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インバウンド営業とは?アウトバウンドとの違いと商談化までの進め方

この記事のポイント

インバウンド営業とは、顧客からの問い合わせや資料請求をきっかけに始める営業です。受け付けてから初回の連絡までの速さと話の中身で、商談化が変わります。

インバウンド営業は、顧客の側から動いてもらう営業なので「プル型営業」とも呼ばれ、英語では inbound sales と書きます。

午前中に、資料請求が届いたとします。会社名と部署名は分かります。けれども、どんな事業の会社で、何に困って資料を求めたのかは、フォームの欄だけでは分かりません。調べて、担当を決めて、合う資料を選んでいるうちに、初回の連絡が翌日、翌々日へとずれていきます。

問い合わせが来ているのに商談が増えない、という悩みの多くは、この受け付けてから初回の連絡までの間で起きています。

この記事では、意味と違いに加えて、問い合わせを受けてから商談化までの進め方を、分担と手順で紹介します。

この記事でわかること
  • インバウンド営業の意味と、アウトバウンド営業・インバウンドマーケティングとの違い
  • 問い合わせ・資料請求・セミナーの申し込みなど、種類ごとの初回の対応
  • 受け付けから初回の連絡までの、マーケティング・インサイドセールス・営業の分担と5つの手順
  • フォーム・予約カレンダー・CRMで済むことと、残る面倒の減らし方
  • 問い合わせが商談化しない3つの原因と、よくある失敗

インバウンド営業とは?BtoB営業での意味

インバウンド営業は、顧客が自分から起こした行動を受けて、その会社の検討を商談まで進める営業です。

「インバウンド」は、外から内へ入ってくるという意味です。営業の側から見ると、顧客の側から連絡が入ってくる形になります。セールスフォース・ジャパンの解説でも、顧客からの問い合わせ・資料請求などをきっかけとして行う営業活動で、「プル型営業」とも呼ばれると説明されています(セールスフォース・ジャパン「インバウンド営業とは」)。

BtoBでは、問い合わせをした担当者が、決める人とは限りません。情報を集める係として資料を請求し、上司や情報システム部門に見せる人もいます。問い合わせた人と話して終わりにせず、その会社で検討にかかわる部署まで話を広げていくのが、BtoBのインバウンド営業です。

アウトバウンド営業との違い

アウトバウンド営業は、営業の側から電話・メール・手紙・訪問で連絡する営業です。2つの違いは、最初に動くのが顧客か営業か、です。

インバウンド営業とアウトバウンド営業を4つの観点で比べた表の図。最初に動く人は、インバウンド営業では顧客(問い合わせ・資料請求)、アウトバウンド営業では営業(電話・メール・訪問)。相手の状態は、インバウンド営業ではこちらの製品や、比べる他社の製品をすでに調べている、アウトバウンド営業ではまだ検討を始めていないことが多い。選べるものは、インバウンド営業では連絡する速さと話の中身、アウトバウンド営業では連絡する会社と時期。最初の話題は、インバウンド営業では問い合わせの内容と何と比べているか、アウトバウンド営業では相手の業界でよくある課題。
図1:インバウンド営業は顧客が先に動き、営業は連絡する速さと話の中身を選ぶ。アウトバウンド営業は営業が先に動き、連絡する会社と時期を選ぶ

インバウンド営業では、相手がこちらの製品や、比べる他社の製品をすでに調べている状態から話が始まります。そのかわり、どの会社から問い合わせが来るかは選べません。アウトバウンド営業では、連絡する会社を選べますが、相手はまだ検討を始めていないことが多く、最初の連絡でつながらないこともあります。

どちらが良いかではなく、受け持つ会社が違います。検討を始めた会社には問い合わせに早く応え、まだ動きのないターゲット企業には営業の側から接点をつくる、と分けて使う会社が多くあります。

インバウンドマーケティングとの違い

インバウンドマーケティングは、記事・資料・セミナーなどで情報を出し、顧客に見つけてもらい、問い合わせや資料請求につなげる活動です。インバウンド営業は、その問い合わせを受け取ったあとの営業の活動です。

マーケティングが集めて、営業が対応する、という順番になります。リード獲得までをマーケティング、リードからの商談化を営業とインサイドセールスが受け持つ形が、よく見られる分担です。

メリットと難しさ

メリットは2つあります。1つ目は、相手が課題を感じて自分から動いているため、話を聞いてもらいやすいことです。2つ目は、問い合わせの内容から、相手が何を知りたいかの手がかりを得られることです。

難しさは3つあります。

  • 問い合わせの数は、記事・広告・セミナーなどの施策の結果で決まり、営業の側では増やせない
  • 来る会社を選べないため、ターゲット企業とそれ以外の会社が混ざって届く
  • 相手はほかの会社にも同時に問い合わせていることがあり、連絡が遅れると先に話を進められてしまう

2つ目と3つ目は、振り分けと連絡の速さで減らせます。まず、届く問い合わせの種類から見ていきます。

問い合わせの種類ごとに、初回の対応はどう変える?

