営業ツール
営業リストの購入は、当たる条件と当たる順番を決めてから行うと、使われずに残る件数が減ります。担当者の個人情報が入るなら、提供元の取得の経緯を確かめて記録します。
新しい商材の当たり先を増やしたい。展示会の名刺にも既存の取引先にも当たり終えて、次は営業リストの購入を考えている。あなたがいまこのページを開いているのは、おそらくその段階です。
購入すれば、条件に合う会社の一覧は数日で手に入ります。難しいのはその先です。買った一覧が社内で開かれないまま残る。既存のお客様に重ねて電話してしまう。メールを送ってよいか、法務に止められる。どれも、買う前に決めておけば避けられます。
決めることは4つあります。費用の見積もり方、法律で確かめること、購入先の比べ方、そして当たる順番です。最後の1つは後回しにされやすく、結果をいちばん大きく左右します。
目次
営業リストの購入とは、業種・地域・規模などの条件に合う会社の一覧(企業リスト)を、外部の提供元から有料で受け取ることです。手に入る項目は、提供元と料金によって変わります。「企業リストの購入」と呼ぶ提供元もあります。
多くの提供元が基本として出す項目は、会社名・所在地・代表電話・業種・従業員数・売上の規模・設立年です。法人番号が付いていれば、自社の顧客リストと突き合わせるときの照合に使えます。
提供元によっては、部署名・担当者名・メールアドレス・問い合わせフォームの URL まで付きます。項目が増えるほど単価は上がり、買う側が確かめることも増えます。
項目は「あると便利」で足していくと、使わない列に料金を払うことになります。項目ごとに、届いたあと何に使うかを先に書き出します。
| 項目 | 何に使うか | 無いと困る場面 |
|---|---|---|
| 法人番号 | 自社の顧客リスト・取引先との照合 | 既存のお客様を外したいとき |
| 業種・従業員数・売上の規模 | 入れる条件での絞り込み | 条件の外の会社に当たりたくないとき |
| 所在地 | 地域で分ける、訪問の順路を組む | 営業の担当地域ごとに配るとき |
| 代表電話 | 最初の連絡 | 電話で部署を案内してもらうとき |
| 部署名 | 受付で取り次ぎを頼む | 新しい商材の担当部署が分からないとき |
| 担当者名・メール | 個人あての連絡 | 部署まで分かっていて、個人に届けたいとき(法律の確認が要る) |
表の下2行は、付けるかどうかで費用と手間が大きく変わる項目です。部署名だけを付けて、担当者の名前は電話で教えてもらう、という分け方もできます。
会社名や代表電話のような、会社そのものの情報は個人情報にあたりません。ところが、担当者や役員の氏名、個人のメールアドレスが入った時点で、その行は個人情報を含む一覧になります。
迷ったら、担当者の項目が要るかどうかから決めます。電話で部署を案内してもらう運用なら、会社の情報だけで足りることもあります。担当者の項目を付けるなら、この記事の後半で扱う法律の確認が必要になります。
購入の形は大きく3つです。決まった条件の一覧を1回だけ受け取る単発の購入、検索して何度でも抽出できる企業データベースの契約、条件を伝えて人の手で作ってもらう作成の代行です。
| 購入の形 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 単発の購入 | 1回の施策で、条件の決まった一覧が要る | 情報は納品された日のまま古くなっていく |
| 企業データベースの契約 | 条件を変えながら、毎月抽出したい | 契約の期間と、使える人数の上限 |
| 作成の代行 | 条件が細かく、公開情報を人の手で集める必要がある | 納期と、1件あたりの確認の深さ |
どの形を選んでも、受け取った一覧を上から順に当たると、同じところで手が止まります。どこで止まるのかは、費用を見積もる段階でおおよそ見えてきます。
当たる会社の条件は決まっているのに、その条件に合う会社の一覧が手元に無いときです。条件そのものがまだ決まっていないなら、買うのは早すぎます。
たとえば、部品で長く取引してきた会社が、装置やサービスを新しく売り始めた場面を考えます。部品の取引先には案内を終えた。次は「同じ地域で、同じ業種の工場を持つ会社」に広げたい。条件は言葉にできるのに、一覧が無い。購入が向いているのは、こういう場面です。
反対に、次の3つのどれかに当てはまるなら、先に手元を整えたほうが早く進みます。
| いまの状況 | 購入より先にやること |
|---|---|
