BtoBマーケティング
インテントデータ
インテントデータは、単に導入するだけでは成果につながりません。重要なのは、自社サイトに来訪する前の「サイト外(3rd Party)」での行動データをいかに拾い上げ、営業がアクション可能な情報に変換するかです。本記事では、欲張らずにスモールスタートから始めるキーワード選定のフェーズ論や、データを「論点・根拠・アクション」のセットで営業に渡すための具体的な運用設計について解説します。

当社の提供するウルテクでは「インテントキーワード」の設定がリアルタイムに反映および数百という数のキーワードの登録が可能です。設定したキーワードをもとに、CV分析、コンテンツやウェビナー企画案の策定に活用できるので、興味のある方は以下から資料ダウンロードください。
目次
インテントデータを導入したものの、「通知は来るけれど、そこからどう営業すればいいかわからない」「結局、ただの“気になる企業リスト”で終わっている」といった悩みをお持ちではないでしょうか。
正直なところ、多くのBtoB企業でこうした状況が起きています。あるSaaS企業のマーケティング担当者も、導入当初は「これで顧客の動きがすべて見える」と意気込んでいました。しかし数ヶ月後、彼が口にしたのは「毎日大量の企業名が送られてくるが、営業からは『で、どこに電話すればいいの?』と言われてしまう」という、ため息交じりの言葉でした。
BtoBマーケティングにおいて、Webサイトに来訪する前の「サイト外(3rd Party)」での検索・閲覧行動には、顧客の検討プロセスや本音が色濃く反映されます。しかし、このデータを成果に変えるには、ただツールを入れるだけでなく「誰に、どのタイミングで、何を伝えるか」を導き出すための「設計」が不可欠です。
本記事では、インテントデータを単なる情報収集ツールで終わらせず、施策や営業連携に直結させるための具体的なキーワード設定のコツと運用の型を解説します。魔法のような近道はありませんが、着実な設計を行えば、それは暗闇を照らす強力なサーチライトになります。
まず前提として、インテントデータ(Intent Data)とは、検索やWeb閲覧などの行動履歴から「ユーザーが何らかの意図(Intent)を持って動いている」ことを捉え、興味関心や検討テーマを推定するためのデータです。
特に近年、BtoBにおいて重要視されているのが、自社サイト以外の場所での行動を示す「3rd Partyデータ」です。
顧客は、あなたの会社のサイトに訪れる前に、すでに多くの情報収集を行っています。 例えば、自社の課題について検索したり、比較サイトで競合他社の記事を読んだり、ニュースサイトで業界動向をチェックしたりといった行動です。
マーケティングの世界ではよく「購買プロセスの大半は営業に会う前に終わっている」と言われますが、まさにその「会う前」の行動を可視化するのがインテントデータです。

例えば、URUTEQのようなアカウントインテリジェンスツールでは、企業単位(IPアドレスやクッキー情報など)でこれらのサイト内外のシグナルを束ねることで、以下のような企業を見つけ出すことができます。
これにより、相手が何に関心を持っているか(比較検討なのか、情報収集なのか)を先回りして把握し、適切なアプローチを準備することが可能になります。自社サイトに来てくれた「顕在層」を待つだけでなく、その手前の「準顕在層」にこちらから手を差し伸べるためのデータと言えます。
ツールを導入しても現場が動けない最大の理由は、「データを見ても何をすればいいかわからない」からです。 データは解釈されて初めて情報になり、行動につながります。
インテントデータが「使える状態」にあるとは、レポートや営業通知を見た瞬間に、以下の3点が即答できる状態を指します。
設定を行う際は、常にこの3点セットが導き出せるかを意識してください。逆に言えば、「検索されたキーワード」だけを営業に渡しても、営業担当者は「だから何?」となってしまいます。

