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マーケティングが渡したリードを、営業が追いきれない原因と直し方

この記事のポイント

マーケティングが渡したリードを、営業が追いきれないときは、渡す量を営業の持ち時間に合わせ、渡す条件と対応期限を先に決めます。

セミナーと資料請求で、今月もリードは集まった。営業に渡した。ところが月末に聞くと、半分以上が手つかずのまま残っている。あなたのチームでも、そんな月が続いているかもしれません。

営業に聞けば「質の低いリードが多い」と返ってきます。マーケティングから見れば「渡したのに追ってくれない」です。どちらの言い分にも根拠があり、話し合っても平行線になりがちです。

原因の多くは、人の努力より、渡し方の決めごとにあります。決めごとが空いたまま件数だけを増やすと、手つかずの山が毎月積み上がります。

この記事でわかること
  • マーケティングから営業へのリードの受け渡しの中身と、営業が追いきれなくなる4つの理由
  • 営業の持ち時間から、週に渡せる件数の上限を出す計算
  • 渡す条件・優先度・対応期限・結果の戻し方を決める5つの手順
  • 受け渡しがうまくいっているかを確かめる4つの数字
  • 受け渡しの見直しで失敗しやすい運用
  • 会社ごとの検討段階で、営業に渡す会社を絞る方法

マーケティングから営業へのリードの受け渡しとは?

リードの受け渡しとは、マーケティングがリードの情報を営業に送り、誰が・いつまでに・何をするかを両部門で約束することです。約束が無いまま情報だけを送ると、受け取った営業の都合で後回しになります。

多くの会社では、メールやチャットで「この会社が資料を請求しました」と営業に知らせます。知らせた時点で、マーケティングの仕事は終わったことになっています。営業の側から見ると、知らせは届いても、いつまでに何をすればよいかは書かれていません。

マーケティングと営業のあいだでは、MQL(マーケティングが営業に渡せると判断したリード)と SQL(営業が商談の対象と認めたリード)という区分がよく使われます。

CRM で区分を管理するなら、HubSpot のライフサイクルステージの説明(2026年10月確認)のように、ライフサイクルの段階の名前と、次の段階に移る条件を先に定めておきます。言葉が同じでも、移る条件が部門ごとに違えば、すれ違いは残ります。

なぜ、渡したリードを営業が追いきれないのか?

マーケティングが渡したリードを営業が追いきれないのは、渡す量が営業の持ち時間を超え、どれから手を付けるかも決まっていないからです。細かく分けると、理由は4つあります。

渡す量が、営業の持ち時間を超えている

営業は、既存のお客様の対応と進行中の商談を抱えています。新しく渡されたリードに使える時間は、マーケティングが思っているより短いことがあります。マーケティングの目標がリードの件数だけだと、件数が増えるほど、営業の手元には手つかずの山が積み上がります。

渡す条件が、両部門で合意されていない

マーケティングは「資料を請求した人」を渡し、営業は「予算と時期が決まっている会社」を待っている。条件が言葉にされていないと、渡されたリードの多くが営業の基準に合わず、全部が後回しになります。

どれから手を付けるかが、決まっていない

たとえば40件が同じ重さで並んでいると、営業は知っている会社や話しやすそうな相手から手を付けます。その結果、ターゲット企業のリードが後ろに回ることがあります。優先度は、渡す側が付けて渡します。

結果がマーケティングに戻ってこない

電話がつながったか、断られたか、商談の日程が決まったか。結果が戻らないと、マーケティングは翌月も同じ条件で渡し続けます。条件を直す材料が無いので、すれ違いが毎月くり返されます。

4つのうち、最初に直すのは量です。量が持ち時間に収まらないうちは、条件や優先度を整えても、手つかずの山は残ります。

営業とマーケティングの考え方の違いそのものは「営業とマーケの溝とは」で詳しく書いています。

渡したリードを営業が追いきれないまま続けると、何が起きるか?

渡したリードを営業が追いきれないまま続けると、商談になりえた会社への連絡が遅れ、同じ会社への二重の連絡も起きやすくなります。どちらも、件数の報告だけでは表に出てきません。

起きることマーケティングから見えること営業から見えること
連絡の遅れ渡したのに、2週間たっても結果が来ない気づいたときには、相手の検討が終わっていた
二重の連絡メールで案内した会社に、営業も電話していた電話したら「先日メールが来た」と言われた
条件が直らない翌月も同じ条件で渡しているまた同じような会社ばかり来る
予算の説明ができない件数は達成したのに、商談の数で説明できないどのリードが商談になったか、記録が残っていない

表のどの行も、片方の部門だけでは気づけません。マーケティングと営業が同じ表を見て初めて、どこで止まっているかが分かります。

いちばん大きいのは最後の行です。来期の予算を決める場で、件数は説明できても、商談の数では説明できない。その状態が続くと、施策そのものを続けるかどうかの議論になります。

営業が追いきれるリードの件数は、どう計算するか?

