BtoBマーケティング
メルマガの効果測定は、6つの指標を前回と比べて次の配信で直す所を決め、BtoBでは反応を企業ごとにまとめて、商談につながったかまで確かめる作業です。
配信した翌週の定例で、「開封率は前回より2ポイント上がりました」と報告します。営業の責任者からは「それで、どの会社が読んだの?」と聞かれます。
配信ツールの画面には、開封率もクリック率も出ています。答えに詰まるのは、その数字が担当者ごとの集計で、企業ごとの反応と、その後の商談まではつながっていないからです。
BtoBのメルマガは、1通で問い合わせが来ることは多くありません。何回かの配信を読んだ企業が、サイトに戻り、営業の連絡に答えて、ようやく商談になります。効果測定も、その流れに合わせて組み立てます。
目次
メルマガの効果測定とは、配信ごとの到達・開封・クリック・CV(資料請求や問い合わせ)の数字を前回と比べ、次の配信で直す所を決める作業です。 BtoBでは、反応した企業と、その企業が商談につながったかまで確かめます。
測るのは、配信ツールの数字だけではありません。クリックのあとにサイトで何を読んだか、同じ企業の別の担当者が訪れたか、営業が連絡した結果どうなったかまで並べて、1回の配信の結果になります。
比べる相手は、業界の平均より、自社の過去の配信です。商材、配信先の数、件名の作り方で、数字は大きく変わります。前回と、過去3回の平均の2つと比べると、たまたまの上下に振り回されません。
見る指標は、到達率、開封率、クリック率、クリック開封率、CV率、配信停止率の6つです。 計算式を社内でそろえておかないと、前回との比較ができません。
| 指標 | 計算式 | 分かること |
|---|---|---|
| 到達率 | 到達数 ÷ 配信数 | エラーで戻らずに、相手のメールサーバーまで届いたか |
| 開封率 | 開封数 ÷ 到達数 | 件名と差出人の名前で、開いてもらえたか |
| クリック率 | クリック数 ÷ 到達数 | 本文のリンクまで読まれたか |
| クリック開封率 | クリック数 ÷ 開封数 | 開いた人に、本文の中身が合っていたか |
| CV率 | CV数 ÷ クリック数 | リンク先で、資料請求や問い合わせまで進んだか |
| 配信停止率 | 配信停止数 ÷ 到達数 | 配信の間隔と中身が、相手に合っているか |
クリック数は、同じ人が2回押しても1回と数えるか、2回と数えるかを決めて、毎回同じにします。配信ツールによって、初めの設定が違うことがあります。
配信ツールによっては、クリック数÷開封数を「クリック率」と表示するものや、開封率を到達数ではなく配信数で割るものがあります。この表では、クリック数÷開封数をクリック開封率と呼び、開封率とクリック率は到達数で割っています。自社のツールの画面がどの式かを確かめてから、前回と比べます。
開封率は、件名の比べ方に使い、成果の判断には使いません。配信ツールの多くは、メールに入れた小さな計測用の画像が表示されたときに、開封と数えます。
一方、Appleのメールアプリで「メールプライバシー保護」を使うと、メールの中の画像などは、読んだときではなく受信したときに読み込まれます(Appleのサポートページで2026年10月に確認)。この機能を使う受信者がいると、読まれていないメールも開封と数えられることがあり、開封率は高めに出やすくなります。
BtoBでは、買うかどうかを企業の中の複数の人で決めます。担当者ごとの開封率とクリック率だけでは、どの企業で何人が反応したか、社内で検討が進んでいる手がかりのある企業はどこかが分かりません。
同じ企業の3人がクリックしても、クリック率の中では3人分の数字に混ざります。会社名でまとめ直すと、1社に3人の反応があったと分かります。配信リストに登録した部署の違う人が、同じ号のリンクを押していれば、社内で話題になっている手がかりです。