| 当たる条件が仮説のままで、社内で決まっていない | 仮説ごとに少ない件数で当ててみて、反応の違いで条件を決める |
| 一覧を渡しても、電話や訪問をする人の手が空いていない | 週に何件当たれるかを、当たる人と先に決める |
| 名刺・問い合わせ・取引先の一覧が、まだ当たり残っている | 手元の一覧を先に当て切る |
3つのどれかに当てはまって、今回は買わないと決めた場合も、決めたこと自体を記録に残します。いつ、どの状態になったら買うのか。たとえば「条件の仮説が2案に絞れたら」「当たる人が1人増えたら」と書いておくと、次に購入を検討するときに同じ議論を繰り返さずに済みます。
1行目は、新規事業でよく起きます。条件を決めるために大量に買うと、外れたときの費用が大きくなります。仮説の立て方と少ない件数での当て方は「新規事業の営業リストの作り方」にまとめています。
リストに何を入れ、何を外すかが決まらないまま買うと、届いた一覧を前にして議論が始まります。議論しているあいだにも、一覧の情報は少しずつ古くなります。
買う前に決めることは3つで足ります。入れる条件(業種・地域・規模)、外す条件(既存のお客様・商談中・取引先・競合)、そして誰がいつまでに当たるかです。
3つ目が空欄のうちは、購入はまだ先です。当たる人と期限が決まらないまま件数を増やしても、当たる数は増えません。
3つは、決める人が違います。入れる条件は、マーケティングと営業が一緒に決めます。外す条件は、いま誰がどの会社に当たっているかを知っている営業が決めます。当たる人と期限は、当たる人の上長が決めます。
集まる時間は30分で足ります。3人がそろう打ち合わせを1回入れるだけで、購入の準備はほとんど終わります。打ち合わせで決まったことは、そのまま提供元への問い合わせの条件になります。
3つが決まると、提供元への問い合わせも具体的になります。「この条件で何件出るか」「この会社を外して納品できるか」と聞ける状態が、購入の準備ができた状態です。
条件のほかに、数字を3つ決めておくと、買ったあとに迷いません。週に当たる件数、試しに買った分の合格の線、そして見直す日です。
週に当たる件数は、当たる人の時間から決めます。合格の線は、つながる割合や重複の割合のように、少量で試したときに見る数字で決めます。見直す日は、四半期の終わりなど、予算の区切りに合わせると社内で説明しやすくなります。
3つの数字は、上長に購入の稟議を出すときの説明にもそのまま使えます。何件買い、週に何件当たり、いつ結果を見るか。この3つが書いてある稟議は、件数だけの稟議より質問が少なく済みます。
見積もりは「購入額÷使える件数」で比べ、そこに当たる人の時間を足します。表に出ている単価だけで比べると、届いてから除く件数のぶん、実際の費用は上がります。
費用は、提供元に払う額と、社内で使う時間の2つに分かれます。提供元に払う額は、件数×単価に、項目の追加と更新の料金が乗ります。社内で使う時間は、重複を除く作業と、実際に当たる人の時間です。
| 費用の項目 | 中身 | 見積もりで聞くこと |
|---|---|---|
| 件数×単価 | 社数で数えるか、担当者の数で数えるか | 1社に担当者が複数いるとき、何件と数えるか |
| 項目の追加 | 部署・担当者・メール・フォームの URL | 項目ごとの追加料金と、空欄だった行の扱い |
| 更新・買い直し | 移転・社名変更・閉鎖を反映した版 | 更新の頻度と、更新版の料金 |
| 重複と除外の作業 | 既存のお客様・取引先・競合を外す | 除外したい会社を伝えて、外した状態で納品できるか |
| 当たる人の時間 | 電話・メール・フォーム・訪問 | (社内で見積もる)1件あたり何分かかるか |
表の上3行は提供元の見積書に出ます。下2行は出ません。下2行を足さずに比べると、安く見えた提供元が、社内の時間まで含めると高くつくことがあります。
使える件数とは、届いた件数から、当たらない行を引いた数です。当たらない行には、既存のお客様や取引先との重複、閉鎖や移転、代表番号しか無くて部署に届かない行などがあります。
架空の例で計算します。2,000件を30万円で買い、既存のお客様・取引先との重複が300件、閉鎖・移転が100件あったとします。使える件数は1,600件で、1件あたりは約188円です。表の単価150円より、約25%高くなります。
この割り算で比べると、単価の安い提供元が高くつく場面が見えてきます。除外を納品の前にしてくれる提供元なら、重複のぶんは最初から払わずに済みます。