営業が追いきれるリードの量は、初回対応に使える週の時間を、1件の初回対応にかかる時間で割って出します。出た数が、1週間に営業へ渡せるリードの上限です。

架空の例で計算します。営業が3人いて、新しいリードの初回対応に使える時間は1人あたり週4時間、合わせて週12時間です。1件の初回対応には、相手の会社を調べる15分と、電話やメールの15分で30分かかるとします。

週12時間を30分で割ると、週24件が上限です。マーケティングが週60件を渡していれば、毎週36件が手つかずで残ります。4週で144件。月末に半分以上が残るのは、計算どおりの結果です。

営業が追いきれる量の計算営業が初回対応に使える週の時間を、1件の初回対応にかかる時間で割ると、週に渡せる件数の上限になる。集まったリードは上限で2つに分け、上限までは期限つきで営業へ渡し、超えた分はマーケティングがメールなどで接点を保つ。検討が進んだ会社は、その時点で営業へ渡す。週に渡せる件数の上限は、営業の時間から計算する営業が初回対応に使える週の時間1件の初回対応にかかる時間週に渡せる件数の上限÷=その月に集まったリードを、上限で2つに分ける上限まで:期限つきで営業へ超えた分:マーケティングが接点を保つ検討が進んだ会社は、その時点で営業へ渡す
図1:週に渡せる件数の上限を営業の時間から出し、上限を超えた分はマーケティングが接点を保つ

図1のように、上限を超えた分は捨てずに、渡し先を変えます。マーケティングがメールやセミナーの案内で接点を保ち、検討が進んだ時点で営業に渡します。

新しいリードに使える週の時間は、営業の責任者に聞く

計算に使う週の時間は、マーケティング側で見積もらず、営業の責任者に聞きます。「新しいリードに、1人あたり週何時間なら確実に使えますか」と聞けば答えやすくなります。答えが週2時間なら、上限は半分になります。

1件あたりの時間は、実際に10件ほど対応してもらい、平均を出します。調べる時間を省くと1件は短くなりますが、電話の中身が薄くなり、つながっても話が続きません。営業やインサイドセールスの人数が多い場合も、同じ式で人数分の時間を足します。

インサイドセールスが間に入る場合の計算

インサイドセールスや外部のテレマが間に入ると、リードは2回渡ります。マーケティングからインサイドセールスへ渡す量は、インサイドセールスの持ち時間で計算します。インサイドセールスから営業へ渡す条件(たとえば商談の日程が決まった会社)は、それとは別に決めておきます。

リードの受け渡しを見直す5つの手順は?

リードの受け渡しは、①対象の会社をそろえる、②渡す条件、③優先度と期限、④知らせの項目と結果の戻し方を文章で決める、⑤渡す条件を月1回直す、の5つの手順で見直します。1回の打ち合わせで全部を決める必要はありません。

リードの受け渡しを見直す5つの手順1 ターゲット企業と外す会社を、マーケティングと営業で同じ一覧にする。2 渡す条件を、会社・人・接点の組み合わせで文章にする。3 優先度A・B・Cと対応期限を付ける。4 渡すときに添える項目と結果の戻し方を決める。5 月1回30分で条件を1か所ずつ直し、分かったことを翌月の1〜4に戻す。リードの受け渡しを見直す5つの手順と、それぞれでできるもの1対象の会社を同じ一覧にする2渡す条件を文章にする3優先度A・B・Cと期限を付ける4結果の戻し方を決める5月1回30分で渡す条件を直す対象の一覧条件の文章優先度の表知らせの文面直した条件5で分かったことを、翌月の1〜4に戻す
図2:5つの手順のそれぞれでできるものと、5で分かったことを翌月の1〜4に戻す流れ

手順1:ターゲット企業と外す会社を同じ一覧にする

最初に、どの会社に時間を使うかを1つの一覧にします。ターゲット企業の一覧と、外す会社(既存のお客様・商談中・競合)の一覧です。マーケティングと営業が別々の一覧を持っていると、この時点ですでに条件がずれています。

手順2:渡す条件を、文章で決める

条件は「会社」「人」「接点」の3つを組み合わせて書きます。たとえば「ターゲット企業の一覧に入っている会社で、課長以上の人が、料金の資料を請求した」。条件を文章にしておくと、営業は渡された理由をその場で確かめられます。

