BtoBマーケティング
インサイドセールス
展示会やウェビナーの名刺が、フォローされずに残っているときは、担当と期限を決め直し、名刺を連絡の優先度でA〜Dの4段に分け、上の段から連絡します。
展示会が終わって3週間。名刺の束はブースに立った人の机に分かれ、ウェビナーの参加者一覧は配信ツールの中にあります。どちらにもまだ連絡しないうちに、次の出展の準備が始まっています。あなたのチームでも、前回の展示会の名刺を誰が持っているか、すぐには答えられないかもしれません。
出展にもウェビナーにも、費用と準備の時間がかかっています。それでも名刺が残るのは、担当者の手が遅いからとは限りません。誰が、いつまでに、どの順で連絡するかが、会期の前に決まっていないことが多いのです。
ここでのフォローは、名刺の相手に最初の連絡をし、返信と商談の有無まで追うことです。すでに残っている名刺は、今月中に片付けられる量に分ければ動かせます。片付ける手順と、次の会期で名刺を残さないために前もって決めることを、表と文例つきで書きます。
目次
展示会やウェビナーの名刺がフォローされずに残るのは、名刺を集めた人と連絡する人が分かれ、連絡の期限と順番も決まっていないからです。情報が何か所にも分かれていることも、名刺の片付けを遅らせます。
ブースには営業・技術・マーケティングの人が交代で立ちます。名刺は受け取った人の手元に分かれ、会期が終わると、それぞれが自分の仕事に戻ります。誰が連絡するのかを決めた人がいないまま、束だけが残ります。
担当を決めるのは、出展を決めた部署です。マーケティングが出展を決めたなら、名刺を集めて段を付けるまでをマーケティングが受け持ち、営業に渡す名刺だけを営業に回します。会期の前にこの分担を決めておかないと、会期の翌週には誰も名刺の束を開きません。
会期の翌週は、止めていた見積や商談の準備で埋まります。期限の無い名刺の連絡は、期限のある仕事の後ろに回り、気づくと1か月がたっています。
300枚が優先度の無いまま並ぶと、どこから手を付けるかを決めるだけで手が止まります。結局、知っている会社や話しやすかった相手から連絡し、課題を話してくれた会社が後ろに回ることがあります。
紙の名刺、名刺アプリ、ウェビナーの参加者一覧、アンケートの回答。置き場所が分かれていると、同じ会社から何人と会ったのかが分かりません。同じ会社に、営業とマーケティングが別々に連絡してしまうこともあります。
ウェビナーの参加者は、展示会の名刺より順番を付けやすい相手です。申込の時点でテーマへの関心を自分で示していて、申込フォームの回答と、当日の参加・欠席の記録も残っています。それでも残るのは、参加者一覧が配信ツールの中にあり、営業の目に触れないことが多いからです。
4つのうち、最初に決めるのは担当です。担当がいないうちに順番や文面を整えても、送る人がいません。
残っている名刺の棚卸しは、名刺を1つの表に集め、会社ごとにまとめ、連絡しない会社に印を付けるところまでです。文面を考えるのは、そのあとです。
あなたのチームが名刺アプリやウェビナーの配信ツールを使っていれば、それぞれから一覧を書き出し、同じ表に貼ります。表の列は、次の7つで足ります。すでに CRM(顧客管理の仕組み)や MA(マーケティングの自動化の仕組み)を使っているなら、同じ項目をそちらに作ります。
| 列 | 書く中身 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 会社名 | 正式な社名(グループ会社は分ける) | 同じ会社の人をまとめる |
| 部署と役職 | 名刺のとおり | 商材に合う相手かを見る |
| 接点 | 展示会名・ウェビナー名と日付 | メールの件名と書き出し |
| 会話のメモ | ブースや質疑で聞いたこと | 段を決める |
| 展示会後の問い合わせ | 問い合わせ・資料請求の有無 | 段を決める |
| 段 | A・B・C・D | 連絡の順番と期限 |
| 連絡の状況 | 未連絡・連絡済み・返信あり・商談の日程が決まった | あとで数える |
会話のメモが空の名刺が多くても、作業は止めません。メモの無い名刺は、次の段分けで下の段に入るだけです。
名刺は、会話の中身と会社の条件で4つの段に分け、上の段から連絡します。段ごとに、最初の連絡の方法と担当も決めておきます。
| 段 | 条件 | 最初の連絡 | 担当 |
|---|---|---|---|
| A | 会話で課題か導入の時期が出た。展示会のあとに問い合わせ・資料請求があった | 個別のメールと電話 | 営業 |