メール配信ツールの配信レポートが主に数えるのは、リンクを押したところまでです。MAツールから配信していれば、クリックのあとに読んだ内容やCVも記録できますが、その記録も担当者ごとに分かれています。リンク先で料金や導入事例の説明まで読んだかを企業ごとに見るには、アクセス解析やMAの記録を会社名でまとめ直します。
メルマガを読んだその日に問い合わせる企業は多くありません。数週間たってからサイトに戻ったり、営業の電話に答えたりして、商談になる企業もあります。配信の数日後に締めた数字には、その動きが入りません。

図1:メルマガの反応は、到達・開封・クリック・CV・商談と段階ごとに数が絞られる。配信ツールの配信レポートが主に数えるのはクリックまでなので、BtoBではその先を企業ごとにまとめて確かめる
手順は、配信の目的と見る数字を決める、配信の前に計測の準備をする、時期を決めて数字を集める、反応を企業ごとにまとめる、結果を次の配信と営業連携に戻す、の5つです。
目的によって、いちばん大事な数字が変わります。資料のダウンロードを増やす号ならCV率、セミナーの案内なら申し込みの数、しばらく接点のなかった企業との関係を戻す号なら、反応した企業の数です。1通に1つ、主に見る数字を決めておきます。
本文のリンクには、キャンペーンのパラメータ(utm_source・utm_medium・utm_campaign)を付けます。utm_medium には email、utm_campaign には号の名前を入れておくと、Googleアナリティクスで、どの号から来た訪問かを分けて数えられます。
同じ号の中で、どのリンクから来たかまで分けるときは、リンクごとに値を変えた utm_content も付けます。付け方は「URL 生成ツール: カスタム URL でキャンペーン データを収集する」(Google アナリティクス ヘルプ・2026年10月確認)にあります。
配信リストには、会社名と、ターゲット企業かどうかの列を足しておきます。この2列がないと、配信のあとに反応を企業ごとにまとめられません。
数字が出そろう時期は、指標ごとに違います。たとえば、到達率と配信停止率は配信の翌営業日、クリック率とCV率は1週間ほどたってから、商談は翌月の定例で確かめます。確かめる日を先に決めておくと、毎回同じ条件で比べられます。
クリックした人を会社名でまとめ、ターゲット企業かどうか、2人以上が反応したか、配信のあとにサイトへ戻ったかを並べます。ここで、担当者ごとの数字が企業ごとの数字に変わります。
次の配信では、件名、本文、配信先、配信の時間のうち1つだけを変えて比べます。2つを同時に変えると、どちらで数字が変わったのか分かりません。件名だけを変えた2通を、配信先を半分に分けて同じ時間に送るA/Bテストにすると、号のテーマの違いに左右されずに比べられます。
反応した企業のうち、自社で決めた基準に合う企業は、インサイドセールスに引き継ぎます。
レポートは、配信の結果、企業ごとの反応、営業連携の結果、次回に直すことの4つの欄を1枚に並べます。 この4つがそろうと、定例で次の配信に何を変えるかを、その場で決められます。

図2:効果測定のレポートは、配信の結果、企業ごとの反応、営業連携の結果、次回に直すことの4つの欄を1枚に並べる。BtoBでは企業ごとの反応の欄を足すと、営業連携と次の配信の判断がそろう
次の表は、ある号のレポートの例です(数字は架空)。
| 欄 | 書く中身 | 例(架空) |
|---|---|---|
| 配信の結果 | 6つの指標と、前回・過去3回の平均との差(大きく動いた指標に添える) | 配信5,000件・到達4,850件(到達率97.0%)・開封1,455件(開封率30.0%)・クリックした人97人(クリック率2.0%、前回1.5%・過去3回の平均1.6%)・クリック開封率6.7%・CV 8件(CV率8.2%)・配信停止15件(配信停止率0.3%) |
| 企業ごとの反応 | クリックした人の企業の数、そのうちターゲット企業、2人以上が反応した企業、サイトに戻った企業 | クリックした人の企業68社・うちターゲット企業21社(うち2人以上が反応した企業6社・配信のあとサイトに戻った企業9社) |
