The Model
The Model(ザ・モデル)は、BtoBの営業プロセスを4つの部門に分け、前の部門の成果を次の部門の母数として数えながら引き継ぐ進め方です。
The Model(ザ・モデル)は、BtoBの営業プロセスをマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの4つの部門に分ける進め方です。各部門の成果(リード・商談・受注)を決めた基準で次の部門に引き継ぎ、次の部門の母数として数えます。「The Model型の分業モデル」と呼ばれることもあります。
名前は、福田康隆氏が2019年に翔泳社から出した著書『THE MODEL』から来ています。福田氏がセールスフォース・ドットコムなどで実践してきた営業の進め方をまとめた本で、いまは本を読んでいない人も、4部門に分ける進め方を指してこの名前で呼んでいます。
インサイドセールスを立ち上げ、マーケティングとフィールドセールスの間に部門を1つ置いた。半年たつと、マーケティングは「リードを引き継いでいるのに商談にならない」と言い、インサイドセールスは「引き継がれるリードからは課題も時期も聞けない」と言う。部門を分けただけでは、この進め方は動きません。部門の間で何を数え、どの基準で引き継ぐかを決めたとき、初めて回り始めます。
この記事では、意味と生まれた背景、4つの部門の役割と数え方、KPIと引き継ぎの基準を決める5つのステップ、大きな取引の会社との組み合わせ方、メリットとよくある失敗を紹介します。
目次
BtoBでのThe Modelとは、リード獲得から商談、受注、契約後の継続までを4つの部門に分け、前の部門の成果を次の部門の母数として数えながら引き継ぐ進め方です。
部門を分ける話として紹介されることの多い言葉です。ただ、本の副題は「マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス」で、「共業」と書かれています。部門を分けたうえで、4つの部門が同じ数字を見て、1つの売上をつくることまでを含んだ考え方です。
数える単位は、部門によって違います。マーケティングは担当者のリード(見込み顧客の担当者)を、インサイドセールスは商談を、フィールドセールス(訪問やオンラインで商談する営業)は受注を、カスタマーサクセスは契約を続けた顧客を数えます。
1つめは、リード獲得の手段が増えたことです。Webサイト・展示会・セミナー・資料ダウンロードから毎月リードが入るようになり、1人の営業がすべてに連絡して商談をつくり、提案もする、という分担では連絡が追いつかなくなりました。
2つめは、月額や年額で契約するサービスが増えたことです。売上は受注した月で終わらず、翌年も契約が続くかで決まります。受注した営業がそのまま導入の支援まで抱えると、新しい商談に時間を割けません。そこで、受注の前と後で担当を分ける形が広まりました。
マーケティングがリードを獲得し、インサイドセールスが商談にし、フィールドセールスが受注し、カスタマーサクセスが契約の継続と追加の契約につなげます。
| 部門 | 役割 | 母数 | 成功率 | ゴール |
|---|---|---|---|---|
| マーケティング | リード獲得と、すぐには商談にならないリードのナーチャリング(育成) | サイトの訪問者・展示会やセミナーの来場者(人) | リード獲得率 | リードの数(担当者) |
| インサイドセールス | 電話・メール・オンラインでリードに連絡し、課題と時期を確かめる | 引き継いだリード(担当者) | 商談化率 | 商談の数(日程が決まった件数) |
| フィールドセールス | 商談で提案し、稟議と契約まで進める | 引き継いだ商談(件) | 受注率 | 受注の数(社) |
| カスタマーサクセス | 導入と使い方を支え、契約の継続と追加の契約につなげる | 受注した顧客(社) | 継続率 | 契約を続けた顧客の数(社) |
インサイドセールスは、問い合わせや資料請求に応える役割(SDR)と、ターゲット企業に自分から連絡する役割(BDR)に分けて説明されることが多くあります。分担の仕方は、組織によって違います。