種類によって、相手の検討の進み具合が違います。種類ごとに、最初に話す中身と連絡の急ぎ方を変えます。

種類相手の状態の目安初回の対応
相談・見積もりの依頼導入を具体的に考えている当日中に電話かメールで連絡し、日程の候補を出す
資料請求情報を集めている。比べている最中のことも多い資料の中で相手に関係するページを添えて連絡し、何を比べているかを聞く
セミナー・ウェビナーの申し込みテーマに関心がある。導入の予定はまだ分からない参加のお礼と、セミナーの内容に続く資料を送る。質問が出た会社から連絡する
無料トライアル・デモの申し込み使い勝手を確かめたい使い始めの手伝いを申し出て、試す目的を聞く
名刺交換(展示会など)接点はあるが、関心の強さは人によって違う会場で話したテーマに合わせて、お礼と資料を送る

相談・見積もりの依頼と、セミナーの申し込みを同じ順番で処理すると、急ぐべき相談の連絡が後回しになります。受け付けの段階で種類を見分け、急ぐものから連絡します。

ここで扱うのは、まだ取引の無い会社からの問い合わせです。すでに使っている顧客からの質問や不具合の連絡は、顧客サポートの仕事として分けて考えます。

インバウンド営業の進め方は?分担と5つの手順

受け付け、相手を調べる、初回の連絡、商談にする、の4つの段階をマーケティング・インサイドセールス・営業でどう分けるかを先に決め、そのうえで5つの手順を決めます。分担が決まっていないと、問い合わせが誰の手元にも無い時間が生まれます。

横に4つの段階(受け付ける・相手を調べる・初回の連絡・商談にする)、縦に3つの担当(マーケティング・インサイドセールス・営業)を並べた図。マーケティングは、受け付ける段階でフォームの内容をCRMに登録して来た施策を添え、商談にする段階で商談化した数を施策ごとに数える。インサイドセールスは、受け付ける段階で種類とターゲット企業かどうかで振り分け、相手を調べる段階で事業と問い合わせの前に調べていたテーマを確かめ、初回の連絡の段階で期限までに連絡して課題と時期を聞く(強調)。営業は、商談にする段階で基準を満たした会社を引き継ぎ、日程を決める。
図2:問い合わせを受けてから初回の連絡までの4つの段階を、マーケティング・インサイドセールス・営業で分けて受け持つ。インサイドセールスが無い会社では、営業が調べることと初回の連絡を受け持つ

マーケティングは、フォームの内容をCRMに登録し、どの記事やセミナーから来たかを添えます。インサイドセールスは、会社の事業と、問い合わせの前に何を調べていたかを確かめ、初回の連絡をします。営業は、商談の基準を満たした会社を引き継ぎ、日程を決めます。役割の分け方は「インサイドセールスとは?」でも紹介しています。

インサイドセールスを置いていない会社では、営業が調べることと初回の連絡を受け持ちます。その場合も、受け付けた問い合わせを誰が見るかを、曜日や担当する業界で決めておきます。

手順1:受け付ける窓口と、受け取る人を決める

フォーム、メール、電話、チャット、セミナーの申し込みなど、問い合わせが入ってくる場所を書き出します。場所ごとに、受け取る人と、CRMに登録する人を決めます。代表のメールアドレスに届いた問い合わせを、誰が見ているかも書き出します。誰にも転送されずに残っていることがあります。

手順2:振り分けの基準を決める

問い合わせの種類と、その会社がターゲット企業かどうかの2つで振り分けます。ターゲット企業からの問い合わせは、種類にかかわらずインサイドセールスが最初に連絡し、担当の営業にもその日のうちに知らせます。ターゲット企業以外からの問い合わせは、ターゲット企業からの問い合わせの後に、相談・見積もりの依頼、資料請求、セミナーやトライアルの申し込みの順でインサイドセールスが連絡します。

