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競合サイトを閲覧した人に広告配信!?Google 広告「カスタム オーディエンス」とは?

Google 広告「カスタム オーディエンス」は、キーワードやURLを「シグナル」としてAIに渡し、自社に最適なターゲットを探し出す機能です。本記事では、BtoBの現場で成果を出すための設定のコツや、インテントデータを掛け合わせた高度な活用術を解説します。AIの学習機能を最大限に引き出し、競合や課題解決に関心を持つ層へ的確にアプローチするための実践ノウハウを持ち帰ってください。


はじめに

「競合他社のサイトを見ているユーザーに、ピンポイントで自社の広告を出したい」

BtoBマーケティングに携わる方であれば、一度はこのように考えたことがあるのではないでしょうか。検討期間が長く、比較検討が当たり前のBtoB商材において、競合に関心を持っている層は、まさに喉から手が出るほど欲しいターゲットです。

そんなマーケターの期待を背負って語られることが多いのが、Google 広告の「カスタム オーディエンス」という機能です。

しかし、実際の運用現場を見渡してみると、この機能に対して「魔法のようなツール」だと過度な期待を抱いてしまったり、逆に仕組みを誤解したまま設定して「まったく配信が出ない」と頭を抱えてしまったりするケースが後を絶ちません。

本記事では、Google 広告「カスタム オーディエンス」の正しい定義と仕組み、そして多くの人が陥りがちな誤解を解きほぐしていきます。さらに、単なる機能説明にとどまらず、BtoBの現場で成果を出すための実践的な設計思想や、インテントデータ(興味関心データ)を掛け合わせた高度な活用法についても踏み込んで解説します。

AIによる自動化が進む現代の広告運用において、私たち人間に求められているのは、AIにどのような「良質なシグナル」を与えるかという設計図を描く力です。そのヒントを持ち帰っていただければと思います。

Google 広告「カスタム オーディエンス」で「できること」の本質

まず、カスタム オーディエンスとは何なのか、その定義を整理しましょう。

Google 広告の管理画面に向き合っていると、機能の名称が変わったり、統合されたりして混乱することがあります。カスタム オーディエンスは、以前は「カスタム アフィニティ」や「カスタム インテント」と呼ばれていた機能が統合され、より柔軟になったものです。

具体的には、広告主が以下の要素を入力することで、GoogleのAIに対して「こういう人たちを探してほしい」と指示出しができる機能です。

  1. 関連するキーワード(語句)
  2. 関連するウェブサイトのURL
  3. 関連するアプリ

これらの情報を入力すると、Googleはその内容に基づいて、興味・関心や購入意向を持つ可能性が高いユーザーを推定し、広告を届けてくれます。

ここで極めて重要なのが、この機能は「指定したリストそのもの」に配信するのではなく、あくまで「手がかり(シグナル)を与えて、それに近い人を探す」という考え方に基づいている点です。

これを料理に例えるなら、シェフ(GoogleのAI)に対して、「カレーを作って」と完成品を指定するのではなく、「スパイスと玉ねぎと鶏肉が好きそうな人」という好みの傾向(シグナル)を伝え、シェフが「それなら、この客層に合うだろう」と判断して料理を提供するようなイメージに近いかもしれません。

入力されたキーワードやURLは、Googleのポリシーに準拠しているかどうかの審査を経た上で、配信のターゲット選定に使われます。つまり、私たちが入力するのは「ターゲットそのもの」ではなく、ターゲットを見つけるための「地図の断片」なのです。

「競合サイトを閲覧した人に配信」は本当か?

さて、ここで冒頭の疑問に戻りましょう。「カスタム オーディエンスに競合サイトのURLを入力すれば、そのサイトを見た人に広告を出せるのか?」という点です。

結論から申し上げますと、これは「No」です。

ここが最も誤解されやすく、また多くの運用担当者が期待と現実のギャップに苦しむポイントでもあります。Google 広告のカスタム オーディエンスで競合サイトのURLを設定したからといって、その競合サイトの「訪問者リスト(リマーケティングリスト)」に直接アクセスして配信できるわけではありません。他社のサイト訪問データは、その他社が保有する貴重な資産であり、プライバシーの観点からも、Googleが第三者にそのまま横流しすることはあり得ないからです。

