BtoBマーケティング
インサイドセールス
インバウンド営業とは、顧客からの問い合わせや資料請求をきっかけに始める営業です。受け付けてから初回の連絡までの速さと話の中身で、商談化が変わります。
インバウンド営業は、顧客の側から動いてもらう営業なので「プル型営業」とも呼ばれ、英語では inbound sales と書きます。
午前中に、資料請求が届いたとします。会社名と部署名は分かります。けれども、どんな事業の会社で、何に困って資料を求めたのかは、フォームの欄だけでは分かりません。調べて、担当を決めて、合う資料を選んでいるうちに、初回の連絡が翌日、翌々日へとずれていきます。
問い合わせが来ているのに商談が増えない、という悩みの多くは、この受け付けてから初回の連絡までの間で起きています。
この記事では、意味と違いに加えて、問い合わせを受けてから商談化までの進め方を、分担と手順で紹介します。
目次
インバウンド営業は、顧客が自分から起こした行動を受けて、その会社の検討を商談まで進める営業です。
「インバウンド」は、外から内へ入ってくるという意味です。営業の側から見ると、顧客の側から連絡が入ってくる形になります。セールスフォース・ジャパンの解説でも、顧客からの問い合わせ・資料請求などをきっかけとして行う営業活動で、「プル型営業」とも呼ばれると説明されています(セールスフォース・ジャパン「インバウンド営業とは」)。
BtoBでは、問い合わせをした担当者が、決める人とは限りません。情報を集める係として資料を請求し、上司や情報システム部門に見せる人もいます。問い合わせた人と話して終わりにせず、その会社で検討にかかわる部署まで話を広げていくのが、BtoBのインバウンド営業です。
アウトバウンド営業は、営業の側から電話・メール・手紙・訪問で連絡する営業です。2つの違いは、最初に動くのが顧客か営業か、です。

インバウンド営業では、相手がこちらの製品や、比べる他社の製品をすでに調べている状態から話が始まります。そのかわり、どの会社から問い合わせが来るかは選べません。アウトバウンド営業では、連絡する会社を選べますが、相手はまだ検討を始めていないことが多く、最初の連絡でつながらないこともあります。
どちらが良いかではなく、受け持つ会社が違います。検討を始めた会社には問い合わせに早く応え、まだ動きのないターゲット企業には営業の側から接点をつくる、と分けて使う会社が多くあります。
インバウンドマーケティングは、記事・資料・セミナーなどで情報を出し、顧客に見つけてもらい、問い合わせや資料請求につなげる活動です。インバウンド営業は、その問い合わせを受け取ったあとの営業の活動です。
マーケティングが集めて、営業が対応する、という順番になります。リード獲得までをマーケティング、リードからの商談化を営業とインサイドセールスが受け持つ形が、よく見られる分担です。
メリットは2つあります。1つ目は、相手が課題を感じて自分から動いているため、話を聞いてもらいやすいことです。2つ目は、問い合わせの内容から、相手が何を知りたいかの手がかりを得られることです。
難しさは3つあります。
2つ目と3つ目は、振り分けと連絡の速さで減らせます。まず、届く問い合わせの種類から見ていきます。
種類によって、相手の検討の進み具合が違います。種類ごとに、最初に話す中身と連絡の急ぎ方を変えます。
| 種類 | 相手の状態の目安 | 初回の対応 |
|---|---|---|
| 相談・見積もりの依頼 | 導入を具体的に考えている | 当日中に電話かメールで連絡し、日程の候補を出す |
| 資料請求 | 情報を集めている。比べている最中のことも多い | 資料の中で相手に関係するページを添えて連絡し、何を比べているかを聞く |
| セミナー・ウェビナーの申し込み | テーマに関心がある。導入の予定はまだ分からない | 参加のお礼と、セミナーの内容に続く資料を送る。質問が出た会社から連絡する |