表では、前の部門のゴールが次の部門の母数になります。マーケティングが獲得したリードの数は、インサイドセールスの母数です。そこから生まれた商談の数が、フィールドセールスの母数になります。
たとえば半年で、サイトの訪問者10,000人からリード200件(2%)、商談30件(15%)、受注6社(20%)、契約を続けた顧客5社という数字だったとします(見本・架空)。受注が目標に届かないとき、リードが少ないのか、商談化率が下がったのか、受注率が下がったのかで、手を入れる部門が変わります。前の期と比べてどの割合が下がったかを見ると、どこから手を入れるかが決まります。
なお、リードは担当者の単位で数えるので、同じ会社から3人が資料をダウンロードすれば3件です。会社の数で見ると、リードの数より少なくなります。
過去の数字を4つの部門で並べ、前の期や目標から下がった段階にKPIを置き、部門の間の引き継ぎの基準と戻し方を決めます。
SFA・CRMとMA(マーケティングオートメーション)から、過去6か月のリードの数・商談の数・受注の数・契約を続けた顧客の数を取り出し、部門ごとの母数・成功率・ゴールの表に入れます。部門がまだ分かれていなくても、数字は同じ形で並べられます。表の単位(担当者・件・社)は、列ごとに書いておきます。
段階ごとの成功率は母数の性質が違うので、割合の高い低いをそのまま比べても意味がありません。前の期より下がった段階か、目標との差がいちばん大きい段階を選び、そこを動かす数字をKPI(重要業績評価指標)にします。商談化率が下がっていれば、インサイドセールスの「連絡したリードのうち、課題と時期を聞けた割合」のような数字です。
引き継ぎは3か所あります。マーケティングからインサイドセールスへは、どのリードを引き継ぐか(MQLの基準)。インサイドセールスからフィールドセールスへは、何を確かめたら商談として引き継ぐか。フィールドセールスからカスタマーサクセスへは、受注のときに何を書いて引き継ぐかです。
商談の基準は、「課題・時期・検討に関わる人の役割の3つを聞けたら、商談として引き継ぐ」のように、確かめることで書きます。受注の引き継ぎには、導入の目的・決めた人・使う人・商談で約束した内容を書きます。
数えるときは、SQL・商談化・商談の実施を分けます。SQLは、インサイドセールスが基準を満たしたと判断したリードです。商談化は、フィールドセールスとの日程が決まったことです。商談の実施は、実際に話したことです。この記事の表の「商談の数」は、日程が決まった件数を指します。
連絡したものの時期が合わなかったリードや、失注した商談をどこに戻すかを決めます。結果は「商談・検討中・保留・見送り」から選び、保留と見送りは理由をつけてマーケティングのナーチャリングに戻します。戻す仕組みが無いと、過去に接点があった会社が、時間とともに埋もれていきます。
毎月1回、4つの部門の責任者が同じ表を見て、成功率が下がった段階と、その理由を話します。引き継ぎの基準を変えるかどうかも、この会議で決めます。受け取る側が対応しきれない月に基準を下げたままにすると、引き継いだのに連絡されないリードが増えます。
マーケティングは施策を商談化率で比べ、インサイドセールスは連絡の期限を、フィールドセールスは商談の段階と結果の返し方を決めます。
展示会・広告・セミナー・資料ダウンロードのそれぞれで、リードの数に加えて、インサイドセールスに引き継いだあとの商談化率を比べます。リードは多いのに商談化率が低い施策は、引き継ぎの基準か、施策で接点を持つ相手のどちらかが合っていない手がかりです。
マーケティングから引き継いだリードに、何営業日以内に連絡するかを決めます。資料請求の翌日と2週間後では、相手が覚えている内容が違います。期限を過ぎたリードの数も、毎月の表に入れます。
商談の中も、「課題の合意・比較と選定・稟議・契約」のように段階を分け、次の段階に移る条件を決めます。条件があれば、受注率が下がったときに、どの段階で止まる商談が増えたかが分かります。商談が終わったら、「受注・検討中・保留・失注」と理由の選択肢でSFAに書きます。結果が戻れば、インサイドセールスは引き継ぎの基準を、マーケティングは施策の選び方を見直せます。
ターゲット企業の数が多く、1社あたりの取引が小さいほど、4部門の分業はそのまま合います。社数が少なく取引が大きいほど、ABMと組み合わせて会社ごとのチームで担当する形が要ります。
