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BtoBマーケティングの効果検証|商談から逆にたどる4つの手順

この記事のポイント

マーケティングの効果検証は、商談になった会社から接点を逆にたどり、施策ごとの商談1社あたりの費用で、続ける施策と見直す施策を分けます。

展示会、Web広告、メールマガジン、ウェビナー。四半期の終わりに上長から「結局どれが商談につながったのか」と聞かれ、施策ごとのリード件数は出せても、商談になった会社の数が出せない。あなたのチームにも、そんな場面があるかもしれません。

原因は、数字が足りないことより、数える順番にあることが多いのです。リードの件数は施策ごとの管理画面に集まり、商談は営業の記録に残ります。この2つを同じ会社でつなぐ作業を誰もしていないと、施策はリード件数でしか比べられません。

マーケティングの効果検証とは、施策が商談にどれだけつながったかを数字で確かめ、予算を続けるか見直すかを決める作業です。表と計算の例(架空)、上長への報告の文例もそろえました。

この記事でわかること
  • マーケティングの効果検証で、最初に比べる数字と数える単位
  • 効果検証が進まない4つの原因
  • 商談になった会社から接点を逆にたどる4つの手順と、接点の表の作り方
  • 施策の前後を比べるときの注意と、対照群を使う場面
  • 続ける施策、見直す施策、判断を保留する施策の分け方
  • 3つの施策で計算する例(架空)と、上長への報告に書く5つの項目

マーケティングの効果検証で、最初に比べる数字は?

最初に比べるのは、施策ごとの「商談になった会社の数」と、その会社が1社生まれるまでにかかった費用です。リード件数やPVは、その手前の数字として並べます。

ここでの商談は、日程が決まり、面談をしたものを指します。日程が決まった時点と面談をした時点は、分けて記録します。面談の前に日程が流れる会社も、数に入れてしまわないためです。

数える単位は会社です。リードは人の数、商談は会社の数、と単位がずれると、同じ表に並べても割り算になりません。同じ会社の3人が資料請求をしたら、リードは3件、会社は1社です。

開封率やPVは、施策の途中の様子を知るには役に立ちます。ただ、予算を続けるかどうかは、商談になった会社の数で決めます。比べる数字は、次の4つです。

施策ごとに並べる4つ:①かかった費用 ②リード件数 ③商談になった会社の数 ④商談1社あたりの費用(①÷③)

マーケティングの効果検証が進まない4つの原因

効果検証が進まないのは、数える単位、記録の場所、接点の数え方、見る期間の4つがそろっていないからです。自社のどこがずれているかを先に知ると、直す順番が決まります。

単位が人と会社でずれている

広告やメールの管理画面は、人やクリックの数を出します。営業の記録は、会社と案件の数を出します。この2つの数字を割ると、リード1件あたりの商談数という、意味の曖昧な数字になります。

数字が施策ごとの別の場所にある

広告の成果は広告の管理画面、メールはメール配信の画面、展示会は名刺アプリ、商談は営業の記録にあります。1社の動きを追うには、4か所を開いて会社名で突き合わせることになり、四半期に一度では誰も続けられません。

直前の接点(ラストタッチ)しか記録していない

広告の管理画面の初期の画面に出るのは、広告経由の接点だけです。その前に展示会で名刺を交換し、メールを何通か受け取っていた会社でも、広告の成果だけが数字に残り、展示会とメールの働きは出ません。逆に、最初の接点(ファーストタッチ)だけを見ると、商談の直前に営業が送ったメールの働きが消えます。接点の貢献を割り振るこの考え方は、アトリビューションと呼ばれます。

商談になるまでの期間より短く見ている

検討に数か月かかる商材では、最初の接点から面談までも、同じだけかかることがあります。1か月の数字で広告を止めると、あとから商談になるはずだった会社を数えないまま判断することになります。

4つのうち、1つだけ先に直すなら単位です。会社に統一すれば、残りの3つは同じ表の中で直せます。

商談になった会社から接点を逆にたどる手順は?