| 無料トライアル・デモの申し込み | 使い勝手を確かめたい | 使い始めの手伝いを申し出て、試す目的を聞く |
| 名刺交換(展示会など) | 接点はあるが、関心の強さは人によって違う | 会場で話したテーマに合わせて、お礼と資料を送る |
相談・見積もりの依頼と、セミナーの申し込みを同じ順番で処理すると、急ぐべき相談の連絡が後回しになります。受け付けの段階で種類を見分け、急ぐものから連絡します。
ここで扱うのは、まだ取引の無い会社からの問い合わせです。すでに使っている顧客からの質問や不具合の連絡は、顧客サポートの仕事として分けて考えます。
受け付け、相手を調べる、初回の連絡、商談にする、の4つの段階をマーケティング・インサイドセールス・営業でどう分けるかを先に決め、そのうえで5つの手順を決めます。分担が決まっていないと、問い合わせが誰の手元にも無い時間が生まれます。

マーケティングは、フォームの内容をCRMに登録し、どの記事やセミナーから来たかを添えます。インサイドセールスは、会社の事業と、問い合わせの前に何を調べていたかを確かめ、初回の連絡をします。営業は、商談の基準を満たした会社を引き継ぎ、日程を決めます。役割の分け方は「インサイドセールスとは?」でも紹介しています。
インサイドセールスを置いていない会社では、営業が調べることと初回の連絡を受け持ちます。その場合も、受け付けた問い合わせを誰が見るかを、曜日や担当する業界で決めておきます。
フォーム、メール、電話、チャット、セミナーの申し込みなど、問い合わせが入ってくる場所を書き出します。場所ごとに、受け取る人と、CRMに登録する人を決めます。代表のメールアドレスに届いた問い合わせを、誰が見ているかも書き出します。誰にも転送されずに残っていることがあります。
問い合わせの種類と、その会社がターゲット企業かどうかの2つで振り分けます。ターゲット企業からの問い合わせは、種類にかかわらずインサイドセールスが最初に連絡し、担当の営業にもその日のうちに知らせます。ターゲット企業以外からの問い合わせは、ターゲット企業からの問い合わせの後に、相談・見積もりの依頼、資料請求、セミナーやトライアルの申し込みの順でインサイドセールスが連絡します。
既存の取引先や、すでに商談中の会社からの問い合わせは、担当の営業に回します。別の担当が初めての会社として連絡すると、相手は同じ説明を二度することになります。
種類ごとに、いつまでに連絡するかを決めます。相談・見積もりの依頼は当日中、資料請求は翌営業日まで、のように書いておくと、担当が変わっても同じ速さで動けます。

最初に話すことも決めておきます。資料請求なら「どの資料を、何と比べるために求めたか」、セミナーの申し込みなら「どのテーマを社内で進めようとしているか」です。相手の会社の事業と、問い合わせの前に調べていたテーマが分かっていれば、それに合わせて話す順番を変えます。
初回の連絡では、課題、検討の時期、かかわる部署、予算の決め方を聞きます。聞いた内容を、自社で決めた商談の基準に照らして、商談として営業に引き継ぐか、情報を送りながら様子を見るかを決めます。
基準は会社ごとに違います。日程が決まった時点を商談とする会社もあれば、課題と時期が確かめられた時点を商談とする会社もあります。インサイドセールスと営業で同じ基準を使います。基準の決め方は「MQLとは?」で、引き継ぐ情報と営業の結果の戻し方は「トスアップとは?」で扱っています。
商談になったか、ならなかったか、ならなかった理由は何かを、問い合わせの記録と同じ会社の欄に書きます。理由は「時期が先」「予算が無い」「比べているだけ」のように、決まった選び方で書くと集計できます。
毎月の定例で、問い合わせの種類ごと、どの施策から来たかごとに、商談化した数を並べます。商談につながった施策を翌月に増やし、つながらなかった施策の中身を見直します。
受け付けと日程の調整と記録は、道具で済みます。残るのは、相手がどんな会社で何に関心があるかを調べ、担当と資料を選ぶ作業です。
| 道具 | 済むこと | 残る面倒 |