手順3:優先度を3つに分け、対応期限を決める

渡すリードを優先度A・B・Cに分け、優先度ごとに誰がいつまでに何をするかを決めます。期限は、営業の持ち時間で守れる長さにします。

優先度条件の例誰が・いつまでに・何をするか
Aターゲット企業で、問い合わせか料金の資料の請求があった営業が2営業日以内に電話する
Bターゲット企業で、セミナーに参加した・事例の資料を請求した営業が5営業日以内にメールで連絡する
Cターゲット企業の外、または情報収集の段階営業に渡さず、マーケティングがメールで接点を保つ

期限を過ぎたリードは、翌営業日にマーケティングへ戻すと決めておきます。優先度Cを営業に渡さないと決めると、Cに当たる件数の分だけ営業の手元の件数が減ります。営業から見れば、届くリードはすべて「期限のある仕事」に変わります。訪問者の多くはすぐに検討を始めていない、という前提は「訪問者の95%は今すぐ客ではない」でも書いています。

手順4:知らせに添える項目と結果の戻し方を決める

渡すときの知らせには、営業が会社を調べ直さなくて済む項目を添えます。結果は選択肢から選んで書いてもらい、自由に書く欄は別に1つだけにします。

添える項目書く内容
会社名と優先度会社名、AかBのどちらか
渡す理由どの条件に当てはまったか(例:料金の資料を請求)
これまでの接点過去の商談・名刺交換・セミナー参加の有無と日付
期限何日までに、電話かメールか
結果の書き場所CRM の項目名か、共有の表の列

結果の選択肢は、次の5つで足ります。5つに絞ると、月末に数えるときに迷いません。

  • つながらない
  • 断り
  • 資料を送った
  • 商談の日程が決まった
  • 対象外

知らせの文面は、たとえば次の1行です。「〈会社名〉(優先度A):料金の資料を請求。昨年10月に名刺交換あり。10日までに電話をお願いします。結果は CRM の『初回結果』に」。読んだ営業が、そのまま電話をかけられる形にします。

手順5:月1回、30分で営業に渡す条件を直す

月に1回、マーケティングと営業の責任者が30分集まり、次の章の4つの数字を見ます。直すのは1回に1か所までにします。一度に条件を変えると、何が効いたのか分からなくなります。

ライフサイクルの段階の言葉や KPI のそろえ方は「マーケ×営業の共通言語となるKPIツリーの作り方」にまとめています。部門をまたいで数字を持つ役割については「RevOps(レベニューオペレーション)とは」も参考になります。

リードの受け渡しがうまくいっているかは、何の数字で確かめるか?

リードの受け渡しがうまくいっているかは、渡した件数に加えて、期限内に初回対応ができた割合と、商談になった数で確かめます。件数だけを追うと、手つかずの山が増えても数字は良く見えます。

数字数え方低いときに見直すこと
渡した件数優先度AとBで渡したリードの数上限を超えていないか
期限内の初回対応率期限内に初回対応ができた件数 ÷ 渡した件数量か期限のどちらかが無理になっていないか
結果の戻り率結果が書かれた件数 ÷ 渡した件数選択肢と書き場所が使いやすいか
商談になった数日程が決まり、面談をした会社の数渡す条件が営業の基準と合っているか

架空の例です。あなたのチームがある月に40件を渡し、期限内に初回対応ができたのが30件なら、期限内の初回対応率は75%です。翌月に渡す件数を30件に減らして率が90%を超えれば、量が原因だった可能性が高いと判断できます。

商談は「日程が決まり、面談をしたもの」と数えると、部門ごとに数え方がずれません。日程が決まった時点と面談をした時点は分けて記録し、面談をした日は CRM の商談の記録に残します。

リードの受け渡しの見直しで、失敗しやすい運用は?

リードの受け渡しの見直しで失敗しやすいのは、営業が書く項目を増やしすぎることと、渡すかどうかを1つの物差しだけで一律に決めることです。どちらも、決めごとを守る手間を営業に寄せてしまいます。

  • 結果の入力欄を10項目に増やす:書く手間が増え、結果の戻り率がかえって下がります。選択肢5つと自由欄1つで始めます。
  • リードの点数だけで渡す:資料を何本も読んだ学生や同業他社が、上位に入ることがあります。会社の条件と組み合わせます。
  • 全部を渡すか、全部を止めるかの二択で考える:全部を渡せば手つかずが積み上がり、全部を止めれば検討中の会社への連絡が途切れます。
  • 人単位で渡し、会社でまとめない:同じ会社の3人を3人の営業に渡すと、二重の連絡が起きます。会社ごとに担当を1人決めます。

会社ごとの担当は、手順1の一覧に「担当者」の列を足して決めます。BtoB の大きな商材では、1社の中で複数の人が同時に検討していることがあります。

セミナーのあとに参加者をどう渡すかは「ウェビナー後のフォロー方法」で、優先度Cに置いたリードへの案内は「休眠リード掘り起こしの鉄板シナリオ」で詳しく書いています。

会社ごとの検討段階で、営業に渡す会社を絞る方法とは?

