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展示会後のフォローで成果が出ないという悩みに対し、名刺情報とWeb行動履歴を紐付けることで顧客の興味を可視化し、商談化率を高める手法を解説します。具体的には、Cookie連携の技術的な仕組み、Web行動ログを活用したアプローチの優先順位付け(95対5の法則)、そして展示会翌日から30日間で商談を生み出すためのメールテンプレートやリアルタイム通知の運用フローを紹介。リソースが限られた現場でも実践できる、データドリブンな営業フォローの教科書としてご活用ください。

なお、ログリー株式会社では、本記事で解説した「展示会名刺×Web行動データ」の連携をスムーズに実現し、商談化を加速させるAIツール『ウルテク』を提供しています。複雑な設定不要で、ホットな来場者を自動で見つけ出したい方は、ぜひ無料のサービス資料をご覧ください。
目次
「展示会で数百枚の名刺を獲得したけれど、お礼メールへの反応は薄く、電話をしてもなかなかつながらない」。展示会担当者やインサイドセールスの方なら、一度はこうした徒労感を感じたことがあるのではないでしょうか。
会場での熱気が嘘のように、オフィスに戻ってからのフォロー活動は地味で、そして過酷なものです。リストの上から順番に架電をしても、「ただいま席を外しております」と言われるか、運良くつながっても「資料を見ておきます」と軽くあしらわれてしまう。そんな経験を繰り返すうちに、せっかく集めた名刺がただの「紙の束」としてデスクの引き出しやキャビネットに眠ってしまうことは珍しくありません。
多くの企業において、獲得した名刺情報はSFAやCRMといったツールに「静的なデータ」として保管されるだけで、その後の顧客の動きは見えなくなってしまいます。しかし、実はそのお客様は、オフィスに戻ったあとに御社のWebサイトを訪れ、製品のスペック表や料金ページ、あるいは他社との比較記事を熱心に見ているかもしれません。
もし、その「見えない行動」が手に取るように分かるとしたらどうでしょうか。
「あ、今このお客様が料金ページを見ている」と分かった瞬間に電話をかけることができれば、会話のスタート地点はまったく変わります。「ちょうど今、検討していたところです」と言ってもらえる確率は飛躍的に高まるでしょう。これは魔法ではなく、Webのトラッキング技術を使えば現実に可能なことです。
本記事では、展示会というオフラインの接点を起点に、Web上の行動履歴を紐付けて追跡し、30日以内に効率よく商談化につなげるための具体的な「Web連携マニュアル」を解説します。精神論や根性論ではなく、仕組みで解決するためのアプローチです。「今、アプローチすべき相手」が誰なのかを可視化し、展示会の成果を最大化するプロセスを一緒に構築していきましょう。
まず最初に、「名刺交換しただけの相手が、自社サイトを見ているかどうかなぜ分かるのか?」という疑問を解消しておきましょう。ここがブラックボックスのままだと、施策への信頼感が持てず、チーム内での共有も難しくなります。
基本となる技術は、ユニークURL(個別のパラメータ付きリンク)を含んだメール配信とCookie(クッキー)の紐付けです。マーケティングオートメーション(MA)ツールなどが得意とする領域ですが、仕組み自体はシンプルです。

具体的な情報の流れは以下のようになります。
この仕組みを実現するためには、Webトラッキング機能を持つMA(マーケティングオートメーション)ツールや、それに準ずる高機能なメール配信システムが必要です。もし現在利用している名刺管理ツールやメール配信システムにこの機能がない場合は、ツールの導入や連携を検討する必要があります。
また、技術的な準備と同じくらい重要なのが、コンプライアンス面での準備です。昨今の個人情報保護の潮流(GDPRや改正個人情報保護法など)により、Web上の行動履歴を取得・利用することに対しては、これまで以上に透明性が求められています。
展示会のアンケート用紙や、名刺交換後のサンクスメールにおいて、プライバシーポリシーを提示し、Cookie情報の取得と利用目的(マーケティング活動への利用など)について同意を得ておくこと、あるいはオプトアウト(追跡の拒否)手段を明示しておくことは必須のプロセスといえます。法務担当者と連携し、自社のポリシーがWebトラッキングに対応しているかを確認しておきましょう。
仕組みが整い、メール配信後のクリックによって紐付けが完了すると、管理画面上には「誰がいつサイトに来たか」というログが流れ始めます。初めてこの画面を見たときは、暗闇の中でライトをつけたような感動があるかもしれません。
しかし、ここで多くの担当者が陥る罠があります。「サイトに来てくれた人全員に、すぐに電話をかけてしまう」ことです。
あるSaaS企業のインサイドセールスチームでの話をご紹介しましょう。彼らは展示会後にMAツールを導入し、意気揚々と追跡を開始しました。Webサイトへの訪問通知が来るたびに、チームリーダーは「今だ!熱いうちに打て!」とメンバーに架電を指示しました。
結果はどうだったでしょうか。実は、アポイント率はそれほど上がりませんでした。それどころか、お客様からは「なぜ今サイトを見ていることを知っているのか?」「監視されているようで気持ち悪い」といったネガティブな反応さえ返ってきたのです。また、単に「採用ページ」を見ていただけの学生や、競合他社の調査担当者にまで熱心に営業電話をかけてしまい、貴重な時間を浪費してしまいました。
彼らは大きな気付きを得ました。Web行動が見えることと、今すぐ営業をかけるべきかどうかは別問題だということです。重要なのは、Web行動の有無ではなく、その「質」を見極めて優先順位をつけることです。