|---|---|---|
| フォーム | 会社名・部署・連絡先・問い合わせの内容を受け取る | 欄に書かれていない、相手の事業や困りごとは分からない |
| 予約カレンダー | 相手が自分で日程を選び、面談が決まる | 日程を選ぶ前に離れた人には、別に連絡する必要がある |
| CRM | 問い合わせと対応の記録が、会社ごとに残る | 記録を入れる人が決まっていないと、営業の結果が戻らない |
調べる作業は、問い合わせのたびに担当が相手の会社のサイトやニュースを開いて行うことが多く、届く数が増えるほど初回の連絡が遅れます。
減らし方は2つあります。1つ目は、調べる項目を「事業」「部署」「問い合わせの前に調べていたテーマ」「過去の接点」の4つに絞り、決まった欄に書くことです。2つ目は、問い合わせの前の動き、たとえば自社のサイトでどの資料や記事を見ていたかを、問い合わせと同じ会社の欄に集めておくことです。担当は、開いた画面の欄を読むだけで、連絡の中身を決められます。
調べていたテーマは、検討の手がかりです。購入の予定を示すものではないため、初回の連絡で本人に確かめます。
原因は、連絡が遅い、相手に合わない話をする、結果が戻らない、の3つに分けて探します。どれが原因かで、直す場所が違います。

連絡が遅いときは、受け取る人と期限が決まっていないことが多くあります。あなたのチームで、受け付けてから初回の連絡までに何日かかっているかを、まず数えます。手順1と手順3を見直します。
相手に合わない話をしているときは、相手を調べないまま、決まった説明から始めています。資料請求をした人に、製品の説明を最初から順に話しても、相手が知りたいことに届くまでに時間がかかります。相手が比べている点から話します。
結果が戻らないときは、どの施策から来た問い合わせが商談になったかが分からず、翌月も同じ施策を続けることになります。手順5の書き方を決めます。
届いた順に連絡すると、相談・見積もりの依頼が、セミナーの申し込みの後ろに並ぶことがあります。種類と、ターゲット企業かどうかで、先に連絡する会社を決めます。
インサイドセールスが聞いたことを営業が知らずに、初めから聞き直すことがあります。相手から見ると、話が伝わっていない会社に見えます。聞いたことはCRMの同じ欄に書き、営業は読んでから連絡します。
問い合わせを待つだけでは、まだ検討を始めていないターゲット企業と接点を持てません。自社のサイトでどの会社がどのテーマを調べているかを見て、営業の側からの連絡やマーケティング施策と組み合わせます。問い合わせにまだ至らない会社への考え方は「インテントデータで見える「まだ問い合わせない顧客」の見つけ方」で扱っています。
今日できることは、先月の問い合わせをいくつか選び、受け付けた日時と初回の連絡の日時を並べることです。間が空いていた問い合わせから、誰の手元で止まっていたかを確かめます。
問い合わせの前に何を調べていたかと、問い合わせのあとの営業の結果が、同じ会社の欄に集まっていると、初回の連絡の中身と翌月の施策を決めやすくなります。
ウルテク(URUTEQ)は、ABM(アカウントベースドマーケティング)の考え方で、ターゲット企業からの商談獲得を仕組み化するBtoBマーケティング・営業支援サービスです。自社のサイトを訪れた企業と調べているテーマ、マーケティング施策の結果、営業の対応を企業ごとに分析し、商談につながった施策を解析します。
フォームやCRMが、問い合わせの前と後のどの行動を記録していないかを確かめたいときは、次の資料が使えます。「商談獲得までのBtoBツール役割マップ」は、MA・SFA・CRM・GA4と企業データが、ターゲット企業のどの行動を記録していて、どの行動を記録していないかを、1枚のマップで確かめる資料です。ツールを入れ替えずにできる見直しの手順と、Excelのシートがついています。
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