社数が多く取引が小さい会社には、リードを部門で順に引き継ぐ進め方がそのまま合います。社数が多く取引が大きい会社には、業種ごとにまとめて資料とセミナーを用意し、業種に詳しい担当を決めます。社数が少なく取引が小さい会社には、1人が担当する会社を決め、引き継ぎの基準だけをそろえます。社数が少なく取引が大きい会社には、会社ごとに担当のチームを置きます。
この進め方では、担当者のリードを1件ずつ引き継ぎます。そのため、同じ会社の複数の担当者が、別々の部門で対応されることがあります。取引の大きいターゲット企業では、ABM(アカウントベースドマーケティング)の考え方で会社ごとに担当のチームを決め、企業の単位で段階を数えます。
同じ会社の中でも、両方の扱いが混ざっているのがふつうです。どの会社をどちらで扱うかは、GTM戦略でターゲット企業を売上の大きさで3つの段(A・B・C)に分けるときに決めます。
| 言葉 | 受け持つ範囲 | 関係 |
|---|---|---|
| GTM戦略 | 誰に・何を・どこで・どう数えるかを決める全体の計画 | The Modelより前に決める。The Modelは、決めた計画を部門で分担して進めるときに使う |
| ABM | ターゲット企業を名前で選び、会社ごとにアプローチを変える進め方 | The Modelが担当者のリードで引き継ぐのに対し、ABMは企業の単位で数える。組み合わせて使う |
| The Model | 4つの部門に分け、前の部門の成果を次の部門の母数として引き継ぐ進め方 | — |
GTM戦略の立て方は「GTM戦略の立て方|BtoBマーケ・セールスで答える4つの問いと策定手順」、GTM戦略との違いは「GTM戦略とThe Modelの違い」でくわしく解説しています。
メリットは、売上が足りない理由を段階ごとに探せることと、部門ごとに仕事を深められることです。失敗は、引き継ぎの基準が無い、件数だけを目標にする、リードが戻らない、大きな取引の会社もリード単位で進める、の4つです。
メリットの1つめは、売上が足りないときに、どの段階の割合が下がったかを数字で確かめられることです。2つめは、各部門が自分の段階の仕事を深められることです。インサイドセールスは連絡の質を、カスタマーサクセスは導入の支援を、それぞれの専門として磨けます。どちらのメリットも、次の4つの失敗を避けたときに得られます。
基準が文章になっていないと、マーケティングは「引き継いだ」、インサイドセールスは「受け取っていない」と言い合います。ステップ3の3か所の基準を、引き継ぐ側と受け取る側の責任者が合意した文書にします。
マーケティングがリードの数だけを、インサイドセールスが商談の数だけを目標にすると、件数を増やすために基準を下げる動きが出ます。目標は、件数と次の部門での成功率を組で置きます。
保留や見送りのリードが戻らないと、マーケティングは毎月、新しいリードを同じ数だけ集め直すことになります。結果の選択肢と戻し先を、ステップ4で決めておきます。
取引の大きい会社では、決める人・使う人・調べる人が多く、検討も長く続きます。担当者のリードごとに部門を移していくと、会社全体の検討がどこまで進んだかを、誰も説明できません。こうした会社は、会社ごとのチームで担当します。
GTM戦略で決めた計画を部門で分担し、ABMで会社ごとのアプローチを組み合わせるときに使う言葉です。
今日できることは、過去6か月と、その前の6か月のリードの数・商談の数・受注の数を2行に並べ、リードから商談、商談から受注の割合を比べることです。前の6か月より下がった割合が、最初にKPIを置く場所の候補になります。
ウルテク(URUTEQ)は、ABM(アカウントベースドマーケティング)の考え方で、ターゲット企業からの商談獲得を仕組み化するBtoBマーケティング・営業支援サービスです。ウルテクで保有するデータと貴社のマーケティング・営業結果を組み合わせ、ターゲット企業ごとの段階と商談の数を、毎月の定例で確かめます。
The Model・ABM・ABXが受け持つ範囲の違いは、「GTM戦略ガイド」の5ページで図にしています。
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