2つの提供元を、同じ架空の条件で比べてみます。提供元Aは単価が安く、除外はしてくれません。提供元Bは単価が高い代わりに、除外したうえで納品してくれます。
| 架空の例 | 提供元A | 提供元B |
|---|---|---|
| 購入する件数 | 2,000件 | 1,700件(除外済み) |
| 購入額 | 30万円 | 34万円 |
| 届いてから除く件数 | 400件 | 100件 |
| 使える件数 | 1,600件 | 1,600件 |
| 使える1件あたり | 約188円 | 約213円 |
| 除く作業の時間 | 社内で照合と削除が要る | ほとんど要らない |
差は、1件あたり約25円です。この例では、1件あたりはAが安く、社内の作業はBが少なく済みます。どちらを選ぶかは、照合の作業を誰がするかで決まります。照合する人の手が空いていなければ、Bの差額は作業の外注費と考えられます。
もう1つの見積もりは、当たる人の時間です。こちらも架空の例で計算します。1件に電話の準備と通話・記録で15分かかるとすると、1,600件は400時間です。1日2時間を当てる担当者が1人なら、200営業日かかります。
200営業日は、おおよそ10か月です。そのあいだに一覧の情報は古くなり、最後のほうの行は当たる前に使えなくなります。買う件数は、当たる人が期限までに当たり切れる件数から逆に決めます。
この計算をすると、多くの場合、買いたい件数より当たれる件数のほうが少なくなります。そのときに件数を減らすか、当たる順番を決めて上位だけに当たるかを選びます。順番の決め方は、後半の手順で扱います。
一度買った一覧が古くなったとき、選べる道は2つです。同じ提供元から更新版を受け取るか、条件を見直して新しく買うかです。当たった結果を書き戻してあれば、どちらがよいかを結果で判断できます。
商談まで進んだ会社が同じ条件から出ているなら、更新版で足ります。進んだ会社が別の条件に偏っているなら、その条件で新しく買います。結果を書き戻していない一覧は、どちらを選ぶ根拠もありません。
6つ目は見落とされがちです。自社の顧客リストをそのまま外部に渡すことになるので、会社名と法人番号だけを渡す形にできるかを、あわせて聞きます。渡してよい範囲は、聞く前に社内で決めておきます。
多いのは、当たり切れずに一覧が残る失敗と、当たってはいけない会社にまで当たる失敗です。どちらも、買ったあとの使い方で起きます。
よくある形です。2,000件を受け取って上から順に電話を始めると、つながらない番号や、受付で止まる電話が続いたところで手が止まりがちです。残りの行は、次の施策が始まるまで誰も開きません。
止まる理由は、気力よりも順番にあります。一覧は、話を聞いてくれる順には並んでいません。多くの一覧は五十音や地域の順です。並べ直さずに当たれば、反応の薄い会社にも、検討を始めている会社にも、同じ15分を使うことになります。
届いた一覧には、自社のお客様も商談中の会社も入っています。外さずに当たると、取引のある会社に「はじめまして」の電話をかけることになります。担当の営業から見れば、積み上げてきた関係を崩されたのと同じです。
外す条件は、当たり始める前に一覧に入れておきます。外す会社の選び方と運用の手順は「除外リストの作り方」に書いています。
移転、社名の変更、部署の改編、担当者の異動。会社の情報は、買った日から少しずつずれていきます。人の名前が入った一覧ほど、ずれは早く表に出ます。
届いたら、全件に当たる前に、数十件だけ電話して確かめます。つながる割合が低ければ、差し替えの条件を使うか、更新日の新しい行から当たるように順番を変えます。
個人の名前が入った行は、春と秋の異動の時期を過ぎると、ずれが一気に増えます。異動の多い時期のあとに当たるなら、電話の最初に「〇〇様はいまもご担当でしょうか」と確かめ、違えば新しい担当の方の部署名を聞いて一覧を直します。
会社の情報だけの一覧では、電話は代表につながります。新しい商材を検討しそうな部署がどこなのか、受付の方にも分からないことがよくあります。
この場合は、電話の前に、相手の会社の公開情報で部署の名前を探しておきます。ニュースリリース、採用ページ、展示会の出展情報には、事業部や担当部署の名前がよく出ています。部署名を言えるだけで、取り次いでもらえる電話が増えます。
マーケティングの担当が買って営業に渡したのに、営業が追いきれない。この形も、購入した一覧でよく起きます。渡した側は「渡した」と考え、受け取った側は「頼まれていない」と考えるからです。
