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BtoBmarketing
BtoBマーケティングの現場では、ここ数年で求められることが一気に増えました。
展示会の企画とフォロー、ウェビナー運営、ホワイトペーパー制作、広告運用、メール配信、コンテンツ企画、営業連携、MAやCRMの管理、効果測定、レポート作成。それぞれを単発で回すだけでなく、「どの施策が商談につながったのか」「次に何を強化すべきか」まで求められる時代です。
一方で、現場の多くは少人数体制。1人で複数領域を兼務していたり、マーケとインサイドセールスの役割が曖昧だったり、施策は増えているのに改善に使える時間が足りなかったりするケースも少なくありません。
そんな中でAI活用への期待が高まっていますが、ここで押さえておきたい視点があります。AIを使うこと自体では競争優位にはなりません。これから差がつくのは、AIを単発で使う会社ではなく、AIを前提に業務を設計できる会社です。
その中心に必要になる新しい役割が、BtoBマーケティング組織における Marketing Engineer(マーケティングエンジニア)です。本記事では、なぜ今この役割が必要なのか、具体的に何をする人なのか、どんな業務が変わるのかを整理します。
※ AIマーケティングの全体像は「AIマーケティング完全ガイド」、AI活用の失敗パターンは「BtoBマーケでAI活用が失敗しやすい理由」もあわせてご覧ください。
目次
Marketing Engineer(マーケティングエンジニア)とは、AI・自動化・データ活用を、実際のマーケティング業務に組み込む人のことです。単なる「AIに詳しい人」でも、「ツール導入担当」でもありません。
マーケティング戦略の意図を理解した上で、現場の業務フローを見直し、AIや各種ツールを使って、より成果につながる形に設計し直す。それが主な役割です。
具体的には、以下のような観点で物事を考えられる存在です。
つまりMarketing Engineerは、戦略と実務の間をつなぎ、AI活用を現場で機能する形に変える人です。施策の実行者ではなく、施策が回り続ける構造を作る運用設計者と言い換えてもいいでしょう。
日本のBtoB企業では、マーケティング業務が分断されやすいという構造的な課題があります。
たとえば、多くの企業で以下のような状態が見られます。
こうした状態では、データはあっても活かしきれません。AIを導入しても、結局は「使える人だけが使う便利ツール」で終わってしまいます。
必要なのは、AIを追加することではなく、AIを含めて業務を再設計すること。Marketing Engineerは、まさにそこを担う役割です。
Marketing Engineerの価値は、概念だけでなく実務で考えると分かりやすくなります。ここでは代表的な3つの業務がどう変わるかを紹介します。
展示会やウェビナーの後、多くのBtoB企業ではフォローが重要だと分かっていても、実際には対応しきれないことがよくあります。
参加者リストを整理し、企業情報を確認し、優先順位をつけ、メール文面を考え、営業へ連携する――この流れを毎回手作業で回していると、どうしても抜け漏れや遅れが出ます。
そこでMarketing Engineerは、参加者データ、企業属性、サイト再訪、資料閲覧、過去接点などを組み合わせ、「どの企業を優先して、どんな内容でフォローするか」を整理する仕組みを作ります。
すると、担当者の勘や記憶ではなく、一定の基準で次アクションを決めやすくなります。属人的なフォロー運用が、誰が担当しても同じ品質で回る仕組みに変わります。
競合の料金改定、新機能、導入事例、セミナー内容、採用強化――BtoBではこうした情報が営業・マーケの両方に大きく影響します。
ただ、現実には「気づいた人がSlackで共有する」「営業会議の前に慌てて調べる」といった運用になりがちです。
Marketing Engineerは、競合の動きを定点で監視し、変化を抽出し、重要度を判定し、必要に応じて営業トークや比較資料の更新案まで出す流れを設計します。
すると、競合対策が属人的な情報収集ではなく、継続的な仕組みになります。
ウェビナーを開催しても、アーカイブ動画がそのまま眠っている。ホワイトペーパーを作っても、その先の記事化やメール活用まで手が回らない。これは多くのBtoB企業で起きていることです。
Marketing Engineerは、ウェビナーの内容をもとに記事案を作る、要点を営業向けにまとめる、メール配信用に加工するなど、1つのコンテンツを複数の施策へ展開する流れを設計します。
結果として、コンテンツ制作の投資対効果を高めやすくなります。生成AIを組み合わせた具体的なアイデアは「生成AI×コンテンツ制作アイデア集12選」でも整理しています。
ここで気になるのは、「それって優秀なマーケ担当者がやることでは?」という点かもしれません。
たしかに一部は重なります。ただ、Marketing Engineerは、施策を実行すること自体よりも、施策が回り続ける構造をつくることに重心があります。
| 観点 | 従来のマーケ担当者 | Marketing Engineer |
|---|---|---|
| 主な役割 | 施策の実行者 | 運用設計者・仕組みの構築者 |
| 視点 | 「今回の施策で成果を出す」 | 「次も同じ成果を再現できる仕組みにする」 |
| AIの使い方 | 単発タスクの効率化 | 業務フロー全体への組み込み |
| データ活用 | レポート作成が中心 | データが流れ続ける構造を設計 |
| 評価軸 | 施策ごとのKPI | 施策の再現性・スケール可能性 |
たとえば、メールを書く、記事を作る、レポートをまとめる――これは従来のマーケ担当者でもできます。
でもMarketing Engineerは、その一歩手前で、
まで設計します。つまり、作業者というより、運用設計者に近い存在です。
今後のBtoBマーケティングでは、「施策をたくさんやる会社」よりも、「必要な施策を、再現性高く回せる会社」が強くなっていきます。
なぜなら、AIによってアウトプットの初速はどの会社でも上がるからです。記事案も、広告文も、要約も、調査も、以前より早く作れるようになります。
その結果、差が出るのは”作る力”だけではありません。差が出るのは、何を起点に、誰が、どの順番で、どの判断をして動くかという設計です。
つまり、AI時代の競争力は、個人の頑張りよりも、仕組みの質で決まるようになります。
その仕組みを担う人材がいない組織では、AIを入れても部分最適のままです。逆に、Marketing Engineerのような視点を持つ人がいる組織では、AI活用が現場に根付きやすくなります。
日本のBtoB企業にとって、Marketing Engineerはまだ一般的な肩書きではありません。ただ、役割としてはすでに必要になり始めています。特に、次のような企業では重要性が高まるはずです。
これから求められるのは、AIを触れる人ではありません。AIを使って、現場の成果が出る流れを設計できる人です。Marketing Engineerは、その役割に最も近い存在と言えます。
Marketing Engineerが機能するためには、個人のスキルだけでは足りません。来訪企業データ・インテント・CRM情報が一つの基盤でつながっていることが前提になります。
URUTEQ(ウルテク)は、BtoBマーケティングに必要なデータを統合し、AIと組み合わせて実務を動かすためのBtoBマーケティングエージェントです。Marketing Engineerが設計した仕組みを実際に回せる基盤として位置づけられます。
URUTEQがMarketing Engineerの業務を支える機能
これらを使って、Marketing Engineerは「データが集まる → AIが分析する → 営業が動く」の流れを自社の業務フローに合わせて設計していきます。
具体的な活用イメージは「URUTEQ × Claude Codeで何ができる?」、ICP設計の観点からは「AIで設計する動的ICP」もあわせてご覧ください。
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