既存の取引先や、すでに商談中の会社からの問い合わせは、担当の営業に回します。別の担当が初めての会社として連絡すると、相手は同じ説明を二度することになります。

手順3:初回の連絡の期限と、最初に話すことを決める

種類ごとに、いつまでに連絡するかを決めます。相談・見積もりの依頼は当日中、資料請求は翌営業日まで、のように書いておくと、担当が変わっても同じ速さで動けます。

左から右へ時期の順に4つ並べた図。当日中:相談・見積もりの依頼には電話かメールで連絡し、日程の候補を出す(強調)。翌営業日まで:資料請求には関係するページを添えて連絡し、何と比べるかを聞く。セミナーの翌営業日:セミナーの申し込みにはお礼と続きの資料を送り、質問が出た会社から連絡する。毎月の定例:結果を戻し、商談化した数を種類ごと・施策ごとに並べる。期限は例。
図3:初回の連絡の期限を問い合わせの種類ごとに決め、毎月の定例で商談化した数を種類ごと・施策ごとに並べる。期限は自社の営業日と人数で守れるものにする(期限は例)

最初に話すことも決めておきます。資料請求なら「どの資料を、何と比べるために求めたか」、セミナーの申し込みなら「どのテーマを社内で進めようとしているか」です。相手の会社の事業と、問い合わせの前に調べていたテーマが分かっていれば、それに合わせて話す順番を変えます。

手順4:ヒアリングで、商談化するかを判断する

初回の連絡では、課題、検討の時期、かかわる部署、予算の決め方を聞きます。聞いた内容を、自社で決めた商談の基準に照らして、商談として営業に引き継ぐか、情報を送りながら様子を見るかを決めます。

基準は会社ごとに違います。日程が決まった時点を商談とする会社もあれば、課題と時期が確かめられた時点を商談とする会社もあります。インサイドセールスと営業で同じ基準を使います。基準の決め方は「MQLとは?」で、引き継ぐ情報と営業の結果の戻し方は「トスアップとは?」で扱っています。

手順5:結果をCRMに戻し、翌月の施策に使う

商談になったか、ならなかったか、ならなかった理由は何かを、問い合わせの記録と同じ会社の欄に書きます。理由は「時期が先」「予算が無い」「比べているだけ」のように、決まった選び方で書くと集計できます。

毎月の定例で、問い合わせの種類ごと、どの施策から来たかごとに、商談化した数を並べます。商談につながった施策を翌月に増やし、つながらなかった施策の中身を見直します。

フォーム・予約カレンダー・CRMで済むことと、残る面倒は?

受け付けと日程の調整と記録は、道具で済みます。残るのは、相手がどんな会社で何に関心があるかを調べ、担当と資料を選ぶ作業です。

道具済むこと残る面倒
フォーム会社名・部署・連絡先・問い合わせの内容を受け取る欄に書かれていない、相手の事業や困りごとは分からない
予約カレンダー相手が自分で日程を選び、面談が決まる日程を選ぶ前に離れた人には、別に連絡する必要がある
CRM問い合わせと対応の記録が、会社ごとに残る記録を入れる人が決まっていないと、営業の結果が戻らない

調べる作業は、問い合わせのたびに担当が相手の会社のサイトやニュースを開いて行うことが多く、届く数が増えるほど初回の連絡が遅れます。

減らし方は2つあります。1つ目は、調べる項目を「事業」「部署」「問い合わせの前に調べていたテーマ」「過去の接点」の4つに絞り、決まった欄に書くことです。2つ目は、問い合わせの前の動き、たとえば自社のサイトでどの資料や記事を見ていたかを、問い合わせと同じ会社の欄に集めておくことです。担当は、開いた画面の欄を読むだけで、連絡の中身を決められます。

調べていたテーマは、検討の手がかりです。購入の予定を示すものではないため、初回の連絡で本人に確かめます。

問い合わせが商談化しないのはなぜ?3つの原因と失敗

原因は、連絡が遅い、相手に合わない話をする、結果が戻らない、の3つに分けて探します。どれが原因かで、直す場所が違います。

問い合わせが来ているのに商談化しない、を3つの原因に分けた図。連絡が遅い(受け付けから初回の連絡まで間が空く。受け取る人と初回の連絡の期限を見直す)。相手に合わない話をする(相手を調べずに決まった説明から始める。調べる4つの項目を決め、比べている点を聞く)。結果が戻らない(どの施策から来た会社が商談化したか分からない。見送りの理由の選び方を決め、毎月の定例で並べる)。
図4:問い合わせが来ているのに商談化しないときは、連絡が遅い・相手に合わない話をする・結果が戻らない、の3つに分けて原因を探し、それぞれの直す場所(下の段)を見直す

連絡が遅いときは、受け取る人と期限が決まっていないことが多くあります。あなたのチームで、受け付けてから初回の連絡までに何日かかっているかを、まず数えます。手順1と手順3を見直します。

相手に合わない話をしているときは、相手を調べないまま、決まった説明から始めています。資料請求をした人に、製品の説明を最初から順に話しても、相手が知りたいことに届くまでに時間がかかります。相手が比べている点から話します。

