インサイドセールス
インサイドセールスは、リードやターゲット企業に非対面で連絡し、相手の検討を商談の日程を決められる段階まで進めて、フィールドセールスに引き継ぐ役割です。
インサイドセールスとは、BtoBのマーケティング・セールスの分業で、リードやターゲット企業に電話・メール・オンライン会議で連絡し、相手の検討を商談の日程を決められる段階まで進める役割です。日程が決まったら、提案と受注を受け持つフィールドセールスに引き継ぎます。テレアポが1回の電話で面談の約束を取る活動なのに対し、インサイドセールスは同じ会社に時期をあけて連絡を重ね、商談に進んだ会社の数で成果を見ます。
受注まですべて非対面で進める営業を、インサイドセールスと呼ぶ会社もあります。この記事では、分業の中で商談の手前を受け持つ役割の意味で使います。
ターゲット企業の代表番号に電話すると、自動応答で止まる。資料請求のリードにメールを送っても、返事が来ない。フィールドセールスは提案の準備に追われ、まだ検討の浅い会社まで追いかけられない。インサイドセールスを置くかどうかを考えている責任者は、たいていこの3つのどれかに当たっています。この記事では、意味と違いを整理したうえで、今の進め方、始める5つのステップ、見る数字を紹介します。
目次
BtoBでのインサイドセールスとは、リードやターゲット企業に非対面で連絡し、相手の検討を商談の日程を決められる段階まで進めて、フィールドセールスに引き継ぐ役割です。
リードを集めるマーケティング、連絡するインサイドセールス、提案するフィールドセールス、契約後を支えるカスタマーサクセスの4つに工程を分ける体制は、The Model(ザ・モデル)と呼ばれます。インサイドセールスは、その中でマーケティングとフィールドセールスの間に立ちます。分業の全体は「The Modelとは?BtoBマーケ・セールスでの4つの分業とKPIの決め方」で紹介しています。
インサイドセールスの仕事は、4つに分けられます。
4つ目の「結果の共有」が抜けると、マーケティングはどの施策から商談が生まれたかを確かめられません。インサイドセールスは、商談をつくると同時に、マーケティングとフィールドセールスの間で結果を行き来させる役割も持っています。
テレアポは、電話で面談の約束を取る活動です。1回の電話で約束が取れたかどうかで成果を数え、取れなければその会社への連絡は終わりになりがちです。
インサイドセールスは、電話を手段の1つとして使い、メールやセミナーの案内も組み合わせて、同じ会社に何度か連絡します。今は検討していない会社にも、時期をあけて連絡を続けます。数えるのは電話の件数ではなく、商談に進んだ会社の数と、その手前の段階にいる会社の数です。
フィールドセールスは、商談の場で提案し、見積もりと契約まで進める役割です。インサイドセールスは、その手前で、課題と時期、予算の目安、検討に関わる人を聞き取り、提案の準備がそろった状態で引き継ぎます。
| 項目 | インサイドセールス | フィールドセールス |
|---|---|---|
| 受け持つ工程 | 初回の連絡から商談の設定まで | 商談から受注まで |
| 主な手段 | 電話、メール、オンライン会議 | 訪問、オンライン会議での提案 |
| 数えるもの | 段階ごとの会社の数、商談に進んだ会社の数 | 受注の数と金額 |
| 引き継ぐもの | 課題、時期、予算の目安、検討に関わる人、これまでの接点 | 受注後の要望をカスタマーサクセスへ |
SDRは問い合わせや資料請求に応える反響型、BDRは自社で決めたターゲット企業に自分から連絡する新規開拓型です。
| 項目 | SDR(反響型) | BDR(新規開拓型) |
|---|---|---|
| 連絡の起点 | 資料請求、問い合わせ、セミナーの申し込み | 自社で決めたターゲット企業 |
| 相手の状態 | 自社を知っていて、情報を集めている | 自社を知らないことが多い |
| 主な連絡先 | 申し込んだ担当者 | 代表番号、事業部、紹介、手紙 |
