AI
マーケティング
本記事では、国内企業のAIマーケティング活用事例11選を分野別に紹介し、成果につながった具体的な施策を解説します。さらに、AI導入のメリットや進め方、注意すべきポイントもまとめ、実務に応用しやすい形で整理しました。AIをマーケティングにどう取り入れるべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

なお、ログリー株式会社では、企業のWeb行動から「今まさに検討を始めた見込み顧客」を可視化し、マーケティングや営業活動の機会損失を防ぐためのBtoBマーケティングAIエージェント『ウルテク』を提供しています。サイト内外の行動から顧客の隠れた興味・関心(インテント)をAIが解析し、アプローチすべき有望企業をリアルタイムで特定できる点が特長です。サービス資料は無料でダウンロードできますので、下記からお気軽にご覧ください。
この記事でわかること
目次

顧客分析やCRM領域でAIを活用すると、「顧客が何を求めているか」を、これまで以上に正確にとらえることが可能です。ここでは、実際にAIを活用して成果を上げた国内企業の事例を3つ紹介します。
リコーは、AIとインテントデータ(※)を活用し、これまで把握できなかった潜在顧客を可視化できる仕組みを構築しました。具体的には、新規事業「樹脂判別ハンディセンサー」のマーケティングに『ウルテク』を導入し、企業名だけでなく部署単位の関心度をスコアリングしました。
※顧客のWeb上での行動履歴から「興味関心」や「検討タイミング」を特定するためのデータ
【ウルテクとは】
企業のWeb行動から「今まさに検討を始めた見込み顧客」を可視化し、マーケティングや営業活動の機会損失を防ぐためのサービス。サイト内外の行動から顧客の隠れた興味・関心(インテント)をAIが解析し、アプローチすべき有望企業をリアルタイムで特定できる。
展示会で獲得した名刺リストと、展示会後にサイトを継続閲覧している企業のデータを掛け合わせることで、優先的にアプローチすべき顧客を絞り込むことに成功しています。その結果、インサイドセールスとの連携が進み、受け身のマーケティングから攻めのスタイルへ転換できた点が大きな成果です。
この取り組みの詳細は下記の記事で紹介されていますので、詳しく知りたい方はぜひチェックしてみてください。
AIとインテントデータで”見えない顧客”を可視化。オフライン連携で「攻めのマーケティング」へ
グッデイは、AIを使った需要予測システムを導入し、店舗ごとの仕入れ最適化を実現しました。過去の販売データに加えて天気情報などもAIが同時に分析し、より精度の高い適正在庫を算出しています。
その結果、平均在庫を16%削減しながらも売上は前年比124%に向上しました。余剰在庫や欠品を防ぎ、顧客が求める商品を適切なタイミングで提供できるようになったためです。小売の現場において、データに基づく意思決定が成果につながった好例です。
日本航空(JAL)は、社内に散在していた膨大な顧客データを横断的に分析できるAI基盤を整備しました。航空利用履歴やマイレージ情報、購買データなどを統合して分析できるようになったことで、顧客理解が大きく進んでいます。
これにより、一人ひとりに最適なコンテンツを最適なタイミングで届ける1to1マーケティングが可能になりました。

ターゲティングやパーソナライズの領域では、AIを活用することで「顧客一人ひとりに最適な提案」を大規模に実現できるようになります。ここでは、AIによって精度の高いパーソナライズ施策を実現した企業の事例を2つ紹介します。
ソフトバンクは、社内に分散していた顧客データやサービスデータを統合し、顧客行動を横断的に把握できるAI基盤を整備しました。契約状況、利用履歴、サポート履歴、Web行動など、多様なデータを一元的に管理することで、顧客理解を大幅に向上させています。
さらにAIによる分析環境を強化したことで、一人ひとりのニーズに合わせたパーソナライズ施策を大規模に展開できるようになりました。顧客体験の向上だけでなく、サービス提案の精度強化や競争力向上にもつながっています。
キリンビールは、人気チューハイ「キリン 氷結®」の商品開発にAIペルソナを活用しました。消費者インタビューで得た膨大な“顧客の声”を生成AIに学習させ、典型的なユーザーモデル(AIペルソナ)を構築させたのです。
AIペルソナを活用することで、商品コンセプトづくりや新フレーバーのアイデア出しの際、ユーザーニーズにより即した企画を効率的に生み出せるようになりました。AIがペルソナの精度を向上させることで、ターゲティング施策の精度そのものを引き上げられるため、企業の新たなアプローチとして注目されています。

