BtoBマーケティング
BtoBマーケティングツールはMA・SFA・CRMなど12種類あり、ターゲット企業の選定から契約の継続まで4段階に分かれます。役割と悩みで種類を絞ります。
MAを先に入れるか、SFAを先にするか。BtoBマーケティングツールを調べると「おすすめ30選」のような一覧が並び、どこから比べればよいか分からなくなります。先に決めるのは、サービスの名前より、自分の悩みに答えるツールの種類です。
種類ごとに、分かることと向いている会社は違います。展示会でウルテクが置いた目安では、たとえばSFA・CRMは、営業担当が5人以上いて、商談の進み具合がExcelに散らばっている会社に向いています。種類を決めないまま比べ始めると、自社に合わない種類の機能表まで読むことになります。
本記事の材料は、ウルテクが開いたBtoBマーケティング・営業ツールのオンライン展示会です。展示会に載せた50サービス(主催のウルテクを含む)を、4段階・12種類に分けました。
目次
BtoBマーケティングツールとは、ターゲット企業を決めてから、受注し、契約を続けてもらうまでの仕事を助けるソフトウェアです。ターゲット企業を決めて見つける、見込み客を集める、見込み客と話して商談をつくる、商談を進めて受注し契約を続けてもらう、の4段階に分けると12種類になります。
マーケティングツールの種類と、SFAなどの営業支援ツールの種類を1つの並びにまとめたもので、この記事ではBtoBマーケティング・営業ツールと呼びます。営業ツールの種類として探しているなら、電話とメールでの連絡・商談の日程調整(ゾーンC)と、SFA・CRM、オンライン商談の録画と解析(ゾーンD)が当たります。
サービスの数は、名前から一つずつ比べられる量を超えています。米国のマーケティング技術の調査サイト Chief Martec が2026年5月5日に公開した一覧には、15,505の製品が載っています(出典:Chief Martec「2026 Marketing Technology Landscape」、2026年10月確認)。
そこで、ツールを使う段階で種類を分けます(図1)。4つの段階の名前は、オンライン展示会の会場の4つのゾーン(A〜D)の名前と同じです。
図1の12種類を、段階ごとに書き出すと次のとおりです。
左から右へ、相手の会社との距離が近づきます。ゾーンAのツールは会社の一覧を扱い、ゾーンDのツールは商談と契約の記録を扱います。メール配信のツールはMAに含めて数え、CMS・アクセス解析・BIは12種類に入れていません。
ターゲット企業を決めて見つける段階のツールは、企業データベース・営業リスト作成、来訪企業の分析・インテントデータ、企業を指定して出す広告の3種類です。どの会社にアプローチするかを決め、その会社がいまどこまで検討しているかを知るために使います。
3つとも、人より先に会社を単位に記録します。この点が、ほかの段階のツールと違います。
| 種類 | 分かること・できること | 向いている会社の目安 | 選ぶ前に確かめること |
|---|---|---|---|
| 企業データベース・営業リスト作成 | ・業種・従業員数・地域・売上の条件に合う会社の一覧と社数 ・会社ごとの部署・拠点・代表電話 | 新規開拓の対象企業が500社以上あり、リスト作りに毎回何日もかかっている会社 | ・自社のターゲット企業(業種・規模)の収録数が十分か ・会社情報の更新の頻度(部署や拠点の変更がいつ反映されるか) |
| 来訪企業の分析・インテントデータ | ・自社サイトを訪れた会社の名前・見たページ・回数 ・その会社がサイトの外で調べているテーマ | アプローチしたいターゲット企業が決まっていて、その会社の検討の始まりを知りたい会社 | ・サイトを訪れた会社のうち、会社名が分かる割合 ・SFA・CRM・MAに会社ごとの記録を渡せるか |
| 企業を指定して出す広告 | ・指定した企業の社員にだけ広告を出す ・広告を見た会社のうち、サイトを訪れた会社と資料を請求した会社の数 | ターゲット企業が300社以上あり、広告費をその会社の社員に見てもらう分だけに使いたい会社 | ・企業の一覧をどの形式で渡すか(会社名・URL・法人番号) ・広告を出せるメディアに、自社のターゲット企業の社員が来ているか |
