金ページや比較記事の閲覧のように、関心のテーマを読み取れる記録は、1stパーティのインテントデータとしても使います。違いは、記録をそのまま見るか、「何に関心がありそうか」というテーマに読み替えて見るかです。
ユーザーインテントは、検索語ごとの「知りたいこと」を考える言葉で、企業の関心を示すデータではありません。同じ「インテント」が付くので混ざりやすいのですが、使う場面がまったく違います。
インテントデータは、誰が集めたかで、1stパーティ(自社が集めた)、2ndパーティ(提携先が集めた)、3rdパーティ(第三者が集めた)の3つに分かれます。 取得方法と、見える企業の範囲がそれぞれ違います。
| 種類 | 集める人 | 例 | 取得方法 | 見える企業の範囲 |
|---|---|---|---|---|
| 1stパーティ | 自社 | 自社サイトの閲覧ページ、資料のダウンロード、メールのクリック、自社セミナーの参加 | Google アナリティクス、MA、SFA・CRM(Salesforce・HubSpot など)、企業単位のアクセス解析ツール | 自社サイトを訪れた企業(会社名まで分かるのは、企業単位のアクセス解析ツールを入れた場合) |
| 2ndパーティ | 提携先 | 共催ウェビナーの参加者、提携メディアでの記事の閲覧 | 提携先との契約で受け取る | 提携先の読者・参加者 |
| 3rdパーティ | データ提供会社 | 社外のBtoBの比較サイト・ニュースサイト・企業サイトでの記事やページの閲覧 | インテントデータを提供するサービスやツールを契約する | 自社サイトにまだ来ていない企業も含む |
1stパーティは、自社との接点がある企業の閲覧しか見えません。そのかわり、どのページを見たかまで分かり、商談の準備に使いやすいデータです。Google アナリティクスやMAで分かるのは、匿名の閲覧と、フォームで名乗った人の行動です。名乗っていない閲覧の会社名まで知るには、企業単位のアクセス解析ツールが要ります。
2ndパーティは、提携先の読者や参加者に偏ります。どの範囲まで使ってよいかは、提携の契約で決まります。3rdパーティは、自社サイトにまだ来ていない企業の関心も見えます。そのかわり、どのテーマを調べているかまでで、どの記事を誰が読んだかまでは分からないのが普通です。
3rdパーティのデータは、提供会社によって、集めているサイトの種類、数え方、さかのぼる期間が違います。「閲覧数」と書かれていても、人の数なのか、閲覧した日の数なのかは、契約の前に提供会社に聞いておきます。提供サービスを比べるときは、次の3つを確かめます。
ツールごとの違いは、インテントデータを活用したBtoB向けツール4選と選び方と、インテントセールスのツール比較10選と選び方で比べています。
インテントデータで分かるのは、どの企業で、どのテーマが、いつごろから調べられているかです。誰が、何のために、いつ買うつもりなのかは分かりません。
分かること: – ターゲット企業で、自社の商材に関係するテーマが調べられているか – 調べられているテーマが、先月より増えたか、減ったか – 競合の製品名や「比較」「料金」など、検討が具体的になったときに出やすい語が含まれているか
分からないこと: – 調べている人の役職と、予算や決裁を持っているか – 導入する時期と、比べている会社の数 – 関心が自社の商材に向いているか、別の目的の調べ物か
架空の例ですが、3rdパーティのインテントデータは、たとえば次のような形で見えます。
| 企業 | 調べられているテーマ | 先月からの変化 | 最初に出た週 |
|---|---|---|---|
| B社(製造業) | 勤怠管理 比較 | 増えた | 3週間前 |
| C社(物流) | 36協定 特別条項 | 変わらない | 2週間前 |
| D社(小売) | 勤怠管理 クラウド 料金 | 新しく出た | 今週 |
マーケティングとセールスのツールの多くは、フォームに入力した人や、名刺を交換した人から記録が始まります。サイトの外で調べている企業や、名乗らずに自社サイトを見て帰る企業は、どのツールにも記録が残らず、アプローチの抜け漏れがあっても気づけません。
インテントデータは、こうした名乗る前の企業の関心を推し量る、数少ない材料です。ただし、どの企業の閲覧か分からないままの閲覧も残ります。
マーケティングではターゲット企業の優先順位と施策のテーマに、セールスではアプローチの順番と初回の話題に、カスタマーサクセスでは解約の兆しの確認に使います。 どの部署でも、ICPと商談の記録と照合してからアプローチします。
照合が要るのは、同じ語でも、その企業と自社の関係で読み方が変わるからです。「乗り換え」という語は、まだ取引の無い企業なら比較の入り口ですが、既存顧客なら解約の兆しかもしれません。商談中の企業なら、比べている相手が増えた合図とも読めます。
どの使い方でも、インテントデータはSFA・CRMの企業ページに取り込み、営業がふだん見る画面で見られるようにします。別のツールの画面にしか無いと、やがて誰も見なくなります。