コンテンツ制作の領域では、生成AIの活用が急速に広がっています。コスト削減や制作スピードの向上につながるためです。ここでは、AIがクリエイティブ業務をどのように変えているのかを具体的に2例紹介します。
伊藤園は、日本初となるAIタレントを起用したTV-CMを制作しました。従来のようにタレントをキャスティングして撮影するのではなく、生成AIを活用して映像コンテンツをつくり上げたのが特徴です。
AI専門企業と協業して完全デジタルのワークフローを整えたことで、制作期間は従来の約半分に短縮され、スタジオ撮影が不要になった分だけ制作費も30%削減できました。SNSでも話題となり、競争が激しい特保飲料市場での認知獲得と訴求力向上に貢献しています。
参考:AIタレントを起用した「お~いお茶 カテキン緑茶」のTV-CM第二弾!新作TV-CM「食事の脂肪をスルー」篇を、4月4日(木)より放映開始
パルコは、2023年末の「HAPPY HOLIDAYS」キャンペーンで、グラフィックから音声・音楽まで全てを生成AIで制作しました。プロンプトを入力して人物や背景のビジュアルを生成し、ナレーション音声やBGMもAIが自動生成するなど、クリエイティブ制作を全面的にデジタル化しています。
その結果、制作費は従来の300万円から120万円へと大幅に削減され、制作期間も半分の15日間で完了しました。SNSでは「AIとは思えないクオリティ」と話題になり、ホリデー期間中の来館者数は前年の同時期と比べ18%増加したのです。低コストで高い効果を上げた代表的な事例として注目されています。
参考:パルコ初の生成AI広告「HAPPY HOLIDAYSキャンペーン」が公開!グラフィック・ムービー・ナレーション・音楽まで全て生成AIにて制作!

広告運用やWeb改善の領域では、AIを活用することで「どの商品を、誰に、どのタイミングで届けるか」を高精度で最適化できるようになっています。ここでは、実際にAIが売上向上や作業効率化に貢献した企業の活用事例を2つ紹介します。
電通デジタルは、ランディングページ(LP)の分析から改善案の作成までをAIで自動化するソリューションを開発し、自社案件での本格活用を始めました。ユーザー行動データをもとにAIがLPの課題を分析し、改善案やデザインの示唆出し、効果予測までおこなうのが特徴です。
テスト導入したLPでは、CVRが141%改善し、分析から制作完了までにかかる工数も約50時間削減されました。人手だけでは難しい高速なPDCAをAIが支えることで、LP改善の成果を大きく高めた事例です。
NTTドコモとインテージは、小売店舗で活用する店内サイネージ広告を生成AIで自動作成する実証実験をおこないました。従来1週間以上かかっていた広告コンテンツの作成時間を、最短1時間に短縮できるようになった点が特徴です。
さらに店舗のPOSデータと連携し、広告掲載後の売上をAIが24時間体制で測定して次のクリエイティブに反映する“マイクロPDCAループ”を構築しました。結果として、広告対象商品の売上は平均1.2倍、最大3.3倍まで向上し、制作工数も67%削減され、大きな成功となった事例です。

営業現場やカスタマーサポートでもAIの活用が急速に進んでおり、業務効率と顧客体験の双方を改善する取り組みが増えています。ここでは、営業・サポート領域で成果を上げたAI活用事例を2つ紹介します。
ニッセンは、カスタマーサポートの負荷軽減を目的に、機械学習型のAIチャットボットを導入しました。従来のルールベース型では難しかった、質問内容の柔軟な理解と最適な回答の提示ができるようになり、対応範囲が大きく広がっています。
導入後は、全問い合わせの約15%をAIが自動対応できるようになり、人手による対応工数を大幅に削減できました。24時間いつでも回答できる体制が整ったことで、ユーザーの自己解決率が向上し、顧客満足度の改善にもつながった事例です。
ヒノキヤグループは、営業担当者の知識格差を解消するため、社内の営業マニュアルや商品説明資料をAIに学習させたチャットボットを導入しました。営業スタッフはチャット上で質問するだけで、ローン条件や最新設備の仕様など詳細な情報を即時に取得できます。
その結果、新人でもベテランと同水準の情報をもとに提案可能になり、対応スピードと提案精度が大幅に向上しました。受注機会を逃さない体制が整い、営業力の底上げに貢献した事例です。