では、URLを入力することに意味はないのでしょうか。

もちろん、そんなことはありません。競合サイトのURLは、非常に強力な「文脈シグナル」として機能します。

Google 広告のシステムは、入力されたURLの中身を解析し、そのページに書かれているテーマやトピック、そして「そのようなページを閲覧する傾向にあるユーザー」の特性を学習します。その結果として、「競合サイトに関心を持ちそうな層」や「その領域の情報収集をしている層」を推定し、配信対象として広げていくのです。

つまり、「競合サイトへの訪問履歴があるAさん」を狙い撃ちすることはできませんが、「競合サイトを調べていそうな文脈や興味関心を持っているBさん、Cさん、Dさん」へ寄せて配信することは十分に可能です。

「訪問者そのもの」ではなく、「訪問者と同じような関心を持つクラスター」を狙う。この「推定・類推」のアプローチであるという前提を理解しておくことが、過度な期待を防ぎ、適切なKPIを設定する第一歩となります。

あるBtoB企業の失敗談から学ぶ「広さと狭さ」のバランス

ここで、あるSaaS企業のマーケティング担当者が経験した、少しほろ苦いエピソードをご紹介しましょう。

クラウド型の勤怠管理システムを販売しているB社の担当者は、競合他社の攻勢に焦りを感じていました。「とにかく競合から客を奪いたい」と考えた彼は、カスタム オーディエンスの設定画面を開き、主要な競合3社の「料金ページ」と「資料請求ページ」のURLだけを厳選して入力しました。

彼の狙いはこうです。「トップページを見るだけの冷やかしはいらない。料金や資料請求まで進んだ、確度の高いユーザーだけに広告を出したい」

論理的には正しそうに見えます。しかし、配信を開始してから1週間経っても、インプレッション(広告の表示回数)はほとんどゼロに近いままでした。

なぜでしょうか。

理由はシンプルで、シグナルが「狭すぎた」からです。BtoBのニッチな商材において、特定の競合サイトの、しかも下層ページである料金ページを閲覧しているユーザーの母数は、Web全体から見れば極めて微小です。GoogleのAIが学習するための十分なデータ量(シグナル)が集まらず、配信対象を見つけられなかったのです。

焦った担当者は、今度は逆に「勤怠」「人事」「効率化」といったビッグワードを大量にキーワードとして追加しました。するとどうでしょう。今度はインプレッションが爆発的に増え、予算はあっという間に消化されました。しかし、届いたリード(見込み客)の中身を見てみると、学生のアルバイトや、単に言葉の意味を調べていただけの人ばかり。商談にはまったく繋がりませんでした。

この失敗から得られる教訓は、カスタム オーディエンスには「適切な抽象度と具体性のバランス」が必要だということです。

狙いを鋭くしすぎれば配信が出ず、広げすぎれば精度が落ちる。AIに渡すシグナルは、狭すぎず広すぎない、「ちょうどよい塩梅」を見極める人間のセンスが問われる領域なのです。

現場で使える3つの活用シーン

失敗談を踏まえた上で、実際にBtoBの現場で効果が出やすい設定パターンを3つ紹介します。

1. 比較検討を取りにいく(競合名・サービス名文脈)

一つ目は、やはり王道の「競合」を意識した設定です。

入力例:

  • 競合のサービス名
  • 「〇〇(自社カテゴリ) 比較」「〇〇 おすすめ」といったキーワード
  • 競合の公式サイト(トップページや機能紹介ページ)

これは「今まさに比較検討している」という文脈を作りやすい設定です。ただし、前述の失敗談のように、URLを絞りすぎないことがコツです。競合のサービス名そのものをキーワードとして入力することで、そのサービスを検索したり、関連記事を読んだりしている層を捉えることができます。狙いは鋭くなりますが、母数はそれほど多くならない可能性があるため、入札戦略などで強気の調整が必要になることもあります。

2. 課題起点で「準顕在」を拾う(用途・悩み文脈)

二つ目は、具体的なサービス名までは知らないが、課題を抱えている層を狙う設定です。

入力例:

  • 「BtoB リード獲得」「MA 乗り換え」「営業 生産性」といった課題解決型のキーワード
  • 課題解決のノウハウが載っているブログ記事のURL

競合名指しよりも母数が出やすく、まだ特定のツールに固執していない「上流の比較検討層」にアプローチできるのが特徴です。ここでは、自社のサービスが解決できる「悩み」を言語化してキーワードに落とし込む力が試されます。