一覧を渡すときは、件数と一緒に「誰が、いつまでに、何件当たるか」を書き添えます。期限の無い一覧は、受け取った側の予定表に入りません。
見積もりで件数が少なく出ると、条件を広げたくなります。業種を1つ足し、地域を広げ、規模の下限を下げる。そのたびに件数は増えますが、受注した会社に似ていない会社の割合も増えます。
件数が足りないときは、条件を広げる前に、当たる期間を延ばせないか、手元の名刺や取引先で足りないかを考えます。条件を広げるなら、広げた分だけ別の行として区別しておき、あとで進み方を比べられるようにします。
担当者の個人情報が入るリストを買うときは、提供元が誰で、その情報をどう取得したかを確かめ、記録を残します。メールを送るなら、特定電子メール法の決まりも別に確かめます。
個人情報保護法の第30条は、第三者から個人データを受け取る事業者に、確認を求めています。確かめるのは、提供元の名称・住所・代表者の氏名と、提供元がその個人データを取得した経緯です。
確認したら、受け取った年月日や確認した内容を記録し、決められた期間保存します。この決まりの相手は、買う側の会社です。提供元から説明が来るのを待たず、こちらから聞きにいきます。
提供元が本人の同意を取らずに提供している場合は、第27条第2項の「オプトアウト」という仕組みを使っているはずです。この仕組みで提供する事業者は、個人情報保護委員会に届け出て、委員会がその内容を公表します。
2022年4月からは、不正な手段で取得した個人データと、ほかの事業者からオプトアウトで受け取った個人データは、オプトアウトで提供できなくなりました。受け取った名簿をそのまま別の会社に渡す流れは、この仕組みでは使えません。
届出の内容と委員会からの注意の呼びかけは、個人情報保護委員会のオプトアウト届出のページに載っています。条文はe-Gov 法令検索の個人情報保護法で読めます。委員会のサイトには令和8年の改正個人情報保護法のページもあるので、いま有効な決まりは社内の法務と一緒に確かめてください。
特定電子メール法の第3条は、広告や宣伝のメールを送ってよい相手を決めています。あらかじめ同意した人、自分のアドレスを送信者に知らせた人、取引関係にある人、自分のアドレスを公表している団体や営業を営む個人(総務省令の条件つき)です。
購入したアドレスは、あなたの会社と取引も名刺交換もしていない相手のものです。公表の例外に当たるかも含めて、アドレスごとに送る根拠を決め、根拠の無い行には送りません。条文は総務省の国民のためのサイバーセキュリティサイトに載っています。
| 買う前に確かめること | 根拠 | どこで確かめるか |
|---|---|---|
| 提供元の名称・住所・代表者 | 個人情報保護法 第30条 | 契約書・提供元の会社情報 |
| 提供元が個人データを取得した経緯 | 個人情報保護法 第30条 | 提供元からの書面の説明 |
| オプトアウトで提供しているなら、届出をしているか | 個人情報保護法 第27条第2項 | 個人情報保護委員会の公表 |
| 受け取った日と、確認した内容の記録 | 個人情報保護法 第30条 | 社内の記録 |
| 広告のメールを送る根拠(同意・通知・取引・公表) | 特定電子メール法 第3条 | アドレスごとの記録 |
法律の判断は、最後は社内の法務が行います。営業やマーケティングの担当者が持っておくのは、この表の5行を、買う前に提供元へ聞けることです。聞いて答えが返ってこない提供元からは、担当者の情報が入った一覧を買いません。
相談は、資料がそろっているほど早く終わります。持っていくのは4つです。提供元からの回答(取得の経緯を含む書面)、一覧に入る項目の一覧、連絡の手段(電話・郵送・メール・フォーム)、届いたあとの保存場所と開ける人の案です。
連絡の手段によって、確かめる法律が変わります。メールを使わず電話と郵送だけで当たる予定なら、そう伝えます。手段を決めずに相談すると、全部の手段について答えを待つことになり、購入の時期が遅れます。
個人情報を含む一覧は、届いたあとの持ち方も決めておきます。保存する場所、開ける人、使ってよい期間、使い終えたときに消す手順の4つです。個人のパソコンや共有のドライブに、ばらばらの版が残る状態を避けます。
確認と記録の手間が大きいと感じたら、会社の情報だけを買う選び方もあります。会社名・所在地・代表電話・法人番号・部署名までなら、担当者の個人情報は入りません。