BtoBマーケティングの世界では、一般的に「95:5の法則」があると言われています。市場にいる顧客のうち、今すぐ購入を検討している層は全体のわずか5%程度であり、残りの95%はまだ情報収集段階か、そもそも課題を認識していない段階だという説です。
「95:5の法則」の詳細は以下の記事をご覧ください。
訪問者の95%は“今すぐ客”ではない。 BtoBマーケの鉄則「95:5ルール」から学ぶ、商談を2倍にするリードの選び方
Web連携を行う最大のメリットは、やみくもに電話をかけることではなく、この「5%」を行動ログから炙り出せる点にあります。全員に電話をするのではなく、5%を見つけるためのフィルターとしてWeb行動ログを使うのです。
では、どのような行動が「5%(今すぐ客)」のシグナルなのでしょうか。優先すべき「ホットな行動」の例を挙げます。


こうした行動履歴を目視でチェックするのは限界がありますし、担当者の勘に頼ると基準がブレてしまいます。そこで活用したいのが「スコアリング機能」です。
多くのMAツールには、特定の行動に対して点数を付与する機能があります。例えば以下のようなルールを設定します。
そして、「合計スコアが20点を超えたらインサイドセールスに通知し、架電対象とする」といった閾値を設けます。これにより、「なんとなく良さそう」という曖昧な判断ではなく、客観的な行動データに基づいたアプローチが可能になります。
リソースが限られている現場こそ、この優先度付けが命綱になります。電話がつながらない95%に時間を費やすのをやめ、反応がある5%にリソースを集中させる。これがWeb連携の本質的な価値です。

優先度付けのロジックが決まったら、あとは実行フェーズです。展示会が終わってからの30日間は、顧客の記憶が残っている勝負の期間です。ここでは、具体的な運用モデルを3つのステップで紹介します。
展示会直後のお礼メールは、挨拶だけでなく「クリックしてもらうこと(Cookie紐付け)」を最優先の目的にします。このメールでクリックされなければ、その後のWeb追跡は始まりません。
よくある失敗は、「ご来場ありがとうございました。何かあればご連絡ください」というだけの儀礼的なメールです。これではクリックする動機が生まれません。クリック率を高めるためには、明確なメリットを提示する必要があります。
件名も重要です。「【御礼】展示会へのご来場ありがとうございました」という定型文よりも、「【資料送付】展示会でご紹介した〇〇の事例集/〇〇株式会社」のように、中身が分かる件名にすることで開封率を高められます。
Cookie紐付けに成功したユーザーが、その後(例えば1週間後や2週間後)に「料金ページ」などの重要ページを閲覧した際、それをどうキャッチするかが次の鍵です。いちいち管理画面にログインしてログを確認しにいく運用は、忙しい営業現場では定着しません。
そこで、SlackやTeams、チャットワーク、あるいはメールなどで、営業担当に「リアルタイム通知」が飛ぶように設定します。
通知メッセージの例: 「【ホットリード検知】展示会リードの〇〇株式会社 佐藤様(スコア: 25)が『料金プラン』ページを閲覧しています(最終閲覧:1分前)」
この通知が来た瞬間に架電する、あるいはメールを送るというオペレーションを組みます。「今、サイトを見ている」ということは、少なくともその瞬間は自社のことを考えている時間です。会議中でもなければ、移動中でもない可能性が高い。このタイミングでのアプローチは、着信応答率やアポイント獲得率を劇的に向上させます。
ただし、電話口で「今サイトを見ていますよね?」と言うのはNGです。あくまで「先日展示会でお話しした件で、その後ご検討状況はいかがかと思いまして」と、偶然を装って連絡するのがマナーです。お客様も「ちょうど今考えていたところでした、すごいタイミングですね」とポジティブに受け取ってくれることが多いものです。
Web行動が見えていれば、相手の興味関心に合わせた「追撃メール(ナーチャリングメール)」の内容も最適化できます。これをOne to Oneコミュニケーションと呼びます。
例えば、ログを見て「セキュリティに関するページ」を長く見ている人には、セキュリティのホワイトペーパーや、安全性に関する解説記事を送ります。「導入事例ページ」の中でも「製造業」の事例ばかり見ている人には、同業種の成功事例集を送ります。
全員に同じ「総合カタログ」を送るのではなく、「あなたの興味はこれですよね?」と先回りして情報提供を行うことで、信頼感が増し、商談へのステップが進みやすくなります。これを展示会後、1週間目、2週間目、3週間目とタイミングを見て実施していくのが、30日間の商談化プランです。