3. 「読む・使う」で文脈を固定する(メディアURL・アプリ)

三つ目は、ターゲットが日常的に接している媒体をシグナルにする方法です。

入力例:

  • 業界特化型ニュースサイトのURL
  • 業務で利用する関連アプリ(例:名刺管理アプリ、チャットツールなど)

特定の業界メディアを読んでいる、あるいは特定の業務アプリを使っているということは、その職種や業界に属している可能性が極めて高いと言えます。これは興味関心の「質」を担保するための補助的なシグナルとして非常に有効です。キーワードだけでは広がりすぎてしまう場合に、これらのURLやアプリを組み合わせることで、検討フェーズの推定精度を底上げすることができます。

読者が抱くであろう「懸念」への回答

ここまで読んで、「理屈はわかるけれど、本当に成果が出るのか?」と懐疑的な方もいるかもしれません。よくある反論や懸念について、現場視点でお答えします。

懸念1:「推定」や「類推」では、精度が低くて無駄金を使うのでは?

確かに、リターゲティングのような「事実(来訪履歴)」に基づく配信に比べれば、確実性は劣るように見えるかもしれません。しかし、Cookie規制やプライバシー保護の潮流により、個人の行動を追跡するリターゲティングの精度や配信量は年々厳しくなっています。

一方で、Googleが保有するデータ量は膨大です。検索行動、閲覧履歴、動画視聴など、多角的なデータから「文脈」を読み取る能力は飛躍的に向上しています。「推測」の精度は、人間が手動でリストを作るよりも、はるかに高いレベルに到達しているのが現状です。完璧ではありませんが、代替手段としては現在最も強力な選択肢の一つです。

懸念2:「類似ユーザー」と何が違うの?

以前Google 広告でよく使われていた「類似ユーザー(類似セグメント)」機能は、段階的な移行が進み、運用上の扱いや名称が変わってきています。2023年以降、Googleは「類似セグメント」の新規生成を終了し、「最適化されたターゲティング」や「オーディエンス拡張」といった、AIがリアルタイムデータを使って自動的にターゲットを広げる機能へと舵を切りました。

カスタム オーディエンスは、この自動拡張の世界において「拡張の起点(シード)」としての役割が強まっています。「手動で枠をガチガチに決める」というよりは、「AIに学習させるための良質な教科書を渡す」という感覚で使うのが、これからの正解です。

懸念3:プライバシーへの配慮は大丈夫か?

「競合のURLを入れる」という行為が、何か裏技的で怪しいと感じる方もいるかもしれませんが、これはGoogleの正規の機能であり、ポリシーに準拠した運用であれば問題ありません。重要なのは、特定の個人を追跡・特定するわけではないという点です。あくまで「興味関心の傾向」という抽象化されたクラスターに対して配信するため、個人のプライバシーを侵害するものではありません。もちろん、入力するキーワードやURLが差別的な内容やセンシティブなカテゴリに含まれないよう、Googleのポリシーを守ることは必須です。

他の「オーディエンス」系との違いを整理

混乱を防ぐために、他の機能との違いも整理しておきましょう。

  • カスタム オーディエンス キーワード、URL、アプリなどを入力し、そこから「近い興味関心を持つ人」を探しに行く機能。「探索」の役割を担います。
  • データ セグメント(旧:リマーケティング) 自社サイトへの訪問やアプリ利用など、すでに「自社と接点がある人」に配信する機能。「追いかけ」の役割です。
  • カスタマー マッチ(顧客リスト) CRM等にある自社の顧客データ(メールアドレス等)をアップロードして活用する機能。アップロード時にはデータがハッシュ化(暗号化)され、Googleが実データを受け取らない形で照合される安全な設計になっています。

これらは排他的なものではなく、目的(探索か、追いかけか)に応じて使い分ける、あるいは組み合わせるものです。

インテントデータを活用した「ウルテク」的運用論

最後に、少し応用的な「運用設計」の考え方をご紹介します。これは単なるツール紹介ではなく、データをどうシグナルに変えるかという思考法の話です。

ウルテクのインテントデータ活用すればカスタム オーディエンスの精度をさらに高めることができます。

1. 「結果」から逆算してキーワードを投入する

通常、カスタム オーディエンスのキーワードは人間が想像で考えます。しかし、インテントデータがあれば、「実際にコンバージョン(CV)したユーザー」や「商談化した企業」が、Web上でどのようなキーワードを検索していたか、どのようなトピックに反応していたかを分析できます。