あなたの会社で、アプローチしたい会社の一覧がまだ無いなら、企業データベース・営業リスト作成から見ます。一覧はあるのに、どの会社がいま検討しているかが分からないなら、来訪企業の分析・インテントデータから見ます。
リスト作りのツールの比べ方は「営業リスト作成ツールの種類と選び方」、インテントデータの意味は「インテントデータとは?」で、来訪企業の分析・インテントデータのツールを比べる軸は「セールスインテリジェンスツールの選び方」で扱っています。
見込み客を集める段階のツールは、ウェビナーの開催と申込者の管理、名刺の管理と展示会のあとのフォロー、営業資料の共有と閲覧の記録の3種類です。ウェビナーのツールは参加者の視聴の記録を、名刺のツールは展示会で会った人の連絡先を、営業資料のツールは資料を開いた人と読んだページを集めます。
展示会で集めた名刺も、営業やインサイドセールスへ渡すのが遅れるほど、御礼の連絡が後回しになります。この段階の3種類は、集めることより、集めた記録をSFA・CRMへ渡せるかで差が出ます。
| 種類 | 分かること・できること | 向いている会社の目安 | 選ぶ前に確かめること |
|---|---|---|---|
| ウェビナーの開催と申込者の管理 | ・申込ページの作成・当日の配信・アンケート・御礼メールの送信 ・参加者ごとの視聴した時間とアンケートの回答 | 月に1回以上セミナーを開き、申込者の情報を営業に渡している会社 | ・同時に参加できる人数の上限 ・MA・SFA・CRMに申込者と視聴の記録を渡せるか |
| 名刺の管理と展示会のあとのフォロー | ・撮った名刺を数時間で文字に起こし、一覧にする ・社内の全員がもらった名刺を会社ごとにまとめる | 年に2回以上展示会に出て、名刺のフォローが翌週までかかっている会社 | ・文字起こしの精度と、間違いを直す仕組み ・1人あたりの料金と、使う人数 |
| 営業資料の共有と閲覧の記録 | ・送った資料を、相手の会社の誰が・どのページを・何分見たか ・資料を開いた人への通知 | 提案書や見積書をメールの添付で送っていて、読まれたかどうかが分からない会社 | ・相手が資料を開くときに、名前やメールアドレスの入力が要るか ・PDF以外(動画・スライド)も置けるか |
展示会のあとの名刺のフォローは、「展示会の名刺を最大限に生かす方法」で手順を扱っています。
見込み客と話して商談をつくる段階のツールは、MA(マーケティングオートメーション)、サイトでの対話(チャットと商談の予約)、電話とメールでの連絡・商談の日程調整の3種類です。MAと、電話とメールでの連絡・商談の日程調整のツールのどちらを先に入れるかは、見込み客の数とインサイドセールスの人数で決めます。
展示会でウルテクが置いた目安では、メールアドレスが3,000件以上あり、点数の高い人から営業に渡したいならMAが先です。インサイドセールスが2人以上いて、電話をかける順番を担当者の勘で決めているなら、電話とメールでの連絡・商談の日程調整のツールが先です。
MAとサイトでの対話は主にマーケティング担当が、電話とメールでの連絡・商談の日程調整のツールは主にインサイドセールスが使います。同じ見込み客を2つの部署が追うので、どちらの記録を正とするかを導入の前に決めておきます。
| 種類 | 分かること・できること | 向いている会社の目安 | 選ぶ前に確かめること |
|---|---|---|---|
| MA(マーケティングオートメーション) | ・見込み客ごとに、サイトで見たページとメールへの反応を点数にする ・見たページや業種で配信先を分けたメールの送信 | 見込み客のメールアドレスが3,000件以上あり、点数の高い人から営業に渡したい会社 | ・点数のルールを自社で変えられるか ・SFA・CRMと見込み客の情報を両方向で同期できるか |
| サイトでの対話(チャットと商談の予約) | ・サイトを見ている人と、その場で文字のやりとりをする ・よくある質問への答えを自動で返す | サイトへの訪問が月1万件以上あり、問い合わせフォームまで進まない人が多い会社 | ・夜間や休日に、自動で答える範囲 ・カレンダー(Google・Microsoft)と日程を同期できるか |