結果が戻らないときは、どの施策から来た問い合わせが商談になったかが分からず、翌月も同じ施策を続けることになります。手順5の書き方を決めます。

失敗1:問い合わせをすべて同じ順番で処理する

届いた順に連絡すると、相談・見積もりの依頼が、セミナーの申し込みの後ろに並ぶことがあります。種類と、ターゲット企業かどうかで、先に連絡する会社を決めます。

失敗2:連絡のたびに、相手に同じことを聞く

インサイドセールスが聞いたことを営業が知らずに、初めから聞き直すことがあります。相手から見ると、話が伝わっていない会社に見えます。聞いたことはCRMの同じ欄に書き、営業は読んでから連絡します。

失敗3:問い合わせが来るのを待つだけになる

問い合わせを待つだけでは、まだ検討を始めていないターゲット企業と接点を持てません。自社のサイトでどの会社がどのテーマを調べているかを見て、営業の側からの連絡やマーケティング施策と組み合わせます。問い合わせにまだ至らない会社への考え方は「インテントデータで見える「まだ問い合わせない顧客」の見つけ方」で扱っています。

インバウンド営業のよくある質問

インバウンド営業とインサイドセールスは、何が違いますか?
インバウンド営業は営業のやり方で、インサイドセールスは電話・メールでリードをフォローする役割の名前です。初回の連絡は、インサイドセールスがよく受け持ちます。
問い合わせへの初回の連絡は、いつまでにするのがよいですか?
相談・見積もりの依頼は当日中、資料請求は翌営業日まで、のように種類ごとに決めます。自社の人数で守れる期限にします。
問い合わせを増やすには、何をしますか?
記事・資料・セミナー・広告などのマーケティング施策で増やします。営業の側では、届いた問い合わせからの商談化率を上げることを受け持ちます。
ターゲット企業以外からの問い合わせにも、連絡しますか?
連絡します。同じインサイドセールスが、ターゲット企業からの問い合わせの後に連絡します。話を聞いて、ターゲット企業に加える会社が見つかることもあります。
成果は、何で測りますか?
問い合わせの数、初回の連絡までの時間、商談化した数と割合を、問い合わせの種類ごと・施策ごとに見ます。

まとめ:問い合わせの種類ごとに、初回の連絡の担当と期限を決める

  1. 意味:顧客からの問い合わせ・資料請求・セミナーの申し込みなどをきっかけに始める営業です。アウトバウンド営業とは、最初に動くのが顧客か営業かが違います。
  2. 種類ごとの対応:相談・見積もりの依頼は急いで連絡し、資料請求は何と比べているかを聞きます。種類とターゲット企業かどうかで、連絡する順番を決めます。
  3. 進め方:受け付ける窓口、振り分けの基準、初回の連絡の期限と話すこと、商談化の判断、結果の戻し方の5つを決めます。
  4. 商談化しない原因:連絡が遅い、相手に合わない話をする、結果が戻らない、の3つに分けて、直す手順を見つけます。

今日できることは、先月の問い合わせをいくつか選び、受け付けた日時と初回の連絡の日時を並べることです。間が空いていた問い合わせから、誰の手元で止まっていたかを確かめます。

問い合わせの前に何を調べていたかと、問い合わせのあとの営業の結果が、同じ会社の欄に集まっていると、初回の連絡の中身と翌月の施策を決めやすくなります。

ウルテク(URUTEQ)は、ABM(アカウントベースドマーケティング)の考え方で、ターゲット企業からの商談獲得を仕組み化するBtoBマーケティング・営業支援サービスです。自社のサイトを訪れた企業と調べているテーマ、マーケティング施策の結果、営業の対応を企業ごとに分析し、商談につながった施策を解析します。

フォームやCRMが、問い合わせの前と後のどの行動を記録していないかを確かめたいときは、次の資料が使えます。「商談獲得までのBtoBツール役割マップ」は、MA・SFA・CRM・GA4と企業データが、ターゲット企業のどの行動を記録していて、どの行動を記録していないかを、1枚のマップで確かめる資料です。ツールを入れ替えずにできる見直しの手順と、Excelのシートがついています。

著者紹介
井上翔太
ウルテク| URUTEQ 事業責任者 ---- 新卒で証券会社に入社し、BtoCのセールスを経験。その後、PR代理店にてBtoB・BtoC企業向けのデジタルマーケティングコンサルティングや新規営業を担当。ログリー株式会社入社後は、BtoBマーケティング向けSaaSの開発やマーケティング、セールスなどを行う。現在は、これまでの経験を活かし、BtoBマーケAIエージェント「アカウントインテリジェンスツール ウルテク」の事業責任者を務めている。

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