そのうえで、担当者とは電話や問い合わせで直接つながり、名刺交換や面談で連絡先を教えてもらいます。手間はかかりますが、相手から受け取った連絡先なので、その後の連絡の根拠がはっきりします。
購入は入手先の1つで、ほかに企業データベースの契約、作成の代行、自社での収集、手元の名刺と取引先があります。どれが向くかは、網羅したい範囲と、担当者の情報が要るかで決まります。
| 入手先 | 網羅できる範囲 | 情報の新しさ | 担当者の情報 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| 名簿の購入(単発) | 条件に合う会社を広く | 納品された日まで | 付くことがある(取得の経緯を確認) | 1回の施策で一覧が要る |
| 企業データベースの契約 | 条件を変えて何度でも | 提供元の更新しだい | 付くことがある(取得の経緯を確認) | 毎月、条件を変えて抽出する |
| 作成の代行 | 細かい条件まで | 作った日まで | 公開されている範囲 | 条件が細かく、人の手で集める必要がある |
| 自社で集める(公開情報) | 手の届く範囲 | 集めた日まで | 公開されている範囲 | 件数が少なく、条件が独特 |
| 手元の名刺・取引先 | 接点のある会社だけ | 最後に会った日まで | 名刺の本人 | 新しい商材を既存の接点に案内する |
下の2行は、購入より先に当たり切りたい入手先です。名刺の本人や取引先は、あなたの会社の名前を知っています。名前を知っている相手のほうが、最初の電話で用件を聞いてもらえる余地があります。
名簿の購入と企業データベースのどちらを選ぶかは、2つの問いで決まります。条件をこの先何回変えるつもりがあるか。届いた一覧を、社内で直し続ける人がいるか。名簿の購入は、一覧という完成品を受け取る買い方です。受け取った日から先は、自社で更新しないかぎり情報が止まります。1回の展示会の後追いや、1つの地域に絞った案内のように、期間の決まった施策に向いています。
企業データベースは、条件を変えて何度でも抽出できる道具を借りる買い方です。条件を試しながら絞り込む段階や、毎月決まった条件で新しく増えた会社を拾いたい場合に向いています。種類と選び方は「営業リスト作成ツールの種類と選び方」で比べています。
作成の代行と自社での収集は、公開情報を人の手で集める点で同じです。違いは、誰の時間を使うかです。条件が独特で、名簿やデータベースの項目では表せないとき、たとえば「特定の設備を持つ工場」のような条件のときに選びます。
一覧が届いたら、展示会やセミナーで集めた名刺の会社と重ねてみます。重なった会社は、すでに誰かと名刺を交わした会社です。初めての電話より、名刺の本人への連絡から始めるほうが話が早く進みます。
重ならなかった会社のうち、名刺の会社と業種や規模が近い会社は、当たる順番の前のほうに置きます。名刺は「話を聞いてくれた会社の手本」でもあるからです。手元の名刺が数十枚でも、並べ替えの基準として使えます。
どの会社にもおすすめできる1社はありません。自社の条件で抽出でき、更新日と取得の経緯を説明できる提供元を選びます。比べる項目は6つです。外れたときの損が大きい順に並べています。
| 比べる項目 | 確かめ方 | 合わなかったときに起きること |
|---|---|---|
| 1. 抽出の条件 | 自社の「入れる条件」をそのまま伝え、何件出るかを聞く | 条件の外の会社が混ざり、当たる件数が膨らむ |
| 2. 最終更新日と更新の頻度 | 一覧の項目に更新日があるか、どの周期で直しているか | 閉鎖や移転した会社に当たる |
| 3. 取得の経緯の説明 | 担当者の情報の出どころを、書面で受け取れるか | 第30条の確認ができず、法務で止まる |
| 4. 除外して納品できるか | 会社名と法人番号の一覧を渡して、外せるか | 既存のお客様に重ねて当たる |
| 5. 法人番号の有無 | 全部の行に法人番号が付いているか | 自社の顧客リストと照合できない |
| 6. 少量で試せるか | サンプルや少ない件数で買えるか | 合わない一覧を大量に買う |
「おすすめの営業リスト購入先」を探すと、提供元の名前が並んだ比較を多く見かけます。名前の一覧は入口として役に立ちますが、自社の条件で何件出るか、取得の経緯を説明できるかは、問い合わせてみるまで分かりません。2〜3社に同じ条件を渡して、同じ質問をします。
いきなり数千件を買わず、まず数十件から百件ほどで試します。サンプルは、提供元が選んだ行ではなく、条件に合う全体から偏りなく抜いた行をもらいます。見栄えのよい行だけで試すと、合格の判断を誤ります。見るのは次の3つです。