商談から逆にたどる手順は、商談の会社を書き出し、接点を古い順に並べ、施策ごとに数え、費用で割る、の4つです。広告やメールの管理画面から数える方法とは、始める場所が逆になります。

1社の接点を古い順に並べて、見る期間を決める商談になった1社の接点を古い順に並べる。最初の接点は名刺交換、直前の接点は営業の連絡。そのあいだに資料請求とメールがある。そのあとに、日程が決まった日、面談をした日が来る。最初の接点から日程が決まるまでの日数が、施策を見る期間になる。1社の接点を古い順に並べて、見る期間を決める名刺交換資料請求メール営業の連絡日程が決まった日面談をした日最初の接点直前の接点最初の接点から日程が決まるまで=見る期間過去の商談で日数を並べ、真ん中の値(中央値)を出す
図1:商談になった1社の接点を古い順に並べ、最初の接点・直前の接点・見る期間を決める(架空の1社)
  1. 直近の半年に、商談になった会社(日程が決まり、面談をした会社)を営業の記録から書き出す。1社を1行にする
  2. その会社との接点を、古い順に並べる。名刺、資料請求、メール、広告、ウェビナー、営業の連絡を、施策名と日付で記録する
  3. 施策ごとに、「最初の接点だった会社」と「商談の直前の接点だった会社」を数える
  4. 施策の費用を、数えた会社の数で割る。最初の接点で割った値と、直前の接点で割った値の2つを出す

手順2で作る接点の表は、次の7つの項目で足ります。広告とメールの費用は、別の表に施策ごとの合計を書いておきます。

項目書く中身どこから取るか
会社名正式な社名(グループ会社は分ける)営業の記録
日程が決まった日面談の日程を決めた日営業の記録
面談をした日実際に面談をした日営業の記録
最初の接点施策名と日付名刺アプリ、MA、広告の管理画面
商談の直前の接点施策名と日付メール配信の記録、営業のメモ
その間の接点施策名を古い順に上と同じ
本人が答えた出会い方初回の面談で聞いた一言営業のメモ

表の最後の項目「本人が答えた出会い方」は、記録が空の会社を埋めるためのものです。初回の面談で「当社を最初に知ったのは、どこででしたか」と1問聞くだけで、管理画面に残らない接点が分かります。広告やメールのリンクには、計測パラメーター(UTM)を付けておくと、流入元の記録が残ります。付け方はGoogle アナリティクス ヘルプ(2026年10月確認)にあります。

接点が分からない会社は、空欄のまま「不明」として数えます。不明が多いなら、施策の比較より先に、記録の取り方を直す段階です。

ウルテク(URUTEQ)では、ターゲット企業ごとに、サイトへの来訪や資料の閲覧と、営業の対応結果を同じ表に並べ、毎月の定例で続ける施策と見直す施策を決めます。公開している株式会社リコーの事例記事(2026年10月時点の内容)では、展示会の名刺の会社に、サイトの閲覧を加えて順番を決め、商談につながった会社も出ています。

展示会に絞った指標の決め方は「展示会の効果測定で見る指標」に、メールの数字の見方は「メルマガ配信後に見る指標」にあります。

施策の前後比較は、何に気をつける?

施策の前後を比べるときは、件数でなく率で比べ、見る期間を商談になるまでの日数より短くせず、同じ時期に別の施策を変えません。比べ方は次の3つです。

比べ方向く場面気をつけること
施策の前後を比べる広告の文面や入口のページを変えたとき同じ時期に別の施策を変えない。件数でなく率で比べる
対照群と比べるターゲット企業ごとに進める施策(ABM)のとき同じ条件の会社を2つに分け、片方にだけ施策をする
商談から逆にたどる複数の施策を並べて、予算を決めるとき最初の接点と直前の接点を、両方数える