| B | ターゲット企業の一覧に入っている会社 | 個別のメール。返信が無ければ電話 | 営業かインサイドセールス |
| C | ターゲット企業の外だが、部署と役職が商材に合う | 資料や次のウェビナーの案内のメール | マーケティング |
| D | 上のどれにも当たらない(情報収集だけ・部署が商材に合わない) | メールマガジン | マーケティング |
手元の表で、AとBの合計が、営業が期限内に連絡しきれる数を超えていないかを確かめます。超えていれば、Bの条件を絞ります。ターゲット企業の一覧がまだ無いなら、「ICP(理想の顧客像)の作り方」の手順で、条件を先に決めておくと段分けが速くなります。
ウェビナーの参加者一覧も、同じ4つの段に分けます。申込の回答で「検討中」を選び、当日に参加した人はAの段です。欠席した人は、ターゲット企業の一覧に入る会社ならB、それ以外はCの段に入れ、どちらも録画の案内から始めます。
同じ段の中では、展示会のあとに自社サイトの製品ページを見ている会社から連絡します。ウルテクの導入事例として公開している株式会社リコーの事例記事(2026年10月時点の内容)では、以前は数百社の展示会のリストを、インサイドセールスの担当者が経験でA・B・Cに分け、上位の3割程度にメールを送っていました。いまは展示会の前後のサイト閲覧を加えて順番を決め、そのリストから商談につながった会社も出ています。
ウルテク(URUTEQ)では、名刺の会社の一覧を読み込み、会社ごとのサイトへの来訪を並べて見られます。会期の直後から使う手順は「展示会の名刺を最大限に生かす方法」にあります。
順番を決めるのに使ったサイトの閲覧は、メールの本文には書きません。ウルテクでも、営業のメールに相手の閲覧のことは書かない決まりにしています。
名刺の相手に連絡する期限は段ごとに決めて会期の翌営業日から数え、期限を過ぎた名刺を移す段も同じ表に書きます。移す段が決まっていないと、期限を過ぎた名刺は元の山に戻ります。
| 段 | 期限の例 | 期限を過ぎたら |
|---|---|---|
| A | 2営業日以内 | その日のうちに上長へ知らせ、担当を替える |
| B | 1週間以内 | Cに移し、マーケティングがメールで連絡を続ける |
| C | 2週間以内に1通目 | 月1回の案内のメールに移す |
| D | 次のメールマガジン | そのまま配信を続ける |
期限の日数は例です。営業の人数と名刺の枚数で決め直してください。日数より先に決めるのは、期限を過ぎた名刺を移す段です。
1か月以上たった名刺も、同じ4つの段に分けます。AやBの名刺でも、いきなり電話せず、展示会のフォローメールから入ります。
ウェビナーを欠席した人には、録画や資料の案内から入れます。参加者と欠席者の分け方は「ウェビナー後のフォロー方法」に、半年以上連絡していない相手への連絡は「休眠リードの掘り起こし」に書いています。
展示会のフォローメールの1通目には、会った場所、会話の中身、相手が次にできることの3つを書きます。会社の紹介は短くし、相手の話から書き始めます。
Aの段の文例です(社名・製品名は架空です)。
件名:〇〇展でお話しした検査工程の件(サンプル工業 山田)
〇〇展の弊社ブースでは、検査工程の人手についてお話を伺い、ありがとうございました。お話にあった、目視検査と自動検査の比べ方を1枚にまとめた資料をお送りします。来週、15分ほどお電話で補足してもよろしいでしょうか。
1か月以上たった展示会の名刺には、遅れたお詫びを長く書かず、相手の課題に関係する資料を1つ添えます。
件名:〇月の〇〇展でお話しした、検査工程の比較資料をお送りします
〇月の〇〇展では、弊社ブースにお立ち寄りいただき、ありがとうございました。お話にあった検査工程の人手について、目視検査と自動検査の比べ方を1枚にまとめました。ご関心があれば、このメールにご返信ください。
ウェビナーの申込者には、次のように書きます。
件名:〇月のウェビナー「〇〇」で質問の多かった点をまとめました
先日は弊社のウェビナーにお申し込みいただき、ありがとうございました。当日に質問の多かった〇〇について、1枚の資料にまとめましたのでお送りします。貴社の状況に合わせたご説明が必要でしたら、このメールにご返信ください。
どの文例も、相手が次にできることを1つだけ書いています。資料、電話、返信のうち、どれか1つに絞ります。Aの段に電話するときも、最初に伝えるのは展示会名、会話の中身、送った資料の3つです。展示会のあとにサイトを見ていた会社へ電話で連絡する仕組みは「展示会後のテレアポはもう古い?」に書いています。