3つが合格なら、残りを買い足します。合格の線は、当たる人と試す前に決めておきます。試したあとで決めると、早く買いたい側の都合で線が下がりがちです。
合格しなかったときは、どの項目で落ちたかを提供元に伝えます。つながる割合が低いなら更新日の新しい行だけで出し直せるか、重複が多いなら除外して出し直せるかを聞きます。それでも合わなければ、2社目のサンプルに移ります。試しに買った費用は、合わない一覧を数千件買わずに済んだ費用と考えます。
契約の前に、利用の範囲、ほかの会社への再提供の扱い、契約が終わったあとのデータの扱いの3か所を読みます。グループ会社や販売代理店と一覧を分け合う予定があるなら、利用の範囲にそれが含まれるかを確かめます。
契約が終わったら消す決まりのデータもあります。当たった結果を書き込んだ一覧をどこまで残せるかは、運用に直接響きます。ここは担当者が読み、分からない箇所を法務に回します。
2〜3社に同じ質問を送ると、答えを並べて比べられます。次の文面は、そのまま送れる形にしています。〔 〕の中を自社の条件に置き換えて使ってください。
営業リストの購入を検討しています。次の条件で抽出した場合の件数と、下記の点を教えてください。
条件:〔業種〕〔地域〕〔従業員数〕
答えが返ってきたら、費用の表に書き込み、使える件数あたりで比べます。3の答えが書面で返ってこない提供元は、担当者の情報を付けない形でだけ検討します。
件数の答えは、条件をそのまま当てはめた数かを確かめます。「おおよそ」「最大で」と書かれた件数は、条件の一部を外した数のことがあります。条件のどれを使ったかを、もう一度聞いておきます。
更新の頻度の答えは、一覧の全部の行に当てはまるかを確かめます。会社の基本の情報は毎月直していても、部署や担当者の項目は直す周期が違う、という答えもありえます。項目ごとの更新日が分かれば、古い項目から先に確かめられます。
取得の経緯の答えは、どこから・どの方法で集めたかが書いてあるかを見ます。「公開情報から」とだけある場合は、どの公開情報かを聞きます。この答えは、第30条の記録にそのまま使います。
全件に同じ順で当たらず、「外す」「絞る」「動きを重ねる」の3段で、週に当たり切れる件数まで減らします。買った件数は変えられませんが、当たる順番は買ったあとでも決められます。
既存のお客様、商談中の会社、取引先、競合、パートナーを抜きます。法人番号が付いていれば、自社の顧客リストとの照合は一度で済みます。会社名だけで照合すると、表記の揺れで漏れが出ます。
表計算ソフトで外すなら、手順は4つです。両方の一覧に法人番号の列をそろえる。買った一覧の各行で、自社の一覧に同じ法人番号があるかを関数で引く。見つかった行に「外す」と印を付ける。印の付いた行を別のシートに移す。消さずに移しておくと、あとで外した理由を確かめられます。
自社の顧客リストに法人番号が無い場合は、先に足します。会社名と所在地が分かれば、国税庁の法人番号公表サイトで法人番号を調べられます。このサイトは商号・所在地・法人番号の3つを公表していて、まとめて取り出すためのダウンロードも用意しています。
会社名で照合するしかない行は、表記をそろえてから比べます。「株式会社」の位置、全角と半角、空白の有無をそろえるだけで、拾える重複が増えます。それでも残る揺れは、所在地の市区町村まで一致するかを見て判断します。
残った会社を、これまでに受注した会社と似ている順に並べます。似ているかは、業種・規模・地域に加えて、新しい工場や新しい事業の発表のような、最近の出来事でも見ます。投資の発表がある会社は、新しい取引先を探している時期かもしれません。
新しい商材でまだ受注が無いなら、商談まで進んだ会社や、話を聞いてくれた会社を手本にします。手本が数社しか無くても、並べる基準が無いよりは当たる順番の根拠になります。
似ている順は、項目ごとに点を付けて足すと、誰が並べても同じ順になります。点の付け方は、手本の会社を見ながら当たる人と決めます。下の表は付け方の一例です。
| 見る項目 | 点を付ける条件の例 | 点 |
|---|---|---|
| 業種 | 手本の会社と同じ業種 | 2 |
| 規模 | 手本の会社と同じ従業員数の帯 | 1 |
| 地域 | 営業が訪問できる地域 | 1 |
| 最近の出来事 | 新しい工場・新しい事業・買収の発表がある | 2 |
| 接点 | 名刺の会社と同じグループ、または取引先の取引先 | 1 |