ABM(アカウントベースドマーケティング)では、ターゲット企業をTier1〜Tier3に分け、Tier1の企業に営業とマーケティングのリソースを集めます。属性データで決めたTierは、半年たっても変わりません。そこで、毎月、Tier2・Tier3の中から、関連するテーマが2か月続けて調べられている企業をTier1の候補として挙げ、営業と一緒に入れ替えるかを話し合います。
MAのリードスコアリングでは、資料のダウンロードやメールのクリックに点数を付けます。そこに、所属する企業で関連テーマが調べられていることを加点の材料として足すと、同じ点数のリードのうち、どちらを先にインサイドセールスへ引き継ぐかを考えやすくなります。ただし、加点を大きくしすぎると、本人は何もしていないリードが上位に並びます。本人の行動よりも小さい点数にとどめます。
ターゲット企業で調べられている語を月ごとに並べると、いま関心が集まっているテーマが見えてきます。架空の例ですが、勤怠管理クラウドを売る会社で、ターゲット企業で調べられている語が「勤怠管理 比較」から「36協定 特別条項」に移っていたら、比較表の資料より、規制への対応をまとめたホワイトペーパーの方が読まれやすいと考えられます。広告の訴求とセミナーの題も、同じ語から考えます。
インサイドセールスは、ICPに当てはまり、関連テーマが調べられている企業から順に連絡します。調べられていない企業は、メールやホワイトペーパーで関係を続けます。初回の連絡では、そのテーマに合う事例や資料を話題にします。「御社が〇〇を調べているのを拝見しました」とは言いません。相手は見られていると感じ、話が進まなくなります。
既存顧客で、競合の製品名や「乗り換え」「移行」といった語が増えたら、契約更新の前に活用状況を聞く面談を設定します。自社の別の製品に関係するテーマが調べられていれば、アップセルやクロスセルの提案の時期を考える材料になります。
よくある失敗は、手がかりを購買意向と読む、企業の規模を考えずに数字を比べる、キーワードを広くしすぎる、営業の対応につなげない、の4つです。
「比較」の記事を読んだ企業に、翌日「ご検討中と伺いました」と電話をかける。相手はまだ情報を集めている段階で、売り込みと受け取られます。インテントデータは、連絡する順番と話題を考える材料にとどめ、検討の段階はヒアリングで聞きます。
従業員2万人の会社と200人の会社では、同じ関心の強さでも、出てくる数字の大きさが違います。数字が大きい順に並べると、上位は大企業ばかりになります。同じ規模の企業どうしで比べるか、先月からの増え方で見ます。企業の数字と担当者の数字を、同じ表で混ぜないことも大切です。
「DX」「業務効率化」のような広い語を登録すると、ほとんどの企業が当てはまり、優先順位を付けられません。自社の商材を検討する人が使う具体的な語(「勤怠管理 比較」「36協定 特別条項」など)にします。
マーケティングがインテントデータを見ていても、セールスがその企業に連絡したか、商談になったかを記録しなければ、どのテーマが商談につながるのかは分かりません。毎月の定例で、関連テーマが調べられていた企業と、その後の営業の対応と結果を並べて見直します。
インテントデータを使うこと自体を一律に禁じる法律はありません。ただし、集め方と使い方が個人情報保護法などに沿っているかは、自社で確かめる必要があります。
特に気をつけるのは、3rdパーティのデータを自社のCRMにある個人のデータと結び付けるときです。Cookieなどの「個人関連情報」を受け取って個人データと結び付ける場合、提供する側は、本人の同意が得られているかを確かめる必要があります(個人情報保護法、2022年4月の改正で追加)。法令とガイドラインは個人情報保護委員会の「法令・ガイドライン等」で読めます。
契約の前に、提供会社に次のことを聞いておきます。
最終的な判断は、自社の法務部門や顧問弁護士に相談してください。
インテントデータは、ICPでターゲット企業の条件を設定し、ABMでアプローチを進めるときに使う言葉です。
今日できることは、自社の商材を検討する人が検索しそうな語を10個書き出し、「DX」のような広すぎる語に線を引くことです。残った語が、インテントデータを見るときのキーワードの候補になります。
ウルテク(URUTEQ)は、ターゲット企業からの商談獲得を仕組み化するサービスです。アプローチの抜け漏れと、商談につながった施策を解析し、毎月の定例で商談の結果を確かめ、翌月の施策に反映します。
ウルテクでは、自社サイトを訪れた人がサイトの外で調べているテーマを「訪問者インテント」、同じ企業でまだ自社サイトに来ていない人が調べているテーマを「企業インテント」と呼び、分けて表示します。どちらも直近21日分を、企業ごとに見られます。名乗る前の企業を含め、マーケティングと営業のどのツールがどこまで届いているかは、「商談獲得までのBtoBツール役割マップ」で整理しています。
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