| 営業連携の結果 | 引き継いだ企業と、その後の結果 | 引き継いだ企業5社・商談の日程が決まった企業2社(翌月の定例でもう一度確かめる) |
| 次回に直すこと | 変える1か所と、比べ方 | 件名に「事例」を入れた版と入れない版を、配信先を半分に分けて送る |
例の号では、クリック率が前回より上がり、ターゲット企業21社が反応しました。21社のうち、2人以上が反応した6社を先に確かめ、自社で決めた基準に合った5社をインサイドセールスに引き継ぎました。2社は商談の日程が決まり、残りの3社は翌月の定例でもう一度確かめます。
レポートの欄を毎回同じにしておくと、3か月分を並べたときに、どのテーマや件名の付け方の号から商談の日程が決まったかを比べられます。
どの数字が下がったかで、直す所が変わります。 開封率とクリック率の組み合わせを見ると、件名と本文のどちらを直すかが決まります。

図3:開封率とクリック率を前回と比べ、両方が高ければ同じ件名と本文で続け、開封率だけ高ければ本文を、クリック率だけ高ければ件名を、両方低ければ配信先から見直す
到達率が下がったときは、宛先の誤りや退職した人のアドレスが残っていないかを確かめ、届かなかったアドレスを配信リストから外します。
配信停止率が上がったときは、配信の間隔と、配信先の分け方を見直します。全員に同じ号を送っていたら、業種や検討の段階で分けて、それぞれに合う中身を送ります。
CV率が下がったときは、メルマガより先に、リンク先のページとフォームを確かめます。本文で約束した資料と、リンク先で案内している資料が違うと、クリックした人はそこで離れます。
反応した企業のうち、自社で決めた基準に合う企業だけを、反応の中身と一緒にインサイドセールスへ引き継ぎます。 クリックした企業を全部引き継ぐと、連絡の数ばかり増えて、営業が優先順位をつけられません。
基準の例は、ターゲット企業であること、2人以上が反応したこと、料金や導入事例の説明まで読んだこと、資料請求をしたことです。どれを満たしたら引き継ぐかを、マーケティングと営業で先に決めておきます。基準の決め方は「MQLとは?BtoBマーケ・セールスでのSQLとの違いと基準の決め方」で紹介しています。
引き継ぐときは、読んだ号の件名、押したリンク、その後に読んだ内容、反応した人数を添えます。インサイドセールスは、その企業が何に関心を持ったかを知ったうえで連絡できます。引き継ぐ情報と、営業の結果の戻し方は「トスアップとは?BtoBマーケ・セールスでの意味と、引き継ぐ基準・営業の結果の戻し方」にまとめています。
営業の連絡の結果は、次のレポートの「営業連携の結果」の欄に入れます。どの号から商談が生まれたかを、配信のあとまで追いかける考え方は「BtoBマーケティングの効果検証|商談から逆にたどる4つの手順」と同じです。
反応した企業ごとに、施策の結果と営業の対応を毎月確かめる方法の1つに、ウルテクがあります。
ウルテク(URUTEQ)は、ABM(アカウントベースドマーケティング)の考え方で、ターゲット企業からの商談獲得を仕組み化するBtoBマーケティング・営業支援サービスです。
マーケティング施策の結果、営業の対応、サイトの外で調べているテーマを企業ごとに分析し、アプローチの抜け漏れと、商談につながった施策を解析します。毎月の定例で商談の結果を確かめ、翌月の施策に反映します。ターゲット企業の選定から効果の検証まで、ウルテクチームが並走します。
反応した企業をインサイドセールスにつなぐ流れは、次の記事でも紹介しています。
今日できることは、次の配信リストに、会社名とターゲット企業かどうかの2列を足すことです。それだけで、次の号から反応を企業ごとに数えられます。
マーケティング施策の結果、営業の対応、サイトの外で調べているテーマを企業ごとに分析し、毎月の定例で商談の結果を確かめて翌月の施策に反映する進め方は、ウルテクのサービス紹介資料で紹介しています。
ウルテクについて、もっと詳しく知りたい方へ