営業担当者が欲しいのは「検索履歴」ではなく、「アプローチの口実」です。この変換作業を設計段階で済ませておくことが、マーケティング担当者の腕の見せ所です。
インテントデータの精度は「どのキーワード(トピック)を検知するか」で決まります。しかし、最初から完璧を目指す必要はありません。むしろ、最初から完璧を目指すことが失敗のもとです。
ここでは、段階的に精度を高めていくステップを紹介します。
張り切って関連しそうなキーワードを100個も200個も登録する。これはもっとも陥りやすい罠です。 過去にこれを行ったある企業では、毎日数十件もの通知がSlackに飛び交い、営業チームは通知をミュートしてしまいました。重要なシグナルがノイズに埋もれてしまったのです。
まずは「競合他社名」や「直近の注力課題」など、これが出たら絶対にアプローチしたい、というキーワードを10〜20個程度設定することから始めましょう。
このフェーズの目的は、精緻な分析ではありません。「シグナルが出る→営業会議で話題にする→アプローチする」という運用のサイクル(型)を作ることです。 少数のキーワードであれば、一つひとつの通知に対して「なぜこの企業がこれを検索したのか?」を深く議論できます。この成功体験を作ることが、後の拡大に向けた土台になります。
運用が回り始め、営業からも「この通知は役に立つね」という声が上がり始めたら、キーワードを拡張します。 実際に商談化した企業を分析すると、「実は裏でこんなキーワードも検索していた」という傾向が見えてくるはずです。
ここで重要なのは、「キーワード数が少なすぎると拾える論点が偏る」という点です。 例えば「セキュリティ」というキーワードだけを見ていると、本当は「使いやすさ」を重視している層を取りこぼすかもしれません。フェーズが進むにつれて、最終的には網羅性を高めていくことが重要です。

「3〜5個は決められるが、そこからどう広げればいいかわからない」という場合は、社内の脳内だけでなく、データやツールを使って候補を洗い出しましょう。以下の5つのアプローチが有効です。
ChatGPTなどの生成AIを活用します。「自社サービス(〇〇)の想定顧客が、導入検討時に検索しそうな課題、解決策、比較軸、稟議論点をリストアップしてください」と指示すれば、人間では思いつかない切り口も含めて大量の候補を出してくれます。これを人間が取捨選択するのが最も効率的です。
競合他社がランディングページやブログで強調している言葉は、市場での比較軸になりやすいキーワードです。AIに競合サイトのURLを読み込ませ、「このページが訴求している主要な課題と解決策のキーワードを抽出して」と頼むのも有効な手です。
自社サイトのSearch Consoleを見てみましょう。表示回数は多いのにクリックが少ないキーワードはありませんか? それは「ユーザーの関心はあるが、自社サイトが応えきれていない(=コンテンツが弱い)」領域です。この領域こそ、サイト外のインテントデータで補完すべきポイントです。
すでにお金を払って出稿しているリスティング広告のキーワードは、社内で「価値がある」と合意済みの「勝ち筋」です。これをインテントデータの検知ワードにも流用しない手はありません。
よくダウンロードされる資料の中身をAIに読ませ、そこに含まれる「課題語」「比較語」を抽出します。資料をダウンロードする人が反応する言葉は、検索行動にも現れる可能性が高いからです。
キーワード設定後が本番です。実際にコンバージョン(CV)や商談が発生したら、その企業が過去にどのようなインテント傾向を持っていたかを分析し、設定をチューニングし続けます。
その際、雑多なキーワードリストのままでは対応方針が定まりません。BtoBの購買プロセスに合わせて、以下のように分類して管理することをおすすめします。
私たちは、キーワードを検討度合いに応じた「3つのフェーズ」に分けて考えます。
【3つのフェーズ】
さらに、これらを「競合」「製品」「課題」「一般」「比較」といった5つのカテゴリにタグ付けしておきます。 そうすると、「競合カテゴリの反応があったら比較表を送る」「課題カテゴリならお役立ち記事を送る」といったように、条件反射的に次のアクション(打ち手)を決められるようになります。

こうした分析や、それに基づいたメール文面の作成といった業務は、人が行うとどうしても属人化しがちです。センスの良いマーケターならできるが、新人はできない、となっては組織としてスケールしません。
最近のアカウントインテリジェンスツール(例:URUTEQのβ版機能など)では、自社サービス情報を学習させ、検知したインテントに合わせて最適なアプローチ案をAIが生成する機能も登場しています。 「この企業は『コスト』を気にしているから、コストパフォーマンスを訴求するこのメールテンプレートを使う」というように、判断をAIやツールに一部委ねることで、チーム全体で再現性を高める工夫も大切です。
どのようなキーワードに反応しているかだけでなく、「いつ、どのように反応しているか(時系列の変化)」も重要な判断材料です。
データの推移には、大きく分けて3つのパターンがあります。