前後の比較で多い間違いは、件数で比べることです。広告の表示回数が増えた月は、申し込みの件数も増えます。申し込みを表示回数やクリック数で割った率で比べれば、文面の違いだけが残ります。広告の文面を2種類に分けて同じ時期に配るA/Bテストも、同じ考え方です。

見る期間は、あなたの過去の商談から決められます。手順2の表で、最初の接点から日程が決まるまでの日数を並べ、その真ん中の値(中央値)を出します。それより短い期間で施策を止めると、あとから商談になる会社を切り捨てます。

対照群は、ターゲット企業が多い場合に向きます。2つに分けたとき、各群の商談が数社しか出ないと、差が偶然かどうか分からないためです。同じ業種と規模の会社を無作為に2つに分け、片方にだけメールとダイレクトメールを送り、数か月後に商談になった会社の数を比べます。ターゲット企業の決め方は「ABM戦略の進め方」に書いています。

続ける施策と見直す施策の分け方

続ける施策と見直す施策は、商談1社あたりの費用の目標と、見た期間の長さで分けます。数字が出ていない施策は、見直すのではなく、判断を保留にします。

施策の状態判断次にすること
商談1社あたりの費用が目標以内続ける費用を増やしても同じ値になるかを、1か月だけ試す
リードは多いが、見る期間を満たしても商談が出ない、または少ない見直す入口のページや配る相手を変え、前後で率を比べる
商談は出ているが、リードの件数が少ない続ける商談になった会社に似た会社へ、配る相手を広げる
見る期間が足りない。または商談が5社に満たない(数は例)保留記録だけ続け、会社ごとの接点の中身を読む

目標の置き方は、売る商材の利益から決めます。商談1社に使ってよい費用の上限は、受注1件の粗利に、商談が受注になる割合を掛けた値です。たとえば粗利が500万円で、商談の1割が受注になるなら、上限は50万円です(数字は例です)。

保留の施策は、数字より中身を見ます。あなたのチームの保留の施策でも、商談になった数社が、どの資料を受け取り、誰が面談に出たかを読めば、見る期間が足りなくても、続ける理由か見直す理由が見つかります。

3つの施策の計算の例で、安い順はどう変わる?

架空の3施策で計算すると、リード1件あたりの費用が最も安い施策が、商談1社あたりでは最も高くなります。リード件数だけで比べると、予算を減らす施策を間違える例です。

施策(架空)費用リードリード1件あたり商談になった会社商談1社あたり
Web広告120万円120件1万円2社60万円
展示会300万円150件2万円6社50万円
メール36万円12件3万円4社9万円

この表の「商談になった会社」は、商談の直前の接点で数えています。メールは、展示会や広告で集めた名刺・ハウスリストに送った分で、リードの12件は、メールから資料請求や問い合わせをした件数です。Web広告は、資料請求は多くても、面談まで進んだ会社は2社でした。メールは、すでに接点のある会社に送るため、リードは少なくても、商談の直前に動かした会社が4社あります。

リード1件あたりと商談1社あたりで、施策の安い順が入れ替わる架空の例。リード1件あたりの費用が安い順は、Web広告1万円、展示会2万円、メール3万円。商談1社あたりの費用が安い順は、メール9万円、展示会50万円、Web広告60万円。Web広告は1位から3位に、メールは3位から1位に入れ替わる。安い順は、数える単位で入れ替わる(架空の例)リード1件あたり商談1社あたり1位 Web広告 1万円2位 展示会 2万円3位 メール 3万円1位 メール 9万円2位 展示会 50万円3位 Web広告 60万円上が安い順。Web広告は左で1位、右で3位になる
図2:リード1件あたりと商談1社あたりで、安い順が入れ替わる(架空の例)

この例には注意が1つあります。名刺やハウスリストは、最初にその連絡先を集めた費用が、別の施策に入っています。最初の接点で数え直した表も作り、2つを並べて見てください。メールの9万円は、展示会や広告の費用の一部を借りた値だからです。

もう一つの読み方は、順位の動きです。直前の接点で数えるとメールが最も安く、最初の接点で数えると展示会が最も安くなるなら、2つの施策は競い合っていません。メールは、展示会で集めた会社を商談に進める役です。予算は、片方を削る前に、2つの施策がつながっているかを確かめて決めます。休眠したリードへの送り方は「休眠リードの掘り起こし」にあります。

上長への報告には、何を書く?

