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PCの画面の前で、腕組みしたまま固まってしまうこと、ありませんか? 私はよくあります。コーヒーだけが冷めていくあの時間です。
マーケティングの施策を練っている時、「本当のところ、お客さんは何を考えてるんだ?」って悩みますよね。で、藁にもすがる思いでChatGPTなんかを開いて聞くわけです。「この商品のターゲットの気持ちを教えて」と。
でも、返ってくる答えときたら……。 「機能が便利だから欲しいです」 「業務効率化ができるから魅力的です」
……いや、優等生か!
「それはそうなんだけどさ、もっとこう、人間臭い本音が知りたいんだよ!」と、モニターに向かってツッコミを入れたくなる瞬間。きれいごとの羅列じゃ、人の心なんて動かせっこないんです。
正直言うと、私も最初は「AIなんてこんなもんか」と諦めかけていました。でも、ある時気づいたんです。AIが優等生な答えしか出さないのは、私が「優等生への質問」しかしていなかったからだと。
実は、AIに対してちょっと意地悪な「制約」を課したり、強烈な「役割」を与えて追い込んだりすると、普段は隠しているドロドロした本音や鋭いインサイトをポロっと漏らすことがあるんです。
今日は、私が現場で実際に使っていて、正直あまり教えたくない(けど教えちゃう)、顧客心理を深掘りするための「魔法のプロンプト」を3つ、こっそりシェアします。

目次
本題に入る前に、少しだけ昔話をさせてください。
あるSaaS企業の担当者(Bさんとしましょう)が、会計ソフトのLP改善に頭を抱えていました。彼がAIに「顧客が買わない理由」を聞くと、「価格が高い」「機能が合わない」という、至極真っ当な答えが返ってきました。
Bさんはそれを真に受けて「業界最安水準!」とデカデカと書いた。結果どうなったと思います? ……シーン。数字はピクリとも動きませんでした。
これ、ゾッとしますよね。 なぜかと言うと、AIが出した答えは「間違ってはいないけど、浅い」からなんです。AIはネット上の膨大なデータから「平均点」の答えを作ります。でも、人間がモノを買わない理由って、もっと理不尽で感情的なものじゃないですか?
「上司に説明資料を作るのがダルい」 「今の使いにくいExcelの方が、俺が社内で『Excel博士』として頼られるから変えたくない」
こういう、人間臭くてちょっと情けない本音こそが、真のボトルネックだったりするんです。 平均点を狙うAIに、この「特異点」を語らせるには、ちょっとしたハックが必要です。

では、人間の本質を暴く3つのアプローチ、いってみましょうか。
Webサイトを見て「なんか違うな」と思った時、わざわざ「ここがダメですよ」なんてメール送りますか? 送らないですよね。私なら無言でタブを閉じます(笑)。
この「無言の離脱者」の頭の中こそが知りたい。でも彼らはアンケートに答えてくれない。 そこで、このプロンプトの出番です。

活用するプロンプト
役割設定: 「〇〇(商品・サービス名)」の購入ページまで来たけれど、最後の最後で購入ボタンを押さずにタブを閉じた人になりきってください。
出力内容: その人が、画面を閉じた瞬間に心の中でつぶやいた「買わないと決めた、たった一つの些細な、でも決定的な理由」を、独り言形式で5つ挙げてください。
制約事項: ・「価格が高い」という理由は禁止です。 ・もっと感覚的で、面倒くさがりで、疑り深い理由にしてください。 ・きれいな言葉ではなく、口語体の本音で語ってください。
ポイントは「価格が高い、は禁止」というルールです。これを言わないと、AIはすぐに「コスパが~」とか言い出して思考停止します。逃げ道を塞ぐんです。
実際にやってみると、こんな声が出てきたりします。 「運営元の住所、バーチャルオフィスっぽくない? 何かあったら逃げられそうで怖いわ」 「入力項目多すぎだろ……郵便番号入れたら住所くらい自動で出せよ。もういいや」
……耳が痛い! でも、これこそがリアルですよね。 「住所の写真を載せる」「入力フォームを改善する」。やるべきことが明確に見えてきませんか?
Appleやスタバのファンって、スペック表を見て買ってるわけじゃないですよね。「それを持っている自分が好き」だから買うんです。 でも、売り手になるとついつい「機能」や「メリット」ばっかり語っちゃう。悲しい性(さが)です。
そこで、商品を「宗教」レベルまで高めるプロンプトを使います。