| 電話とメールでの連絡・商談の日程調整 | ・サイトの閲覧やメールへの反応から、今日電話をかける人の順番を出す ・通話の記録と文字起こし | インサイドセールスの担当者が2人以上いて、電話をかける順番を担当者の勘で決めている会社 | ・画面から電話をかけられるか(電話番号の契約が別に要るか) ・MA・SFA・CRMの記録から順番を出せるか |
商談を進めて受注し、契約を続けてもらう段階のツールは、SFA・CRM(商談と顧客の管理。SFAは営業支援ツールとも呼ばれます)、オンライン商談の録画と解析、カスタマーサクセス(利用の状況と解約の兆し)の3種類です。商談の記録をまとめ、受注・契約の継続・次の商談を増やすために使います。
| 種類 | 分かること・できること | 向いている会社の目安 | 選ぶ前に確かめること |
|---|---|---|---|
| SFA・CRM(商談と顧客の管理) | ・すべての商談の段階・金額・次の予定を1つの表にまとめる ・今月の受注の見込みと目標との差 | 営業担当が5人以上いて、商談の進み具合がExcelや担当者のメモに散らばっている会社 | ・商談の段階を自社の売り方に合わせて決められるか ・スマートフォンから商談の記録を入れられるか |
| オンライン商談の録画と解析 | ・Web会議での商談を録画して文字に起こす ・話した時間の割合と、顧客から出た質問 | 月に50件以上のオンライン商談があり、担当者によって提案の質に差がある会社 | ・使っているWeb会議(Zoom・Teams・Google Meet)に対応しているか ・要点と次の予定をSFA・CRMに自動で書き込めるか |
| カスタマーサクセス(利用の状況と解約の兆し) | ・ログインの数・使っている機能・問い合わせの数から、顧客ごとの利用の点数を出す ・点数が下がった会社への通知 | 月額課金の契約が100社以上あり、解約の兆しに気づくのが遅れている会社 | ・自社の製品の利用の記録(ログイン・機能の利用)を渡せるか ・点数の計算を自社で変えられるか |
表4のSFA・CRMには、最初の接点(広告・セミナー・展示会・紹介)ごとの受注金額が残ります。ゾーンA〜Cのツールの記録を最後に集める場所になるので、ほかの種類を選ぶときも、SFA・CRMに記録を渡せるかを確かめます。
先に見るツールの種類は、あなたの役割で悩みを絞り、その悩みに答えるサービスが多い種類から決めます。表5は、オンライン展示会の受付で選べる13の悩みと、悩むことが多い役割、答えるサービスが多い種類です。
| 悩み | 悩むことが多い役割 | 答えるサービスが多い種類 |
|---|---|---|
| 「アプローチする企業のリスト作りに、毎回何日もかかる」 | インサイドセールス、営業・マーケティングの責任者 | 来訪企業の分析・インテントデータ、企業データベース・営業リスト作成(ほかに2種類) |
| 「自社サイトに来ている会社がどこなのか分からない」 | マーケティング担当 | 来訪企業の分析・インテントデータ、MA |
| 「問い合わせや資料請求の数が足りない」 | マーケティング担当 | ウェビナーの開催と申込者の管理、来訪企業の分析・インテントデータ、サイトでの対話(チャットと商談の予約)(ほかに1種類) |
| 「展示会やセミナーで集めた名刺のフォローが追いつかない」 | マーケティング担当、インサイドセールス | 名刺の管理と展示会のあとのフォロー、ウェビナーの開催と申込者の管理、SFA・CRM(ほかに1種類) |
| 「資料を請求した人のうち、誰から先に電話すべきか分からない」 | インサイドセールス | ウェビナーの開催と申込者の管理、MA、SFA・CRM(ほかに5種類) |
| 「メールは全員に同じ内容を送るしかない」 | マーケティング担当 | MA(ほかに4種類) |
| 「サイトを見ている人と、その場で話す手段がない」 | インサイドセールス | サイトでの対話(チャットと商談の予約)(ほかに1種類) |
| 「失注した会社や過去のリードに、もう一度連絡するきっかけがない」 | インサイドセールス、営業担当 | 企業データベース・営業リスト作成 |
| 「商談の進み具合が、Excelや担当者のメモに散らばっている」 | 営業担当、営業・マーケティングの責任者 | SFA・CRM、電話とメールでの連絡・商談の日程調整、オンライン商談の録画と解析(ほかに3種類) |
