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ーケティング施策の貢献度を正しく評価する「アトリビューション」とは?

デジタルマーケティングが主流となった現在、企業と顧客の接点はかつてないほど多様化しています。検索エンジン、SNS、動画プラットフォーム、ウェビナー、メルマガなど、情報収集のチャネルが増加するにつれて、顧客の購買行動も一直線ではなくなりました。

このような状況下で、どの施策が成果に結びついているのか判断に迷う場面は少なくありません。広告やコンテンツなど複数の接点が絡み合う中で、最終的なコンバージョンだけを追っていては施策の真の価値を見落としてしまいます。

各顧客接点の貢献度を可視化し、予算配分や施策の全体最適を図るための枠組みがアトリビューションです。ここからはその基礎知識と、代表的な分析モデルの特徴、そして実務における課題までを整理していきます。

アトリビューションとは?

アトリビューションとは、直訳すると帰属を意味します。マーケティング領域においては、コンバージョン(商品購入や資料請求など)に至るまでの複数の顧客接点に対して、それぞれどの程度貢献したのかを評価し、割り当てる考え方を指します。

従来は、最後にクリックされた広告のみを評価するラストクリックが主流でした。しかし、BtoB・BtoCを問わず、ユーザーは一度の接触で即座に購買を決断するわけではありません。特に検討期間の長い商材では、以下のような複雑な経路をたどることが一般的です。

  • SNSのタイムラインで自社のサービス紹介動画を見る
  • 数日後、業務上の課題を感じて検索エンジンを利用し、自社のオウンドメディアの記事を読む
  • 記事内のリンクから、課題解決に役立つホワイトペーパーをダウンロードする
  • 後日配信されたメールマガジンをクリックし、ウェビナーに申し込む
  • ウェビナー視聴後、リターゲティング広告を経由して個別相談(コンバージョン)を申し込む

このような長期的な経路をたどった場合、ラストクリックのみの評価では動画広告やオウンドメディアの貢献度がゼロになってしまいます。アトリビューションは、見過ごされがちな初期の認知獲得や、中間の育成フェーズの施策にも適切な評価を与え、全体の予算配分を最適化する手法として機能します。

なぜアトリビューション分析が重要なのか?

単なるデータ分析の手法にとどまらず、マーケティング活動全体に影響を与える理由は大きく3つ存在します。

  • カスタマージャーニーの複雑化への対応デジタルチャネルの多様化により、顧客が情報に触れる経路は多岐にわたります。単一のタッチポイントのみを分析対象とすると、顧客の全体像を見誤るリスクが生じます。各施策がどのフェーズで役割を果たしているのかを俯瞰する視点が必要です。
  • 機会損失と誤った予算削減の防止直接的なコンバージョンを生んでいないように見える純広告やコンテンツSEOなどが、実は初期の認知形成に深く寄与しているケースは珍しくありません。貢献度を正しく評価できないままコンバージョンに直結しないという理由でこれらの施策を停止すると、ファネルの上部が枯渇し、数ヶ月後に全体のリード数が激減するという事態を引き起こします。
  • 投資対効果の継続的な改善各施策の貢献度合いが可視化されることで、どこに予算を投下すれば最も効率よく成果を獲得できるかというデータドリブンな判断が可能になります。限られたマーケティング予算の中で成果を最大化するためには、感覚ではなくデータに基づいたリソース配分が求められます。

代表的なアトリビューションモデル

顧客接点に対してどのように貢献度を割り当てるかというルールを、アトリビューションモデルと呼びます。分析の目的やビジネスの特性に合わせて、以下のモデルを使い分けるのが一般的です。

モデル名評価の配分方法特徴・適しているケース
ラストクリック最後の接点に100%短期的なキャンペーンや、購買サイクルが非常に短い商材向け。
ファーストクリック最初の接点に100%潜在層の獲得や、ブランドの認知拡大を最優先とするフェーズに最適。
線形 (リニア)すべての接点に均等配分顧客との継続的な接点維持が重要なビジネスに適している。
減衰 (タイムディケイ)コンバージョンに近い接点ほど高く評価検討期間が長く、最終的なクロージングの施策を重視したい場合。
接点ベース (U型)最初と最後の接点を重視(例:各40%、中間を均等配分)認知と獲得の両方をバランス良く評価したい場合。
W型最初、リード化、案件化(オポチュニティ創出)の3点に重み付け(例:各30%、残りを均等配分)BtoBなど、各フェーズのハードルが高く長期化するビジネス向け。

近年ではこれら固定のルールにとらわれず、機械学習を用いて過去の膨大なデータから最適な貢献度を自動算出するデータドリブン・アトリビューションを採用する企業も増えています。

