• TOP
  • お役立ち情報
  • AIに何を見せるか|AI時代のBtoBマーケで本当に差がつくもの

AIに何を見せるか|AI時代のBtoBマーケで本当に差がつくもの

この記事のポイント

AI時代のマーケティングで本当に差がつくのは「AIをどう使うか」ではなく「AIに何を見せるか」。自社の顧客行動を読ませることで、AIの出力は一般論から実務仮説に変わります。

最近、AIを使っていてよく思うことがあります。もう、作ること自体はかなり簡単になったなと。記事を書く、広告文を作る、LPの構成を考える、メール文面を作る、セミナーの企画を出す、営業資料のたたき台を作る、商談メモを要約する。もちろん、まだ人の手直しは必要です。でも、ゼロから考える時間はかなり減りました。

これは本当にすごい変化です。ただ、その一方で少し怖さもあります。AIを使えば、誰でもある程度それっぽいものを作れる。つまり「作れること」自体の価値は、どんどん下がっていくということです。

では、これから何で差がつくのか。個人的には、答えはかなりシンプルで、AIに何を見せられるかだと思っています。

この記事でわかること
  • AIに一般論を聞くと一般論が返ってくる理由
  • 「自社だけの顧客理解」がなぜAI時代の競争力になるのか
  • 顧客がフォームに書かない本音は「行動」に出るという話
  • CVだけ見ていると見落とすシグナルとその拾い方
  • 「誰か分からないから意味がない」を超える企業行動データの使い方
  • 既存DB(HubSpot等)と現在の行動を重ねる発想

1. AIに一般論を聞くと、一般論が返ってくる

AIに「BtoBマーケティングの施策を考えて」「広告文を作って」「ホワイトペーパーのテーマを出して」「セミナー企画を考えて」と聞くと、ちゃんと答えてくれます。それなりにきれいで、それなりに正しくて、それなりに使えそうな答えが返ってきます。

でも、どこかでこう感じることもあります。

  • 「うん、間違ってはいない」
  • 「でも、うちの状況に本当に合っているのか?」
  • 「結局、よくある話になっていないか?」

これはAIが悪いわけではありません。AIに渡している情報が一般的なら、返ってくる答えも一般的になる。当然といえば当然です。

たとえば、AIに「BtoBマーケの広告文を作って」とだけ言えば、それっぽい広告文は出てきます。でも、その広告文が どの業界に刺さるのか/どの企業規模に合っているのか/どの課題を持つ人に響くのか/今の自社の商談につながりやすいのか/営業現場で実際に使えるのか ——そこまでは、AIは勝手には分かりません。なぜなら、AIは自社の顧客の動きを見ていないからです。

2. 本当に必要なのは「自社だけの顧客理解」

AI時代に必要なのは、AIにうまく命令する力だけではないと思います。もちろん、プロンプトも大事です。使うツールの選び方も、業務フローに組み込むことも大事です。でも、もっと根本にあるのは、自社の顧客をどれだけ理解できているかです。

  • どの企業が反応しているのか
  • どのページを見ているのか
  • どの広告に反応したのか
  • どの資料を読んでいるのか
  • どの企業が何度も戻ってきているのか
  • どの企業はCVしていないけれど、実は検討していそうなのか
  • 商談化する企業と、しない企業では何が違うのか

こういう情報があるかどうかで、AIの使い方はまったく変わります。AIにただ一般論を聞くのではなく、自社の顧客行動を見せたうえで考えさせる。これができる企業とできない企業で、これから差がつくと思っています。

関連して、誰を顧客とみなすかの基準づくりは ICP(理想顧客像)作り方ガイド にも整理しています。

3. 顧客は、フォームに本音を書いてくれない

BtoBマーケティングをやっていると、よく感じることがあります。顧客は、最初から本音を全部話してくれるわけではない。

問い合わせフォームに、こうは書いてくれません。

  • 「実は競合と比較しています」
  • 「料金が不安です」
  • 「上司を説得する材料を探しています」
  • 「導入後に社内で使われるか心配です」
  • 「いま使っているツールに少し不満があります」
  • 「でも、まだ問い合わせるほどではありません」

商談でも同じです。最初から全部を話してくれるわけではない。むしろ、最初はかなり慎重です。でも、その本音の一部は、行動には出ます。

顧客の行動 そこに表れている本音(仮説)
料金ページを何度も見る 予算感を確認している
導入事例を複数見る 自社に近い成功例を探している
サービスページを行ったり来たり 比較検討の終盤
広告接触後に後日サイト再訪 最初の訴求が記憶に残っていた
過去リードが半年後に再訪 再検討が始まっている