個人情報保護委員会のよくある質問(Q4-16)(2026年10月確認)は、会社の一員として名刺交換をした相手に、自社の案内のメールを送ることを「取得の状況からみて利用目的が明らか」な場合に当たり、利用目的をあらためて知らせなくてもよい、としています。同じ回答は、特定電子メール法などほかの法令も守るよう添えています。
メールには、送り主の名前や配信を止めるための連絡先など、特定電子メール法が求める表示を入れます。配信を止めたいと連絡してきた相手には、それ以降は送りません。表の「連絡の状況」に印を付けておくと、別の担当が誤って送るのを防げます。
営業に名刺を渡すときは、接点の名前と日付・会話のメモ・段と期限・同じ会社で会ったほかの人の4つを表の行にそろえます。接点と会話のメモは棚卸しの表から書き写し、期限は段から決まります。束のまま手渡すと、会話のメモが営業に届きません。
営業からは、結果を選んで返してもらいます。「商談の日程が決まった」「面談をした」「検討は来期以降」「担当の部署が違う(紹介先あり)」「連絡がつかない」「見送り」の6つです。自由に書く欄だけだと、忙しい週は空のまま戻ってきます。
返ってきた結果で、名刺の段を入れ替えます。「検討は来期以降」はCの段へ移してマーケティングが案内を続け、問い合わせや資料請求があった時点でAの段として営業に戻します。
営業がすぐに受け取れない事情もあります。グループの販売会社に連絡を頼みにくい、営業の人数が足りない、などです。そのときは、インサイドセールスかマーケティングの担当が1通目を送り、返信があった会社だけを営業に渡します。
名刺のフォローが商談につながったかは、名刺の枚数ではなく会社の数で、段ごとに期限内の連絡・返信・商談の3つを数えて確かめます。ここでの商談は、日程が決まり、面談をしたものに限ります。下の表の数字は架空の例です。
| 段 | 会社の数 | 期限内に連絡 | 返信あり | 商談 |
|---|---|---|---|---|
| A | 12社 | 12社 | 8社 | 3社 |
| B | 40社 | 34社 | 9社 | 2社 |
| C | 95社 | 80社 | 6社 | 0社 |
| D | 60社 | 60社 | 1社 | 0社 |
| 合計 | 207社 | 186社 | 24社 | 5社 |
この表が埋まると、次の出展の予算を相談するときに、出展の費用を商談になった会社の数で割った額を示せます。架空の例で、出展の費用が300万円なら、300万円÷5社で1社あたり60万円です。名刺の枚数だけの報告では、この額は出せません。
検討に時間がかかる商材なら、会期の1か月後で締めず、3か月後と6か月後に数え直します。株式会社リコーの事例(2026年10月時点の公開内容)でも、高額な製品は予算取りに時間がかかるため、1年半ほどの期間で成果を見ていくと話しています。展示会全体の指標の決め方は「展示会の効果測定」に書いています。
次の展示会で名刺を連絡しないまま残さないためには、会期の前に、担当・入力の期限・段の条件・1通目の文面の4つを決めておきます。4つとも、会期の前の打ち合わせ1回で決められる量です。
| 決めること | 決め方の例 |
|---|---|
| 名刺の担当 | マーケティングの1人を決め、毎日の終わりに全員の名刺を集める |
| 入力の期限 | 会期の翌営業日の昼までに、1つの表か CRM に入れる |
| 段の条件 | この記事の4つの段を、自社の商材に合わせて書き直す |
| 1通目の文面 | 段ごとに用意し、会話のメモを差し込む場所を空けておく |
ブースでは、名刺の裏か名刺アプリのメモ欄に「課題・時期・次の約束」を一言だけ書いてもらいます。この一言があるかどうかで、Aの段に入る名刺の数が変わります。ウェビナーでは、申込フォームに「いま検討していること」を選ぶ質問を1つ足します。
今回の棚卸しで空欄の多かった列が、次の会期の前に先に決める項目です。
名刺の山は、段に分けたとたんに、今週営業が連絡する会社と、メールで連絡を続ける残りに分かれます。あなたのチームの机やツールに残っている名刺も、例外ではありません。
まだ数えていなければ、今週のうちに1つの表へ集め、会社の数を数えるところから始めてみてください。そのうち何社がターゲット企業の一覧に入るかで、今週、営業が連絡する会社の数が決まります。
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