| 「営業担当によって、商談での提案の質に差がある」 | 営業担当、営業・マーケティングの責任者 | SFA・CRM、電話とメールでの連絡・商談の日程調整、オンライン商談の録画と解析(ほかに1種類) |
| 「どの施策から商談や受注が生まれたのか、社内で説明できない」 | マーケティング担当、営業・マーケティングの責任者 | MA、来訪企業の分析・インテントデータ(ほかに4種類) |
| 「既存顧客の解約の兆しに気づくのが遅れる」 | カスタマーサクセス、営業・マーケティングの責任者 | カスタマーサクセス(利用の状況と解約の兆し)(ほかに1種類) |
| 「既存顧客の別の部署へ提案する機会を逃している」 | カスタマーサクセス、営業担当 | カスタマーサクセス(利用の状況と解約の兆し)(ほかに3種類) |
役割ごとに見ると、悩みは2〜5つに絞れます。営業担当なら、表5のうち4つです。その4つに答える種類のうち、まだ社内に無いものが、先に見る種類です。
冒頭の、MAとSFA・CRMのどちらを先に見るかも、表5で決まります。「メールは全員に同じ内容を送るしかない」に当てはまるならMA、「商談の進み具合が、Excelや担当者のメモに散らばっている」に当てはまるならSFA・CRMが先です。両方に当てはまるならSFA・CRMを先にします。MAから営業に渡した見込み客が、その後どの商談になったかを1か所で追えるからです。
展示会の受付で役割と悩みを選ぶと、表5の対応でブースが出ます。
ツールを入れても商談が増えにくい原因の1つは、広告・セミナー・電話の記録が別々のツールに残ることです。展示会の50サービスでも、「どの施策から商談や受注が生まれたのか、社内で説明できない」に答えるツールは6種類に分かれていました。悩みに合う種類を入れても、記録がツールごとに分かれたままだと、続ける施策と見直す施策を決められません。
悩みから探せば候補は数社に絞れる、と考えるかもしれません。ウルテクは展示会を作るとき、主催のウルテクを含む50サービスの公式サイトを2026年10月9日に読み、書かれている機能を13の悩みに当てはめました。結果は、悩みによって大きく偏りました(図2)。
「資料を請求した人のうち、誰から先に電話すべきか分からない」には8種類・22サービスが答え、「失注した会社や過去のリードに、もう一度連絡するきっかけがない」に答えるのは2サービスだけでした。悩みによっては、候補が20を超えることも、2つしか無いこともあります。
もう一つ目立ったのは、「どの施策から商談や受注が生まれたのか、社内で説明できない」です。6種類・9サービスが答えていて、何をもとに答えるかは、広告の結果、メールへの反応、商談の記録と、種類ごとに違います。
どの施策から商談が生まれたかを社内で説明するには、ツールを選ぶ前に、アプローチするターゲット企業の一覧を決めておきます。どのツールの記録も、その一覧の会社ごとに集めれば、施策と商談の結果を1社ずつ並べて確かめられます。この進め方はABM(アカウントベースドマーケティング)と呼ばれ、「ABMとは?アカウントベースドマーケティングの意味と3つの型」で、意味と進め方の型をまとめています。
オンライン展示会では、役割と悩みを選ぶと、話を聞くとよいブースと、会場を回る順番が出ます。ブースの説明を読み、最大4社を比較リストに入れて並べ、気になるサービスはAIに質問します。手順は次の5つです。
各ブースの情報は、そのサービスの公式サイトから2026年10月9日に取得したものです。料金や機能は、各社の公式サイトで最新を確かめてください。AIツールに絞った比べ方は「BtoBマーケティングにおすすめのAIツール8選」で扱っています。
まず、あなたの会社の商談の記録が、いまどのツールと表計算に分かれて残っているかを書き出してください。書き出した一覧が、表5で最初に見る悩みを決める材料になります。
ウルテクは、ターゲット企業から、商談が生まれ続ける仕組みを作るサービスです。マーケティング施策の結果、営業の対応、サイトの外で調べているテーマを企業ごとに分析し、アプローチの抜け漏れと、商談につながった施策を解析します。毎月の定例で商談の結果を確かめ、翌月の施策に反映します。ウルテクの機能と進め方は、ウルテクのサービス紹介資料にまとめています。
ウルテクについて、もっと詳しく知りたい方へ