もちろん、全部を断定することはできません。「この企業は絶対に検討しています」とは言えない。でも、仮説は立てられます。ここに、マーケティングのヒントがあります。

4. CVだけを見ていると、見落とすものがある

もちろん、CVは大事です。資料請求、問い合わせ、セミナー申し込み、デモ依頼。これらは分かりやすい成果です。数字にもなり、レポートもしやすい。

でも、CVだけを見ていると、どうしても見落とすものがあります。それは、CVする前の動きです。BtoBの検討は、いきなり問い合わせから始まるわけではありません。情報収集 → 比較 → 社内共有 → 迷い → 保留 → 再訪。そして、その途中でCVしない企業もたくさんあります。

でも、CVしなかったからといって、価値がないわけではない。むしろ、そこに市場の反応が隠れていることがあります。

  • どの業界の企業が見に来ているのか
  • どのページで止まっているのか
  • どのコンテンツは読まれているのか
  • どの訴求には反応があるのか
  • どの企業群はCVしないけれど何度も来ているのか

これは、単なるアクセスデータではありません。市場が何に反応しているかを知るためのデータです。

CV前の検討シグナルの活かし方は インテントデータ活用法 にも整理しています。

5. 「誰か分からないから意味がない」で止めるのは、もったいない

企業アクセス解析や行動データの話をすると、よく出てくる反応があります。「でも、結局誰が見ているか分からないですよね?」

これは、すごく自然な反応です。営業目線では特にそう。担当者名が分からない、メールアドレスがない、電話する相手が分からない、だからすぐ営業できない——意味が薄いのではないか。そう思うのも分かります。

でも、ここで止めてしまうのは少しもったいない。なぜなら、企業単位の行動データは「今すぐ電話するためのリスト」だけではないからです。

個人名がなくても意味がある5つのシーン

  • 想定していなかった業界からのアクセスが多い → ターゲット見直しの材料
  • 特定のサービスページだけ、同じ企業が何度も見ている → 訴求変更の材料
  • 広告経由ではCVしないが、後日再訪している企業が多い → 広告評価をCVだけで終わらせない材料
  • 事例ページは読まれるのに、問い合わせにつながらない → コンテンツ補強の材料
  • 過去に接点のある企業が、また動き出している → 営業の優先順位を考える材料

つまり、企業行動データは、営業リストである前に「市場理解のためのデータ」でもあります。

6. これからのマーケティングは「作る」より「読む」が重要になる

AIによって、作る力はどんどん強化されます。だからこそ、これから重要になるのは、何を作るべきかを判断する力です。

  • どのテーマの記事を書くべきか
  • どの訴求を広告で試すべきか
  • どの企業群に向けてセミナーを作るべきか
  • どの資料を営業に渡すべきか
  • どの休眠リードに再接触すべきか
  • どのページを改善すべきか
  • どの商談化パターンを増やすべきか

これらは、AIに丸投げするというより、AIと一緒に考える領域です。そして、そのためには材料が必要です。感覚だけではなく、自社の顧客が実際にどう動いているか。ここを見ないままAIを使っても、アウトプットは増えるけれど、判断の精度は上がりにくい。

逆に、顧客行動データがあれば、AIへの問いはこう変わります。

データがないとき データがあるとき
「広告文を10案作って」 「この業界の企業が最近増えている。なぜだと思う?」
「セミナー企画を考えて」 「料金ページを見た後にCVしない企業が多い。どんな不安がありそう?」
「次の訴求を提案して」 「商談化した企業はこの3ページを見ている。次の広告訴求は?」
「再アプローチ文を書いて」 「HubSpotの過去リードで、最近再訪した企業向けにメール文面を作って」

AIがすごいから成果が出るのではなく、AIに見せるデータが具体的だから、答えも具体的になる。ここが大事だと思います。

7. 既存データベースも、もっと活かせる

多くの企業には、すでに顧客データがあります。HubSpot、Salesforce、MA、名刺管理ツール、スプレッドシート、過去の商談履歴、展示会の名刺、セミナー参加者リスト。

ただ、それらは「過去の接点の管理」で止まっていることも多いです。誰が資料請求したか/誰と商談したか/どの企業が失注したか/どの企業が顧客か。もちろん、それだけでも大事です。

でも、そこに「今の行動」が重なると、意味が変わります。

過去の接点 × 今の行動 が重なった瞬間に、判断材料になる
図:過去の接点 × 今の行動 が重なった瞬間に、判断材料になる

たとえば、こんな具合です。

  • 過去に資料請求した企業が、半年後に料金ページを見ている
  • 失注した企業が、別のサービスページを見ている
  • 展示会で名刺交換した企業が、後日サイトに来ている
  • 既存顧客が、新しいプロダクトページを見ている
  • 休眠リードが、広告接触後に再訪している

これは、ただの過去データではありません。「今、何かが起きているかもしれない」というシグナルになります。既存データベースは、管理するだけではなく、今の顧客行動と組み合わせることで、次の施策を判断する場所になります。