点の重みは、四半期の見直しで直します。商談まで進んだ会社が高い点を取っていなければ、重みが合っていません。見直しのたびに、手本の会社も増えていきます。
最後に、いま検討を始めていそうな会社を前に出します。数は多くありません。手がかりになるのは、自社サイトへの来訪と、その会社がサイトの外で調べているテーマです。どちらも購入の予定を示すものではありません。電話の順番を決める手がかりとして使います。
タイミングで当たる順番を変える考え方は「テレアポのアポ率が上がらない理由」でも扱っています。手元のデータから小さく始める方法は「営業が動きたくなるリストの作り方」にまとめています。
ウルテク(URUTEQ)は、この3段目を手伝うサービスです。購入した一覧の会社を登録しておくと、自社サイトへの来訪がある会社や、関連するテーマを調べている会社を、会社の単位で選び出します。誰が見たかまで分かるのは一部で、多くは会社の単位です。
法令情報のサービスを提供するレクシスネクシス・ジャパン様の公開事例では、マーケティングの担当が既存のお客様や営業中の会社を外したうえで、毎週5件を営業に渡しています。週5件に厳選したリストから、好調時は半数以上が商談化しています。リストの上から順に電話しても担当者につながらなかった、という導入前の状態からの変化です。
3段で並べた一覧の、どこまでを今週当たるかを決めます。架空の例で計算します。当たる人が1日2時間を5日、合わせて週10時間を使え、1件に15分かかるなら、週に当たれるのは40件です。1人で回せる数です。
40件のうち、動きの手がかりがある会社を上から数件、残りを絞った順に入れます。手がかりのある会社だけで40件を埋めようとしないことも大事です。手がかりが無い会社にも当たっておくと、どの条件の会社が話を聞いてくれるかが分かります。
名乗り、部署の確認、用件の一言、小さなお願いの順に、30秒ほどで話せる形を先に作ります。電話の相手は、あなたの会社を知らないことが多いからです。
| 順番 | 話すこと | 避けること |
|---|---|---|
| 1. 名乗り | 会社名と、相手に伝わる事業の一言 | 長い会社紹介 |
| 2. 部署の確認 | 公開情報で調べた部署名を出して、取り次ぎを頼む | 「ご担当の方を」とだけ頼む |
| 3. 用件の一言 | 相手の事業に関係する話題を1つ | 製品の機能を並べる |
| 4. 小さなお願い | 資料を送ってよいか、15分の情報交換の時間をもらえるか | いきなり訪問や見積もりを頼む |
2の部署名は、一覧に部署の項目があればそれを、無ければニュースリリースや採用ページで調べた名前を使います。部署名が出ると、受付の方は社内のどこにつなげばよいか判断しやすくなります。
3の話題は、相手の会社の公開情報から選びます。新しい工場、新しい事業、採用している職種。どれも相手の会社が自分で発表している情報なので、話題にしても違和感を持たれにくい材料です。
「営業のお電話はお断りしています」と言われることは、買った一覧への電話では珍しくありません。想定の内です。そのときは食い下がらず、資料を送るならどの窓口がよいかを1つだけ聞きます。代表のメールアドレスや問い合わせフォームを案内されたら、それを一覧に書き戻します。
同じ会社に、同じ日に何度もかけ直すことはしません。結果の列に「受付で断り」と書き、次に当たる日を空けて決めます。断られた会社が多い条件は、四半期の見直しで、条件か話し方のどちらかを直す材料になります。
案内された問い合わせフォームから連絡するときも、送る文面は電話と同じ順番で組みます。名乗り、相手の事業に関係する一言、小さなお願いです。フォームの文字数の上限に収まるよう、用件は2〜3行に絞ります。
動きのデータは、当たる順番を決めるところまでで使います。電話やメールの中で、相手の来訪や閲覧に触れると、見られていたと感じさせてしまいます。話の中身は、相手の事業と、あなたが渡せる情報で組み立てます。
電話のあとは、結果をその日のうちに一覧へ書き戻します。つながらなかった、断られた、資料を送った。どの結果も、次に誰がいつ当たるかを決める材料になります。
一覧の持ち主を1人決め、当たった結果を同じ一覧に書き戻し、四半期ごとに見直します。結果が書き戻されない一覧は、次に買うときの判断材料になりません。
持ち主は、マーケティングでも営業推進でも構いません。決めておくのは、一覧のどの版が正しいかを答えられる人が1人いることです。版が複数あると、同じ会社に2人が当たる重複がまた起きます。