| 向いている商材 | 検討が短く、件数の多い商材 | 取引額が大きく、決める人が多い商材 |
SDRは、申し込みから連絡までの早さで差がつきます。BDRは、どの会社に連絡するかを先に決める必要があります。ターゲット企業の決め方は「ターゲット企業(ターゲットアカウント)とは?BtoBマーケ・セールスでの選び方」で紹介しています。
今は検討していない会社への連絡が途切れなくなり、商談の手前にいる会社の数が段階ごとに分かるようになります。
フィールドセールスだけで新規の会社を受け持つと、目の前の商談が優先され、検討の浅い会社への連絡は後回しになります。インサイドセールスがその連絡を受け持てば、半年後に検討を始める会社とも接点が続きます。フィールドセールスは、課題と時期が分かった会社の提案に時間を使えます。
一方で、置かなくてよい場合もあります。連絡する会社が月に数社で、1人が初回の連絡から受注まで受け持てる段階なら、分業すると引き継ぎの手間が増えるだけです。検討が数日で終わる商材も、引き継ぐ前に決まってしまいます。
電話とメールが担当者につながりにくくなったうえ、データが部署ごとに分かれ、どの会社にもう連絡したのかが見えにくくなっています。
インサイドセールスが受けている変化は、4つあります。
電話の自動応答への向き合い方は「電話スクリーニングを突破する5つの方法」で詳しく紹介しています。
もう1つの壁は、データが部署ごとに分かれていることです。マーケティングはGA4とMAでリードの件数を、インサイドセールスはSFAや電話の道具で架電の数を、フィールドセールスはSFAで商談の数を見ています。同じ1社が3つの画面に別々の数字で残るため、どの会社にもう連絡したのか、どの会社が残っているのかを、誰もすぐに答えられません。
だからこそ、連絡の数を増やす前に、連絡する会社と順番を決め、結果を会社ごとに1か所へそろえる仕組みが要ります。
インサイドセールスは、対象の会社と体制を決め、引き継ぎの基準と期限、連絡の順番と文面を決めてから連絡し、結果を会社ごとにそろえて始めます。
SDRとして資料請求に応えるのか、BDRとしてターゲット企業に連絡するのか、両方なのかを決めます。あわせて、専任の担当者を置くのか、マーケティングやフィールドセールスの誰かが兼任するのかも決めます。BDRを受け持つなら、ターゲット企業の一覧を先に作ります。一覧が無いまま始めると、担当者が知っている会社から連絡することになります。
マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスの3部署で、マーケティングからどの状態のリードを受け取るか(MQL)、どの状態になったらフィールドセールスに引き継ぐか(SQL)を合意します。MQLとSQLの定義は会社ごとに違うので、自社の定義を文にして残します。
SQLの条件の見本(架空)は、次の4つがそろったときです。
予算・決める人・課題・時期の4つは、BANT(Budget・Authority・Need・Timeframe)と呼ばれる聞き取りの項目にあたります。あわせて「資料請求から1営業日以内に連絡する」のような期限と、フィールドセールスから結果を戻す欄も決めます。
同じ日に連絡できる会社の数には限りがあります。ターゲット企業の条件に合うか、最近の接点(名刺、セミナーの参加、資料請求)があるか、サイトの外で関連するテーマを調べているかを手がかりに、順番を付けます。どの会社がどのテーマを調べているかは、インテントデータと呼ばれるデータで分かります。
たとえば、条件に合い、先週のセミナーにも参加したA社(架空)を先に、条件に合うが最近の接点が無いB社(架空)を後にします。こうした手がかりは検討の合図とは限りません。検討しているかどうかは、インサイドセールスが連絡して確かめます。
