BtoBmarketing
MQL(マーケティング適格リード)とは、営業と決めた基準でマーケティングが判定した、BtoBの営業が受け入れる前の段階のリードのことです。
MQLは、英語のMarketing Qualified Leadの略で、マーケティング適格リードと訳します。BtoBのマーケティングとセールスで、営業と決めた基準をマーケティングが判定し、満たしたリード(見込み顧客の担当者)を指します。
その次の段階が、営業が商談に進める価値があると判断したSQL(Sales Qualified Lead・営業適格リード)です。FX取引のMetaTraderで使う言語のMQL5や、データベースの言語のSQLとは別の言葉です。
月次の報告では、MQLの件数は目標を超えた。ところが営業からは「その中で、すぐ商談にしたいのは一部だけ」と言われる。MQLの基準をマーケティングだけで決めていると、こうしたすれ違いが起きやすくなります。MQLは件数の目標である前に、マーケティングと営業が合意したリードの定義です。
この記事では、MQLの意味とSQLとの違い、基準に入れる項目とスコアの記入例、過去の商談から基準を作る5つのステップ、マーケティング・セールス・ABMでの活用法、よくある失敗を紹介します。
目次
BtoBでのMQLとは、資料請求や展示会などで獲得したリードのうち、営業と決めた基準をマーケティングが判定し、満たしたリードのことです。営業がまだ受け入れる前の段階を指します。
MQLは、獲得したすべてのリードのことではありません。資料を1つダウンロードしただけの学生や、競合の担当者もリードには含まれます。その中から、自社の商材を検討しそうな会社の、検討に関わりそうな担当者を判定したものがMQLです。
基準は、組織ごとに違います。「従業員500人以上の製造業で、料金ページを閲覧し、資料を2つダウンロードした担当者」をMQLとする会社もあれば、「セミナーに参加した課長以上」とする会社もあります。他社の記事や支援会社の資料でMQLという言葉を見たときは、その組織が何を基準にしているかを先に確かめます。
また、MQLは担当者(人)の単位で数えます。同じ会社の3人が基準を満たせば、MQLは3件です。会社の単位で数える数字とは、別のものです。
リードの件数が増えても、インサイドセールスがどのリードからアプローチすればよいかが分からなければ、商談獲得につながらないからです。
展示会や資料ダウンロードで獲得したリードに、すべて同じ優先度で電話をかけると、検討の手がかりがある担当者への連絡が後回しになります。MQLの基準があれば、マーケティングと営業は、同じ基準でアプローチの優先順位を付けます。
もう1つの理由は、施策の評価です。MQLの基準が決まっていれば、展示会・広告・セミナーのどれが、営業が商談にしたいリードを生んだかを、マーケティングが施策ごとに比べます。
MQLはマーケティングが判定した段階、SALは営業が連絡の対象として受け入れた段階、SQLは営業が商談に進める価値があると判断した段階です。MALは、MQLの手前で育成の対象にした段階を指すことがあります。
| 段階 | 正式名 | 誰が判断するか | 判断の例(架空) |
|---|---|---|---|
| リード | — | — | 資料をダウンロードした・名刺を交換した |
| MAL | Marketing Accepted Lead | マーケティング | 学生や競合を除き、メールで育成する対象にした |
| MQL | Marketing Qualified Lead | マーケティング(基準は営業と決める) | 対象の業種と規模で、料金ページの閲覧と資料2つのダウンロードがあった |
| SAL | Sales Accepted Lead | インサイドセールス | MQLの内容を見て、連絡する対象として受け入れた |
| SQL | Sales Qualified Lead | インサイドセールス・営業 | 電話で課題と時期を聞き、商談に進める価値があると判断した |
| 商談 | — | 営業 | 日程が決まり、面談した |
段階の分け方は、米国の調査会社SiriusDecisions(現在はForrester)が提唱したデマンドウォーターフォールが元になっています。元のモデルは「問い合わせ・MQL・SAL・SQL・受注」の順で、MALはあとから使われるようになった呼び名です。日本では、MALやSALを置かずに「リード・MQL・SQL・商談」で運用する会社もあります。
気をつけたいのは、SQLと商談化と商談の実施を、同じものとして数えないことです。SQLは「商談に進める価値がある」という判断で、商談は実際に日程が決まって面談したことです。どこからを商談化と呼ぶかも、組織ごとの定義に合わせます。
MCL(Marketing Captured Lead)やMEL(Marketing Engaged Lead)のように、MQLの手前をさらに細かく分ける呼び名もあります。どの呼び名を使うかより、各段階を誰がどの基準で判定するかを決めることが大切です。
MQLの基準には、会社と担当者の属性、自社との接点での行動、行動の時期、除外する条件の4つを入れます。
| 項目 | 何を書くか | 記入例(工場向けの設備保全システムを売る架空の会社) |
|---|---|---|
| 属性 | ファームグラフィック(業種・従業員数などの企業属性)と、デモグラフィック(部署・役職などの個人の属性) | 製造業で従業員500人以上。生産技術部・保全部の係長以上 |
| 行動 | 資料のダウンロード、料金ページや事例ページの閲覧、セミナーの参加 | 事例資料のダウンロード+料金ページの閲覧、またはセミナーの参加 |
| 時期 | 行動がいつのものか | 直近30日以内の行動に限る |
| 除外 | 対象にしない条件 | 競合の会社、学生、取引中の会社の既存窓口、商談中の会社 |