| 一覧に足す列 | 書く内容 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 当たった日 | 最後に連絡した日付 | 同じ会社に短い間隔で重ねない |
| 当たった人 | 担当者の名前 | 相手から問い合わせが来たときに引き継ぐ |
| 結果 | つながらない・断り・資料送付・商談 など | 入手先と条件ごとの当たり方を比べる |
| 次の予定 | 次に連絡する日と内容 | 期限の無い行を残さない |
結果の列は、書き方を選択肢で決めておきます。「つながらない」「受付で断り」「担当者と話した」「資料送付」「商談」のように5つほどに絞り、細かい話は別の備考の列に書きます。人によって書き方がばらばらだと、あとで数えられません。
4つの列がそろうと、四半期の見直しで「どの入手先の、どの条件の会社が商談まで進んだか」を数えられます。その数が、次に買う件数と条件を決める材料になります。分かったことを営業に戻す仕組みも、この一覧から始まります。
四半期ごとに数えた結果は、次の購入の稟議に添えます。上長は、どの条件にいくら払い、何社が商談まで進んだかを一度に見られます。件数だけを並べた稟議より、判断が早くなります。見直しでは、契約の期間と使ってよい期間も確かめます。期間を過ぎた一覧は、提供元との決まりに沿って消すか、更新版に入れ替えます。
1が低ければ、次は買う件数を減らします。2で進み方のよい条件が見つかれば、その条件で買い足します。3が多ければ、更新の頻度が高い提供元に替えるか、買う間隔を短くして1回の件数を減らします。
同じ「営業リストの購入」でも、条件がどこまで決まっているかと、当たる人の手がどれだけ空いているかで、最初の一歩が変わります。よくある3つの場面に分けて、進め方を書きます。場面はどれも架空です。
展示会で集めた名刺が数百枚あり、上長からは「来期までにリードを増やして」と言われている。当たる会社の条件は、まだ仮説の段階です。社内の稟議は、リードの件数で説明する必要があります。
最初に当て切るのは、手元の名刺です。当て切ったら、話を聞いてくれた会社の業種・規模・地域を書き出し、仮説を2〜3案に分けます。案ごとに数十件ずつを試しに買い、同じ文面で当てて、反応の違う案を見つけます。
反応のよかった案の条件で、残りを買い足します。稟議には、買う件数・週に当たる件数・見直す日の3つの数字を書きます。件数だけの稟議より、上長が判断に使う材料がそろいます。
マーケティングの専任はおらず、営業推進の担当が兼ねている。外回りの営業は大きな案件と出張で手が空かない。リストに何を入れて何を外すかは、社内でまだ決まっていない。
この場面で先に当たるのは、部品の取引先です。取引先はあなたの会社の名前を知っています。新しい商材の案内は、知らない会社への電話より、取引先への一言のほうが聞いてもらいやすくなります。取引先は「外す条件」に入れず、別の枠として先に案内します。
購入は、そのあとに地域を絞って少量から始めます。項目は会社の情報と部署名までにして、担当者の情報は付けません。確認と記録の手間が小さく済みます。週に当たる件数は営業と決め、週に1回、少ない件数を渡します。大量の一覧を一度に渡すより、受け取った側が動きやすくなります。
ターゲットの会社は数千社まで決まっている。ところが、その多くと接点が無い。インサイドセールスが電話をかけているものの、すでに営業が当たっている会社に重ねてしまい、営業から苦情が出たこともある。
全件は買い直しません。手元のターゲットの一覧と、提供元が出せる一覧を法人番号で照合し、足りない会社や足りない項目だけを買います。そのうえで、一覧に「接点の有無」と「当たっている担当者」の列を足し、重ねて当たる会社を先に外します。
残った会社は、受注した会社に近い順と、動きの手がかりがある順で並べます。当たった結果は毎週一覧に書き戻し、営業とインサイドセールスが同じ版を見るようにします。数千社の一覧でも、今週当たるのは数十社です。その数十社を毎週選び直す運用が、この場面の中心になります。
冒頭で、決めることの最後に当たる順番を挙げました。買った数千社のうち、今週はどの会社から当たるのか。答えは、外す・絞る・動きを重ねるの3段を通したあとに残る、数社の名前です。
その数社の数は、あなたのチームが1週間で当たり切れる件数で決まります。多くても数十社です。まだ数えていなければ、購入の見積もりより先に、そこから数えてみてください。
ウルテクについて、もっと詳しく知りたい方へ