AIを活用することで、マーケティングに大きなメリットが生まれます。なかでも次の4つは、多くの企業が効果を実感している代表的なポイントです。
これらのメリットは、いずれも「限られたリソースで成果を最大化したい」という多くの企業の課題に直結しています。だからこそ、AIをどこに、どのようなステップで取り入れるかが非常に重要です。次章では、実際にAIを導入する際の具体的な進め方を、初めての方でも迷わないよう順を追って解説します。

AI導入を成功させるには、闇雲にツールを入れるのではなく、次の4つのステップを踏むことが重要です。
まずは「何を改善したいのか」「どのような成果を目指すのか」を明確にし、それに必要なデータを整理することがスタート地点です。次に、目的に合ったAIツールを選定し、小さく試しながら効果を測定・改善していくことで、無理なく運用レベルを高めていけます。
これらのステップを踏むことが、AI導入の失敗リスクを最小限に抑えつつ、効果的にマーケティングに活用できる方法です。
なお、ログリー株式会社では、AIを使った“見込み顧客の可視化”をスモールスタートで始めたい企業向けに、Web行動から有望企業を特定できるサービス『ウルテク』を提供しています。導入直後から顧客の動きを数値で把握できるため、効果検証と改善を進めやすい点が特長です。サービス資料は無料でダウンロードできますので、下記からお気軽にご覧ください。

AIをマーケティングに取り入れる際は、運用面で押さえておくべき重要なポイントがあります。ここは多くの企業がつまずきやすいので、AI導入前に何が必要かを整理しておきましょう。
これらのポイントを押さえておくことで、AI活用にともなうリスクを低減し、運用効果を最大化しやすくなります。特にデータ管理や社内体制の整備は、多くの企業が後回しにしがちな部分ですが、導入後の成果に大きな影響を与える要素です。まずは自社の現状を棚卸しし、どのポイントに課題があるかを見極めることから始めてみましょう。

AIは、顧客分析やパーソナライズ、広告運用、コンテンツ制作など、マーケティングのあらゆる領域で大きな成果を生み出しています。今回紹介した事例からもわかるように、AIを適切に取り入れることが、意思決定の質向上や効率化、売上向上といった具体的な効果につながるのです。
なお、ログリー株式会社では、マーケティングにAIを活用できるサービス『ウルテク』を提供しています。企業のWeb行動から“今まさに検討を始めた見込み顧客”をAIが解析し、優先的にアプローチすべき企業を自動で可視化できるため、マーケティング・営業双方の成果向上に直結します。サービス資料は無料でダウンロードできますので、下記からお気軽にご覧ください。
A:はい、可能です。 AIは小規模データからでも行動の傾向をつかみ、利用を続けるほど精度を高められます。重要なのは、大量データの有無よりも、「継続的にデータを収集できる仕組み」を整えておくことです。
A:ツールから探し始めるのではなく、「課題」と「目的」から必要なAIを絞り込むことが最も重要です。 AI導入が失敗しやすい理由の多くは、目的が曖昧なままツール選定に走ってしまうことにあります。目的別のAIを分類すると下記のとおりです。
まずは自社の課題を明確にし、「何を改善したいのか」からツールを選びましょう。
A:“成功の定義(KPI)” を明確にするだけで評価できます。 AIの精度は数学的な指標よりも、「自社のマーケティング目標に対して効果が出ているか」で判断します。複雑に考える必要はなく、導入前後のビフォーアフターで比較してみましょう。
ウルテクについて、もっと詳しく知りたい方へ