属性はICP(理想顧客プロファイル)と同じ基準で書きます。行動は、MA(マーケティングオートメーション)でスコアを付けることが多い項目です。問い合わせとデモの依頼は別の扱いにし、MQLの判定を待たずに、インサイドセールスが当日中に連絡します。
時期と除外は、見落とされやすい項目です。半年前の資料ダウンロードを今月のMQLに数えると、営業が連絡したときには検討が終わっています。取引中の会社の窓口がMQLに入ると、営業が知らないうちに同じ会社へ二重に連絡することになります。
SFA・CRM(SalesforceやHubSpotなど)から、過去6か月に商談になったリードを書き出します。あわせて、同じ期間にリードになったのに商談にならなかったリードも並べます。比べる相手がいないと、共通点が見えません。
商談になったリードについて、業種・規模・部署・役職と、商談の前に何をしていたか(どの資料、どのページ、どのセミナー)を表にします。商談にならなかったリードとの違いが、基準の候補です。
MAで、属性と行動に別々にスコアを付け、それぞれに境目を置きます。合計点だけで判定すると、属性が合わない会社の熱心な担当者がMQLに入るからです。
| 種類 | 項目 | スコア(架空) | MQLの境目 |
|---|---|---|---|
| 属性 | 製造業・従業員500人以上 | 20点 | 属性30点以上 |
| 属性 | 生産技術部・保全部の係長以上 | 10点 | (同上) |
| 行動 | 事例資料のダウンロード | 10点 | 行動20点以上 |
| 行動 | 料金ページの閲覧 | 10点 | (同上) |
| 行動 | セミナーの参加 | 20点 | (同上) |
境目の高さは、インサイドセールスが1か月に連絡できる件数から逆算します。連絡できる件数を超えてMQLにしても、その分は手つかずで残ります。
インサイドセールスが「このMQLは受け入れる」と判断する条件、何営業日以内に連絡するか、結果を何から選ぶかを決めます。この取り決めをSLA(サービスレベル合意)と呼び、1枚の文書にしてマーケティングと営業で共有します。受け入れなかったMQLは、理由を選択肢から選んで返してもらいます。
MQLのうち商談になった割合を、施策ごと・属性ごとに比べます。商談化率が低い条件は外し、MQLに入っていなかったのに商談になったリードの条件は基準に加えます。
マーケティングは施策の評価と育成に、セールスはアプローチの優先順位と結果の返し方に、ABMでは企業単位の段階の数え方に使います。 基準がそろうと、どの施策から商談が生まれたかを、マーケティングと営業が同じ数字で話せるようになります。
展示会・広告・セミナー・資料ダウンロードのそれぞれで、MQLの件数だけでなく、MQLからの商談化率を比べます。件数が多いのに商談化率が低い施策は、基準のどこかが合っていない手がかりです。
基準に届かないリードや、インサイドセールスがSALにしなかったMQLは、リードナーチャリング(育成)の対象に戻します。事例資料やセミナーの案内で接点を続け、行動が増えたら、もう一度MQLの判定にかけます。基準に届かなかったリードを捨てないことが、次の商談獲得につながります。
MAでスコアが境目を超えたら、SFA・CRMのリードの段階(HubSpotではライフサイクルステージ)をMQLに変えます。インサイドセールスは、MQLになった日から決めた期限までに連絡し、結果を「商談・継続・保留・見送り」から選んでSFAに書きます。段階の設定方法は、HubSpotのヘルプ「コンタクトと会社のライフサイクルステージを使用する」に載っています。
ABM(アカウントベースドマーケティング)でターゲット企業を決めている場合は、MQLの件数に加えて、ターゲット企業がどの段階にいるかを企業の単位で数えます。その会社に基準を満たす担当者が1人以上いれば、その会社を新規リードの段階に数えます。
段階は「未アプローチ・サイト訪問・新規リード・掘り起こし・商談」の5つに分けるのが一例です。毎月、それぞれの段階にいる社数と商談の数を、マーケティングと営業で確かめます。
よくある失敗は、MQLの件数を目標にする、マーケティングだけで基準を決める、担当者の件数と企業の数を混ぜる、営業の結果がマーケティングに返らない、の4つです。
件数が目標に届かないと、スコアの境目を下げたくなります。境目を下げればMQLは増えますが、営業が対応しきれず、商談化率が下がります。目標は、MQLの件数と、MQLからの商談の数を組で置きます。
営業が「この条件なら商談にしたい」と思えない基準では、MQLを受け入れてもらえません。基準を決める会議には、インサイドセールスとフィールドセールスの責任者に入ってもらいます。
MQLの件数が同じでも、同じ会社の担当者が何人も含まれていれば、アプローチする企業の数は少なくなります。経営への報告では、担当者の件数と企業の数を分けて書きます。
MQLが商談になったか、見送りになったかがマーケティングに返らないと、マーケティングは基準が合っているかを確かめようがありません。SFAに、結果を選択肢で書く欄を作ります。
MQLは、ICPでターゲット企業の条件を設定し、ABMやGTM戦略でアプローチと数え方を決めるときに使う言葉です。
今日できることは、過去6か月で商談になったリードを10件選び、最初の接点から商談までに何をしていたかを1行ずつ書き出すことです。10件に共通する行動が、MQLの基準の最初の候補になります。
ウルテク(URUTEQ)は、ターゲット企業からの商談獲得を仕組み化するサービスです。アプローチの抜け漏れと、商談につながった施策を解析し、毎月の定例で商談の結果を確かめ、翌月の施策に反映します。
ウルテクでは、ターゲット企業ごとに、未アプローチ・サイト訪問・新規リード・掘り起こし・商談のどの段階にいるかを企業の単位で数え、マーケティングと営業は、担当者の件数とは分けて企業の数を確かめます。段階ごとの社数と商談の数え方は、「GTM戦略ガイド」の12ページで、ターゲット企業300社の見本(架空)を使って紹介しています。
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