閲覧や来訪のように、相手が自分から知らせていない行動は、連絡の文面に書きません。見張られていると感じさせるからです。資料請求に応える連絡で、申し込まれた資料に触れるのはかまいません。業種と課題に合う事例や資料を案内し、聞き取る項目をトークの台本にそろえます。成果の出ている担当者の聞き方を台本に入れると、担当者ごとの差が小さくなります。
連絡の結果を、商談、継続、保留、見送りの4つで書きます。継続は時期をあけて連絡を続ける会社、保留は相手の事情で連絡を止めている会社です。結果は、連絡した会社の一覧に、最後の接点・段階・結果と並べて書きます。SFAとMAが分かれていても、この一覧で同じ会社の結果をそろえます。架電やメールのデータをどの道具に残すかも、ここで決めます。
毎月の定例で、段階ごとの会社の数と、どの施策から商談が生まれたかを確かめ、翌月の連絡の順番に反映します。
インサイドセールスは、架電の件数より、連絡がついた会社、課題を聞けた会社、商談に進んだ会社、提案に進んだ会社の数を段階ごとに見ます。
段と段の間の割合を見ると、どこで止まっているかが分かります。連絡した会社のうち連絡がついた会社の割合はコンタクト率、連絡した会社のうち商談に進んだ会社の割合は商談化率と呼ばれます。商談化率の数え方は会社ごとに違うので、自社の定義を決めてから比べます。
見本(架空)で読むと、連絡した100社のうち連絡がついたのが40社(コンタクト率40%)、課題を聞けたのが20社、商談に進んだのが10社(商談化率10%)、フィールドセールスが提案に進めたのが6社です。連絡がつく会社が少ないなら、電話の時間帯や連絡の手段を見直します。商談に進んでも提案まで進まない会社が多いなら、引き継ぎの基準を見直します。
担当者を2人知っている会社も、数えるときは1社です。人の数で数えると、まだ連絡していない会社が残っていることに気づけません。リードの件数と、会社の数と、商談の数は、別々に数えます。
よくある失敗は、架電の件数だけを追う、引き継ぎの基準が無い、結果がマーケティングに共有されない、同じ会社に重ねて連絡する、の4つです。
1日100件の電話を目標にすると、つながりやすい会社と、すでに知っている会社に連絡が偏ります。件数は守れても、商談に進む会社は増えません。
基準が無いと、インサイドセールスは「とりあえず商談」を設定し、フィールドセールスは「確度が低い」と受け取らなくなります。SQLの条件を見本のように文にし、3部署で合意します。マーケティングから受け取ったリードが営業で止まる原因は「マーケティングが渡したリードを、営業が追いきれない原因と直し方」で紹介しています。
連絡の結果がインサイドセールスの手元にしか無いと、マーケティングはリードの件数でしか施策を比べられません。結果を書く欄を、最初に決めておきます。
担当者ごとにリストを持つと、同じ会社の別の部署に、同じ週に別々の連絡が入ります。連絡した会社の一覧で、誰がいつ、どの部署に連絡したかをそろえます。
インテントセールスで連絡の順番の手がかりを、ツール比較で連絡を支える道具を確かめます。
今日できることは、先月インサイドセールスが連絡した会社を書き出し、商談・継続・保留・見送りのどれになったかを会社ごとに書くことです。結果が分からない会社の数が、最初に直す引き継ぎの穴になります。
ウルテク(URUTEQ)は、ABM(アカウントベースドマーケティング)の考え方で、ターゲット企業からの商談獲得を仕組み化するBtoBマーケティング・営業支援サービスです。マーケティング施策の結果、営業の対応、サイトの外で調べているテーマを企業ごとに分析し、アプローチの抜け漏れと、商談につながった施策を解析します。毎月の定例で商談の結果を確かめ、翌月の施策に反映します。ターゲット企業の選定から効果の検証まで、ウルテクチームが並走します。
電話とメールがつながりにくくなった4つの変化と、部署ごとに分かれたツールと数字の整理は、「商談獲得までのBtoBツール役割マップ」の3・4ページで図にしています。
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