上長への効果検証の報告には、施策ごとの費用、リード件数、商談になった会社の数、商談1社あたりの費用、続けるか見直すかの5つを、1枚に書きます。上長からリード件数も聞かれることが多いので、件数は消さずに、商談の数を隣に置きます。

文例です(数字は先ほどの架空の例です)。

Web広告は、リード1件あたり1万円と3施策で最も安い一方、商談になった会社は2社で、商談1社あたり60万円でした。展示会は50万円、メールは9万円です。メールは展示会の名刺を商談に進める役なので、来期は2つをまとめて予算を決めます。Web広告は商談が2社と少ないため判断を保留し、入口のページを変えて、2か月後に申し込みの率で比べ直します。

文例の最後の一文は、見直す施策に期限を付けています。期限があれば、見直しは「止める」ではなく「確かめ直す」という提案になり、承認を取りやすくなります。

マーケティングの効果検証でよくある質問

MAツールがなくても、効果検証はできますか?
MAツールがなくても、マーケティングの効果検証はできます。営業の記録から商談の会社を書き出し、接点を表計算ソフトの1枚に並べれば始められます。
効果検証とA/Bテストは、どう違いますか?
効果検証は、施策が商談にどれだけつながったかを確かめる作業全体です。A/Bテストは、文面などを2種類に分けて比べる方法の1つです。
効果検証は、どのくらいの期間で見ればよいですか?
効果検証の期間は、過去の商談の、最初の接点から日程が決まるまでの日数(中央値)より短くしません。短い間は判断を保留にします。
上長にはリード件数と商談の数のどちらを出しますか?
上長には、リード件数と商談の数の両方を出します。リード件数は上長が聞く数字で、商談になった会社の数が、予算を続ける理由になります。
ABM(アカウントベースドマーケティング)では、効果検証はどう変わりますか?
ABMの効果検証は、会社単位で数えます。ターゲット企業のうち何社に接点ができ、何社が商談になったかを、毎月同じ形で見ます。
展示会やウェビナーの効果は、どう数えますか?
展示会やウェビナーの効果は、名刺や参加者の会社を接点の表に入れ、のちに商談になった会社の数を、出展や配信の費用で割って数えます。

マーケティングの効果検証を毎月続けるために

  1. 会社で数える:リードは人、商談は会社、とずれた単位を会社にそろえ、商談1社あたりの費用を施策ごとに出します。
  2. 商談から逆にたどる:商談になった会社の接点を古い順に並べ、最初の接点と直前の接点を両方数えます。
  3. 毎月同じ形で見直す:続ける・見直す・保留に分け、ターゲット企業からの商談獲得を、毎月の定例で積み上げていきます。

施策の成績は、管理画面の数字を並べるだけでは決まりません。商談になった会社の側から数えると、同じ予算でも、残す施策と減らす施策の顔ぶれが変わることがあります。

まだ表がなければ、直近の商談5社の接点を書き出すところから始めてみてください。施策の費用と営業の記録を、会社でつなぐ作業は、その1枚の表から始まります。

著者紹介
井上翔太
ウルテク| URUTEQ 事業責任者 ---- 新卒で証券会社に入社し、BtoCのセールスを経験。その後、PR代理店にてBtoB・BtoC企業向けのデジタルマーケティングコンサルティングや新規営業を担当。ログリー株式会社入社後は、BtoBマーケティング向けSaaSの開発やマーケティング、セールスなどを行う。現在は、これまでの経験を活かし、BtoBマーケAIエージェント「アカウントインテリジェンスツール ウルテク」の事業責任者を務めている。

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