営業・広告連携を含めた上流の設計は GTM戦略 もあわせてどうぞ。

8. AI時代に必要なのは、顧客理解を増やすデータ基盤

ここまで考えると、AI時代のBtoBマーケティングで必要なものが少し見えてきます。それは、単にAIツールを導入することではありません。AIに読み込ませるべき、自社固有の顧客理解を持つことです。

  • どの企業が動いているのか
  • 何に関心を持っているのか
  • どの訴求に反応したのか
  • どこで迷っているのか
  • どの行動が商談につながりやすいのか
  • 過去接点のある企業が、今また動いていないか

こうした情報があることで、AIはただの作業支援ツールではなくなります。営業やマーケティングの判断を支える存在になります。逆に言うと、データがなければ、AIはどうしても一般論に寄りやすい。

AIに何を作らせるか。それも大事です。でも、その前に、AIに何を見せるか。ここが本質だと思っています。

FAQ:AIに何を見せるかに関するよくある質問

「AIに何を見せるか」と「プロンプト設計」はどう違いますか?
プロンプト設計はAIへの「聞き方」、見せるデータは「材料」です。聞き方が上手でも、自社の市場反応データを渡せなければ、答えは一般論にとどまります。両方が揃って初めて、AIは自社固有の仮説を返します。
CV数を増やす施策と、CV前を読む施策のどちらを優先すべき?
CVを増やすこと自体は重要ですが、CV前を読む仕組みがあると、CVを増やすための仮説の精度が上がります。短期はCV最適化、中期はCV前のシグナル可視化を並行で進めるのがおすすめです。
個人が特定できない企業行動データに、本当に意味はありますか?
あります。営業リストとしての価値だけでなく、ターゲット見直し・訴求調整・コンテンツ補強・広告評価の判断材料として機能します。企業単位の動きが見えるだけで、施策の意思決定が大きく変わります。
HubSpotがあれば、企業行動データは不要では?
HubSpotは過去の接点管理に強い一方、未登録企業の現在の動きは捉えにくい性質があります。企業単位の行動データを重ねることで、既存DBが「管理ツール」から「判断基盤」へ進化します。
最初の一歩として何から始めればよいですか?
まずは「自社サイトを企業単位で見られる状態」を作ることです。料金ページや事例ページなど、検討終盤の動きを企業単位で観察するだけでも、AIに渡せる仮説の質が変わります。
ウルテクは何をしてくれますか?
サイト訪問・広告接触・資料閲覧・CV・インテントを企業単位でつなぎ、HubSpot等の既存DBと組み合わせ、AIに渡せる「判断材料」として整えるサービスです。CVだけでは見えない企業の動きを、営業・マーケ施策に接続します。

まとめ:AIに一般論を聞く時代から、自社の顧客行動を読ませる時代へ

  1. 差がつくのは「AIの使い方」より「AIに見せるデータ」。渡す情報が一般的なら、答えも一般的になる。AIの良し悪しではなく、入力の質で勝負が決まる時代に入りました。
  2. CVだけ追うと、市場の手応えを見落とす。フォームに書かれない本音は行動に出ます。料金ページの再訪、事例の連続閲覧、広告後の再訪——ここが市場理解の宝庫です。
  3. 既存DBは「管理」から「判断」へ。過去の接点に今の行動シグナルを重ねた瞬間、HubSpotやSFDCは次の打ち手を決めるための場所に変わります。

ウルテクが提供する価値

ウルテクは、この「AIに何を見せるか」という課題に向き合うサービスです。サイト訪問・広告接触・資料閲覧・CV・インテントデータ、そしてHubSpotなどの既存データベースにある顧客情報を、企業単位でつなぎ、営業やマーケティングの判断に使える状態にします。

単に「どの企業がサイトに来たか」を見るだけではありません。重要なのは、その企業が 何に反応し/どのタイミングで動き/どのページを見て/過去にどんな接点があり/次にどんなアクションを取るべきか を判断できることです。そのデータをAIに読ませることで、一般論ではなく、自社の顧客行動に基づいた仮説を出しやすくなります。

AI時代のマーケティングでは、作る力よりも、顧客の動きを読む力が重要になる。ウルテクは、CVだけでは見えない企業の行動を捉え、AIと営業・マーケティング施策に接続するためのデータ基盤です。

著者紹介
井上翔太
ウルテク| URUTEQ 事業責任者 ---- 新卒で証券会社に入社し、BtoCのセールスを経験。その後、PR代理店にてBtoB・BtoC企業向けのデジタルマーケティングコンサルティングや新規営業を担当。ログリー株式会社入社後は、BtoBマーケティング向けSaaSの開発やマーケティング、セールスなどを行う。現在は、これまでの経験を活かし、BtoBマーケAIエージェント「アカウントインテリジェンスツール ウルテク」の事業責任者を務めている。

Category list

ウルテクについて、もっと詳しく知りたい方へ