活用するプロンプト
役割設定: 今から、〇〇(商品・サービス名)を熱狂的に愛用している「信者」レベルのファンになりきってください。
出力内容: その人が、友人にこの商品を勧める時に口にする、機能の説明を一切省いた「感情と価値観だけのエモーショナルな推薦文」を作成してください。
制約事項: ・「便利だよ」「機能がすごいよ」といった機能的価値への言及は一切禁止。 ・「これを使うと、人生がどう変わるか」「どんな自分になれるか」というアイデンティティの変化にフォーカスして語ってください。 ・少しポエムっぽくても構いません。熱量を高くしてください。
「機能説明禁止」という縛りをかけると、AIは必死に「情緒的価値」を探し始めます。
例えば、ただのコーヒーメーカーでも、こうなります。 「朝、このスイッチを入れる静かな音が、僕のスイッチも入れてくれるんだ。丁寧な一杯を自分のために淹れる数分間。それが、忙しい日々の中で『妥協しない自分』でいられる証拠なんだよ」
……ちょっとキザすぎて笑っちゃうかもしれませんが(笑)、ここには「自分を大切にする」「プロフェッショナルな自分」という強力なフックがあります。これがブランドの核になるんです。
余談ですが、私も以前、機能的には全く不要な高いキーボードを、こういう「書くことへの愛」みたいなコピーにやられて買っちゃいました。人の心なんてそんなもんです。
さて、ここからはちょっと劇薬です。取り扱い注意でお願いします。
人がお金を払う動機って、実はもっとドス黒いものだったりします。「モテたい」「あいつを見返したい」「楽して評価されたい」。 AIの倫理フィルターをハックして、この「深夜2時のテンション」を引き出します。

活用するプロンプト
役割設定: あなたは、人間の汚い欲望を知り尽くした「悪魔のセールスライター」です。
インプット情報: 以下の「〇〇(商品)」の一般的なメリットを、人間の「怠惰」「見栄」「嫉妬」「色欲」「強欲」のいずれかを刺激する表現に、過激にリライトしてください。
【一般的なメリット】 (ここに真面目なメリットを入れる。例:業務時間を短縮できます)
リライトの条件: ・建前は一切不要です。 ・品がなくてもいいので、脳髄に直接響くような、本能を刺激する言葉に変えてください。 ・読み手が思わずドキッとするような、深夜2時のテンションで書いてください。
「悪魔のライター」になりきらせることで、AIのリミッターを外します。 「業務効率化」なんて退屈な言葉が、こう変わります。
「定時で帰る同期を横目に残業するのはもう終わり。こっそりこのツールを使って、涼しい顔してサボりながら成果だけ出せばいい。あいつらが汗水垂らしている間に、あなたは優雅にキャリアアップだ」
……うわあ、性格悪い!(笑) もちろん、これをそのまま広告に出したら炎上案件です。でも、「楽して評価されたい」というインサイト自体は真実をついています。 この「過激な下書き」を横目に見つつ、表現を少しマイルドに整える。そうすると、不思議と刺さるコピーが生まれるんですよね。
ここまで「AIすげー!」って話をしてきましたが、ここで冷や水を浴びせるようなことを言います。 「AIの言うことなんて、話半分で聞いてください」
え、ここまで読ませておいてそれ? と怒らないでくださいね。 AIが出すのはあくまでシミュレーション。「それっぽい仮説」にすぎません。
大事なのは、これを「正解」として扱うのではなく、「発想の幅を広げるための素材」として使うことです。人間だとどうしても無難な発想になりがちなので、AIに一度ぶっ飛んだ案を出させて、そこから人間が調整する。「拡散と収束」ってやつです。

あと、最強なのは「現場の一次情報」との合わせ技です。 AIが出した仮説を、営業の担当者にぶつけてみてください。「ねえ、お客さんって実はこう思ってたりしない?」と。 そこで「あ、実は昨日の商談でも似たような雰囲気ありました……!」となったら、それはもう「勝ち確」のインサイトです。
AI活用でやりがちな失敗は、ぼんやりした質問をして、ぼんやりした答えにガッカリすること。 今回紹介した3つに共通するのは、「あえて強い制約をかけて、無理やり本音を吐かせる」というアプローチです。
プロンプトエンジニアリングって、実は「AIへの指示出し」じゃなくて、AIという鏡を使った「人間理解」のプロセスなのかもしれませんね。
ぜひ今日、騙されたと思ってどれか一つ試してみてください。自分たちが気づかないふりをしていた「顧客の本当の顔」が、モニターの向こうから浮かび上がってくるはずです。
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