分析を阻む壁と成功させるためのポイント

導入によって直ちに最適な答えが出るわけではありません。実務においてはいくつかの壁が存在し、それらを乗り越えるためのポイントを押さえて運用することが求められます。

  • データの分断を解消する広告媒体の管理画面、アクセス解析ツール、MA、CRMなど、データが別々のシステムに散在している状態では正確な分析ができません。これらを統合し、ひとつの軸でユーザー行動を追える環境を構築することが最初のステップとなります。
  • 仮説検証を前提とする検討期間の短い商材と、関与者も多いBtoB商材では、適したモデルが異なります。最初から完璧なモデルを見つけるのは困難なため、複数のモデルでデータを比較し、自社のビジネスに沿った評価基準を模索する姿勢が必要です。
  • 分析結果を次のアクションにつなげる分析結果をまとめたレポートを作成して終わるのではなく、予算配分の変更や特定コンテンツの強化といった具体的な改善策に落とし込むことが本来の目的です。

データで企業の「見えない動き」を捉え、成果へつなぐ

アトリビューション分析の目的は、顧客がどのような経路をたどって自社を選んでくれたのかという解像度を高めることにあります。とくにBtoBマーケティングでは購買プロセスが長期化しやすく、個人ではなく企業単位(アカウント単位)での行動把握が不可欠です。

BtoB領域におけるアトリビューションの最大の難所は、情報収集を行う担当者と最終的な決裁者が異なるケースが多い点にあります。個人のブラウザやCookie単位の追跡だけでは、担当者がウェビナーを見て後日上司が指名検索で問い合わせたという一連の流れが分断され、別々の行動としてカウントされてしまいます。

ここで重要になるのが、コンバージョンに至る前のユーザー行動を企業単位でいかに把握するかという点です。これを解決するために、ウルテクのアナリティクス機能を活用すれば、サイトを訪問した企業の可視化やアクセス解析を通じて、会社ごとの興味関心や検討の進み具合をスムーズに把握できます。

IPアドレスなどをキーにして企業単位の動きを捉えることで、コンバージョンしていない企業の中から追うべき会社を見つけやすくなり、認知で止まっているのか比較検討に進んでいるのかを見分けられます。アトリビューションの視点とウルテクのアナリティクス機能を組み合わせることで、特定の施策がどの企業の検討を後押ししたのかが鮮明になるはずです。

効いている施策を早すぎる判断で止めてしまうリスクを減らし、マーケティングの気づきを広告や資料導線、営業アクションへとつなげる。そうした一連の仕組みを構築することが、複雑な購買プロセスを勝ち抜く要因となります。

アトリビューションに関するよくある質問(FAQ)

Q. 分析を始めるのに必要なツールは何ですか?

A. まずはGoogle アナリティクス 4(GA4)などのアクセス解析ツールから着手するのが一般的です。GA4にはデータドリブンアトリビューションなどのモデルが標準で用意されているため、初期設定を行うだけで基本的な分析の土台が整います。

Q. どの評価モデルを選べばいいかわかりません。

A. 最初からひとつのモデルに絞る必要はありません。複数のモデル(例えばラストクリックと接点ベース)でデータを比較し、評価の差分を見ることから始めることを推奨します。自社の注力フェーズが変われば、最適なモデルも変化します。

Q. BtoBとBtoCでアトリビューションの考え方に違いはありますか?

A. 基本的な概念は同じですが、BtoBは検討期間が数ヶ月から年単位に及ぶことがあり、また関与する人物が複数存在します。そのため、個人単位のトラッキングだけでなく、企業単位での行動履歴を統合して評価する視点がより強く求められます。

Q. プライバシー保護の強化やCookie規制は分析に影響しますか?

A. 大きな影響を与えています。Google ChromeにおけるサードパーティCookieの全面廃止方針は撤回され、さらにユーザーに選択を委ねるプロンプトの導入計画も中止となりました。現状ChromeではサードパーティCookieが継続利用できる状態ですが、Safariなど他のブラウザではすでに厳しいトラッキング制限が進行しています。異なるドメイン間をまたいだユーザーの追跡が難しくなっている全体的な状況に変わりはないため、自社で取得するファーストパーティデータの活用や、統計的なモデリング手法を取り入れた分析の重要性は引き続き高まっています。

Q. オフライン施策(展示会やDMなど)はどのように評価すればよいですか?

A. 名刺交換の履歴やアンケート結果をMAやCRMツールに取り込み、オンラインの行動履歴と紐付けることで一元的な評価が可能になります。オフラインで接触した顧客が、その後オンラインでどのような経路をたどったかを確認できる環境整備が必要です。

著者紹介
井上翔太
ウルテク| URUTEQ 事業責任者 ---- 新卒で証券会社に入社し、BtoCのセールスを経験。その後、PR代理店にてBtoB・BtoC企業向けのデジタルマーケティングコンサルティングや新規営業を担当。ログリー株式会社入社後は、BtoBマーケティング向けSaaSの開発やマーケティング、セールスなどを行う。現在は、これまでの経験を活かし、BtoBマーケAIエージェント「アカウントインテリジェンスツール ウルテク」の事業責任者を務めている。

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