ここまで、Web連携による理想的なフォロー体制について解説してきました。しかし、現場で実務を担う方々からは、いくつかの懸念や反論が聞こえてきそうです。ここでは、よくある3つの疑問に対して、現実的な視点から回答します。
これは最も多い悩みです。マーケティング部門がどれだけ立派な「ホットリード通知」を飛ばしても、営業部門が「忙しいから」と無視してしまえば意味がありません。
この壁を越えるためには、最初は「通知の数を絞る」ことが有効です。最初から何でもかんでも通知すると、営業は通知慣れしてしまい、オオカミ少年のようになってしまいます。「料金ページを見た」あるいは「スコア30点以上」など、確度が極めて高いと思われる本当に重要な通知だけに絞り込み、「この通知が来たら電話すれば、高確率で商談になる」という成功体験をまずは1つ、営業チームに作ってもらうことが重要です。小さく始めて、信頼を勝ち取ってから範囲を広げましょう。
MAツールは多機能すぎて、設定が複雑なものも少なくありません。専任の担当者がいない場合、運用が回らなくなるリスクは確かにあります。
解決策としては、自社のリソースに合ったツール選定をすることに尽きます。高度なシナリオ設計ができる高額なツールではなく、まずは「メール配信」と「Webトラッキング」と「通知」だけに特化した、シンプルで安価なツールから始めるのが賢明です。あるいは、すでに導入している名刺管理ツールやメール配信システムに、簡易的なトラッキング機能がついていないか確認してみてください。意外と「追加コストなしで使える機能」が眠っていることもあります。
前述の失敗談でも触れましたが、Web行動はお客様のプライバシーに関わる繊細な情報です。データの扱い方やアプローチの仕方によっては、不信感を買う恐れがあります。
ここで大切なのは、取得したデータを「お客様の利益」のために使うという意識です。「監視して売り込む」ためではなく、「お客様が求めている情報を、適切なタイミングで届ける」ためにデータを使うのです。例えば、何度もエラーページに行き来しているログが見えたら「操作でお困りではないですか?」とサポートの手を差し伸べる。特定の製品ページを見ているなら、その詳細資料を送ってあげる。こうした「おもてなし」の精神でデータを使えば、お客様との関係は良好に保たれます。もちろん、電話口で「Web履歴を見ました」と不用意に言わない配慮は、チーム全体で徹底する必要があります。

展示会の名刺をただの「紙」で終わらせるか、商談を生む「資産」に変えるかは、その後のWeb連携にかかっています。
数百、数千のリードに対して、一律のアプローチを続けるのは限界がありますし、何より受け取る側のお客様にとってもノイズになりかねません。Web上の行動という「無言のメッセージ」を拾い上げ、興味を持ってくれている人に、最適なタイミングでアプローチすること。それが、双方にとってストレスのない、スマートな営業活動の姿です。
本記事で解説したポイントを振り返ります。
いきなり完璧なスコアリングモデルや複雑な自動化シナリオを作る必要はありません。まずは、「メールを送って、クリックした人がWebサイトのどのページを見たかが分かる状態にする」。これだけでも、営業担当者が見る景色は劇的に変わるはずです。
まずは自社で利用しているメール配信システムや顧客管理ツールに、Webトラッキング機能やクリック通知機能がないか確認することから始めてみてください。小さく始める一歩が、展示会成果の大きな飛躍につながります。
ログリー株式会社が提供する『ウルテク』は、展示会やセミナーで獲得したリードのWeb上での興味関心を可視化し、商談化を加速させるBtoBマーケティングツールです。
「誰が」「いつ」「どのページを」見ているかを自動で追跡し、見込みの高い「ホットリード」が発生した瞬間に営業担当者へ通知します。本記事で解説したようなCookie紐づけやスコアリングの仕組みを、複雑な設定なしで、誰でも簡単に導入できるのが特徴です。
展示会後のフォローを効率化し、確度の高い商談を増やしたい方は、ぜひ『ウルテク』の活用をご検討ください。
Q: 展示会で獲得した名刺情報は、どのようにツールに取り込めばよいですか? A: 多くのツールでは、名刺管理アプリ(Sansanなど)との連携機能や、CSVファイルによる一括インポート機能が備わっています。展示会終了後、速やかにデータ化し、インポートすることでスムーズに追跡を開始できます。
Q: Web連携を行うには、専門的な知識が必要ですか? A: 以前はHTMLなどの知識が必要な場合もありましたが、最近のツールは直感的に操作できるものが増えています。「ウルテク」のように、専用タグをWebサイトに埋め込むだけで、あとは管理画面から簡単に設定できるツールを選べば、専任のエンジニアがいなくても運用可能です。
Q: すべての来場者の行動を追跡できるのですか? A: すべてではありません。追跡できるのは、メール内のURLをクリックし、Cookieの利用に同意したユーザーに限られます。また、ブラウザの設定でトラッキングを拒否している場合も追跡できません。しかし、追跡できる一部の「反応が良いユーザー」を見つけ出すだけでも、営業効率は大幅に向上します。
ウルテクについて、もっと詳しく知りたい方へ