この「実績として刺さったキーワード(インテント)」を抽出し、そのままGoogle 広告のカスタム オーディエンスの「キーワード」として投入するのです。

人間の想像ではなく、事実に基づいた「当たりやすい文脈」を入力シグナルにすることで、AIの探索精度を論理的に向上させることができます。

2. 検知した競合シグナルを広告に転用する

インテントデータツールでは、「今、競合サービスを比較検討している企業」をシグナルとして検知できる場合があります。

このシグナルを検知した際、そこで挙がっている「競合企業名」や「競合サービス名」を、即座にGoogle 広告のカスタム オーディエンスに追加設定します(URL設定も含めて)。

これにより、「今まさに競合を調べている層」に対して、Web広告側からも「比較検討の土俵に上がるためのアプローチ」をかけることができます。これは前述した通り、その企業の人に直接届くとは限りませんが、「その企業と同じような動きをしている層」への露出を高めることになり、機会損失を防ぐ有効な手立てとなります。

よくある質問(FAQ)

最後に、カスタムオーディエンスの運用において現場でよく聞かれる質問をまとめました。

Q1:競合サイトのURLはいくつくらい設定すればいいですか? 多ければ多いほど良いというわけではありませんが、少なすぎるとシグナル不足で配信が出ない可能性があります。目安としては、主要な競合サイトのトップページや機能紹介ページなどを中心に、5〜10個程度から始めてみるのがおすすめです。配信量を見ながら、関連性の高いURLを徐々に追加・整理していく運用がスムーズです。

Q2:設定画面にある「購入意向の強い人」と「関心が高い人」はどちらを選べばいいですか? BtoBのリード獲得(コンバージョン)が目的であれば、「購入意向の強い人」や「Google 検索でいずれかのキーワードを検索した人」を選択することをおすすめします。「関心が高い人」はリーチが広がりやすい反面、検討フェーズが浅いユーザーも含まれやすいため、認知目的などで使い分けると効果的です。

Q3:設定してからどのくらいで成果が出始めますか? 設定直後から配信は始まりますが、AIが学習し、最適なユーザー層を見つけ出すまでには通常2週間〜1ヶ月程度の期間が必要です。設定して数日で「効果がない」と判断して設定をコロコロ変えてしまうと、学習がリセットされてしまうため、ある程度の期間は我慢強く見守る姿勢が大切です。

まとめ:AIへの「指示出し力」が成果を分ける

Google 広告の「カスタム オーディエンス」は、競合サイトの訪問者を盗み見る魔法の杖ではありません。しかし、正しく理解して使えば、確度の高いユーザーをAIに探しに行かせるための強力な羅針盤となります。

重要なのは以下の3点です。

  1. 仕組みの理解: URL入力は「文脈のシグナル」であり、直接のターゲットリストではないと心得る。
  2. バランス感覚: 入力要素を絞りすぎて配信を止めたり、広げすぎて無駄打ちしたりしないよう、抽象度をコントロールする。
  3. シグナルの質: 人間の想像だけでなく、インテントデータなどの事実に基づいて、AIに渡す「手がかり」の質を高める。

2026年に向けて、広告運用はますます自動化が進みます。しかし、自動化されればされるほど、「何を学習させるか」「どこを目指させるか」という初期設定(インプット)の重要性は増していきます。

ぜひ、自社の勝ちパターンや顧客のインサイトを深く分析し、GoogleのAIが最高の実力を発揮できるような「最高のシグナル」を設計してみてください。それが、これからのBtoBマーケターの腕の見せ所になるはずです。

著者紹介
井上翔太
ウルテク| URUTEQ 事業責任者 ---- 新卒で証券会社に入社し、BtoCのセールスを経験。その後、PR代理店にてBtoB・BtoC企業向けのデジタルマーケティングコンサルティングや新規営業を担当。ログリー株式会社入社後は、BtoBマーケティング向けSaaSの開発やマーケティング、セールスなどを行う。現在は、これまでの経験を活かし、BtoBマーケAIエージェント「アカウントインテリジェンスツール ウルテク」の事業責任者を務めている。

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