会社ごとの検討段階で営業に渡す会社を絞る方法では、ターゲット企業ごとに検討段階を記録し、新規リードの段階に進んだ会社を優先して営業に渡します。営業が当たる会社が絞られ、1社ずつに使える時間が増えます。

ここでの検討段階は、会社の区分です。HubSpot などのライフサイクルの段階(MQL・SQL)がリード、つまり人の区分なのとは別に持ちます。ウルテク(URUTEQ)では、会社ごとの検討段階を次の5つに分けています。

会社ごとの検討段階判定の条件
商談日程が決まり、面談をした
新規リード基準日のあとに、初めてリードを取れた(セミナー・フォーム・展示会など)
既存リード基準日より前からの接点がある(名刺・過去の商談など)
サイト訪問来訪が分かっている。リードはまだない
空白接点も来訪もない

上から順に判定し、最初に当てはまった段階に入れます。どの段階の会社を営業に渡すかは、手順2と手順3の条件で決めます。

この形は、ABM(アカウントベースドマーケティング)の考え方と同じです。レクシスネクシス・ジャパン様の事例(2026年10月確認)では、マーケティング側から営業チームへ「毎週5件の高品質な営業リストを提供する」というKPIを設定しました。週5件に厳選したリストから、好調時は半数以上が商談化しています。

この事例で渡す前に外していたのは、既存のユーザーと営業中の企業でした。手順1の外す一覧と同じ考え方です。

リードの受け渡しでよくある質問

営業がマーケティングのリードを追わないのはなぜですか?
多くは、渡す量が営業の持ち時間を超えているためです。まず営業の責任者に、新しいリードに使える週の時間を聞きます。
渡したリードが放置されるときは、どうすればよいですか?
期限を過ぎたリードは、翌営業日にマーケティングへ戻すと決めます。戻した理由を、営業が結果を書く欄(CRMの項目など)に残すと、翌月の条件の見直しに使えます。
営業の人数が足りず、持ち時間を増やせないときはどうしますか?
渡す条件を絞り、すぐ電話するリードを減らします。営業に週に渡す件数の上限は変えず、残りにはマーケティングからメールで連絡します。
インサイドセールスがいる場合、営業との役割はどう分けますか?
たとえば、初回対応と日程の調整をインサイドセールス、面談からを営業が受け持ちます。移る時点を文章で決めておきます。
リードの点数(スコア)だけで、営業に渡すかを決めてもよいですか?
点数だけだと、ターゲット企業の外の会社が上位に入ることがあります。会社の条件と組み合わせて決めます。
リードの受け渡しの決めごとは、どのくらいの頻度で見直しますか?
月1回、30分で足ります。期限内に初回対応ができた割合と商談になった数を見て、渡す条件を1か所ずつ直します。

まとめ:渡したリードを営業が追いきれるようにするには

  1. 量:営業の持ち時間÷1件の対応時間を、週に渡す件数の上限にします。
  2. 条件と期限:ターゲット企業の一覧をそろえ、渡す条件を文章で決め、優先度A・B・Cと対応期限を付けます。
  3. 戻し方と見直し:結果を選択肢5つで戻してもらい、月1回、商談になった数を見て条件を直します。

量と条件を数字と文章で決めておけば、次の打ち合わせでは「何件を、どの条件で渡すか」を話し合えます。あなたのチームでは、営業が新しいリードに使える時間は週に何時間でしょうか。

まだ聞いていなければ、来週の打ち合わせで営業の責任者に、その時間を1つだけ聞いてみてください。来月から渡す件数は、その答えから決まります。

著者紹介
井上翔太
ウルテク| URUTEQ 事業責任者 ---- 新卒で証券会社に入社し、BtoCのセールスを経験。その後、PR代理店にてBtoB・BtoC企業向けのデジタルマーケティングコンサルティングや新規営業を担当。ログリー株式会社入社後は、BtoBマーケティング向けSaaSの開発やマーケティング、セールスなどを行う。現在は、これまでの経験を活かし、BtoBマーケAIエージェント「アカウントインテリジェンスツール ウルテク」の事業責任者を務めている。

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