営業リソースは有限です。すべての通知に対応することはできません。 一般的に、「再燃」は過去に検討した土台があるため、アプローチの優先度が高くなります。全くの新規よりも、過去に接点があった企業のほうが話を聞いてもらいやすいのと同じ理屈です。
また、「比較・費用・導入不安」といった意思決定系キーワード(フェーズC)での盛り上がりも、確度が高いサインです。これらが見えたら、インサイドセールスが即座に架電するなどのルールを設けます。
では、これらを組み合わせるとどうなるでしょうか。ある企業で以下のような動きがあったとします。
ここから導き出される「3点セット」はこうなります。

このように、インテントデータと自社データを組み合わせることで、画一的な「ご状況いかがですか?」ではなく、相手の「今」の関心に刺さるアプローチが可能になります。
ここまで読んで、「理屈はわかるが、本当にデータだけでそこまで決め打ちしていいのか?」という疑問を持たれる方もいるでしょう。 おっしゃる通りです。インテントデータはあくまで「推測」の域を出ません。「セキュリティ」と検索したからといって、必ずしもセキュリティソフトを買いたいわけではなく、単にニュースを見ていただけかもしれません。
だからこそ、データは「仮説」として使います。 営業電話で「セキュリティで検索しましたよね?」と聞くのは御法度です(監視されているようで不快です)。そうではなく、「最近、セキュリティ強化のご相談が増えているのですが、御社ではいかがですか?」と、世の中のトレンドや一般的な話題として水を向けるのです。 データが合っていれば「実はちょうど…」と話が弾みますし、外れていても不自然ではありません。インテントデータは、会話のきっかけ(フック)を選ぶための羅針盤として使うのが、もっとも健全で効果的な活用法です。
当社の提供するウルテクでは「インテントキーワード」の設定がリアルタイムに反映および数百という数のキーワードの登録が可能です。設定したキーワードをもとに、CV分析、コンテンツやウェビナー企画案の策定に活用できるので、興味のある方は以下から資料ダウンロードください。
インテントデータは、導入すれば勝手に売上が上がる魔法の杖ではありません。しかし、適切なキーワード設計と運用ルールがあれば、暗闇の中にいる見込み顧客を照らし出す強力なサーチライトになります。
まずは、競合名や自社の強みとなるキーワードを3つ登録するところから始めてみてください。そこから見えてくる「顧客の動き」が、次の営業の一手を変えてくれるはずです。
Q1. キーワードは具体的に何個くらい設定するのがベストですか? A. フェーズによりますが、運用開始直後(Phase0)は3〜5個に絞ることを強くおすすめします。運用フローが固まっていない段階で大量に設定すると、通知過多になり現場が疲弊します。運用が定着したら20〜30個、さらに分析が進めば50個以上と段階的に増やしてください。
Q2. インテントデータを営業に渡す際、どう伝えれば動いてもらえますか? A. 「この企業が検索しています」という事実だけでなく、「なぜ今アプローチすべきか(根拠)」と「どんなネタで話しかけるべきか(トークテーマ)」をセットで渡すことが重要です。インサイドセールス部門と連携し、「このキーワードが出たらこの資料を送る」といったプレイブック(対応手順書)を合意しておくとスムーズです。
Q3. 自社サイトのデータ(1st Partyデータ)だけでは不十分なのですか? A. 不十分ではありませんが、捕捉できる範囲が限定的です。自社サイトに来る企業は、すでに検討が進んでいる一部の層に限られます。3rd Partyデータ(インテントデータ)を活用することで、自社を知らない、あるいは競合を検討し始めたばかりの「検討初期層」や「潜在層」にアプローチできるため、機会損失を防げます。
Q4. 全く関係ない検索(ノイズ)が混じることはありませんか? A. あります。例えば「ウイルス」というキーワードは、セキュリティだけでなく医療用語としても検索されます。そのため、キーワード設定時には除外ワードを活用するか、複数のキーワードの組み合わせ(「ウイルス」×「エンドポイント」など)で条件を絞ることで精度を高める必要があります。
Q5. ツールが高額で導入が難しいのですが、手動でもできますか? A. 3rd Partyデータの収集は技術的に難易度が高く、手動で行うのは現実的ではありません。ただし、まずはGoogleトレンドやキーワードプランナーで市場の検索トレンドを掴み、自社のコンテンツ制作に活かすといったことは可能です。個社ごとの動きを追うには専用ツールの導入が必要になります。
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