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B2Bマーケティングの成果を最大化するためには、資料ダウンロード数などのコンバージョン(CV)のみを追うのではなく、商談や受注に直結する分析設計が不可欠です。本記事では、経営・マネージャー・実務の各層に応じたレポート設計から、計測ルールの標準化、GA4・MA・CRMを統合したデータ活用、さらには匿名訪問企業を可視化して商談へとつなげる具体的なノウハウを解説します。

目次
BtoBマーケティングの現場でよく耳にする悩みがあります。ウェブサイトのアクセス数は順調に伸びている、資料ダウンロードなどのコンバージョン(CV)も増えている、それなのに肝心の「商談」や「受注」が増えていかない。なぜでしょうか。
多くのマーケティング担当者が、月次レポートの作成に追われながら、この問いに頭を悩ませています。Googleアナリティクス(GA4)の画面をどれだけ眺めても、そこには「セッション数」や「イベント数」といった無機質な数字が並ぶだけで、なぜ商談につながらないのかという根本的な原因は見えてきません。
本記事では、アクセス解析の枠を超えて、サイト上の行動と商談結果をつなぐためのデータ分析設計について解説します。誰のためにデータを可視化するのかという設計から始まり、計測ルールの統一、そしてMA(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客関係管理)との連携、さらには「フォーム入力してくれない大多数の訪問者」をどう捉えるかまで。現場で成果を出すために必要な分析の勘所を、順を追って整理していきます。
BtoBの購買プロセスは複雑です。検討期間は数カ月から時には年単位に及び、その間に関与する担当者は複数人にわたります。情報収集もオンラインだけでなく、展示会や営業担当者との会話といったオフラインの活動が複雑に絡み合います。
このような状況下で、単に「ウェブサイトでの資料ダウンロード数」だけをゴール(KGI)や最重要指標(KPI)に据えてしまうと、実態を見誤ることになります。
あるSaaS企業のマーケティングチームで実際にあった話です。彼らは「月間リード獲得数」を至上命題として掲げ、ホワイトペーパーの量産や広告出稿に注力しました。結果として、目標のリード数は達成し、マーケティングチームは安堵しました。しかし、そのリードを受け取ったインサイドセールスチームからは不満の声が上がりました。「架電してもつながらない」「そもそも検討していない学生や競合調査ばかりだ」と。
結局、その四半期の商談数は目標を大きく下回りました。マーケティングチームは「数は集めた」と主張し、セールスチームは「質が悪すぎる」と反論する。この分断を生んだ原因は、分析と目標設定の視野が「リード獲得(CV)」で止まっていたことにあります。
この問題を解決するコツはシンプルです。CVをゴールではなく、あくまで「通過点」として扱うことです。そして、分析の設計図を描く際は、入り口からではなく「最終的に見たい状態」から逆算して決めます。
追うべき状態の例としては、以下のようなフェーズが挙げられます。
どこまでをデータとして追うかを決めると、必要なツールや連携の深さが決まります。もし「SQL」までをマーケティングの責任範囲とするならば、Webサイトのデータだけでは足りず、インサイドセールスの架電結果やCRMの商談ステータスとデータを紐付ける必要が出てきます。
「商談につながらない」と悩む場合、まずは分析のゴール設定が手前の「CV」で止まっていないか、見直すところから始めてみましょう。
データ分析というと、つい「あらゆるデータを網羅した完璧なダッシュボード」を作りたくなるものです。しかし、見る人によって必要な情報の粒度や判断したい内容は異なります。
同じ「先月の成果」というデータでも、経営層が見たいのは投資対効果であり、現場担当者が見たいのは今日のアクションリストかもしれません。これらをひとつのレポートに詰め込むと、誰にとっても使いにくいものになってしまいます。
レポートは、意思決定のレイヤーに合わせて3つの層に分けて設計することをおすすめします。
ここでの主語は「事業」や「投資」です。マーケティング活動全体がどれだけパイプライン(将来の売上候補)の創出に貢献したか、ROI(投資対効果)はどうなっているかを見ます。細かい施策の良し悪しよりも、予算配分や人員計画の判断材料となる数字が必要です。
ここでの主語は「施策」や「チャネル」です。展示会、ウェビナー、SEO記事、Web広告など、どのチャネルが効率よく良質なリードを連れてきているかを判断します。「このキャンペーンは継続すべきか、停止すべきか」という意思決定を支えるレポートです。
ここでの主語は「顧客」や「今日のアクション」です。特定の重要ページ(料金表など)を見た企業はどこか、昨日資料請求があったリードに誰が対応したか、といったミクロな情報です。異常値の検知や、インサイドセールスへの優先アプローチリストの提供などが主な役割となります。
このように「誰が、何を決めるために見るのか」を定義してからデータ項目を選定すると、レポートは単なる数字の羅列から、行動を促すツールへと変わります。
いざデータを分析しようとしたとき、最も大きな障壁となるのが「データの汚れ」です。特にWeb広告やメールマガジンからの流入を計測するためのパラメータ(UTMパラメータ)のルールが統一されていないと、後から正確な分析を行うことはほぼ不可能です。
BtoBは検討期間が長いため、数カ月後に受注した案件のきっかけが「半年前のあのメールマガジンだった」ということが往々にしてあります。そのとき、パラメータが適当に設定されていると、その成果を正しく評価できません。
計測ルールは厳格すぎるくらいでちょうど良いのです。以下のような標準的なルールを定め、チーム全体で徹底しましょう。
ポイントは、ツールに入力する前に「どういう切り口で分析したいか」を決めておくことです。媒体別で見たいのか、ターゲット別で見たいのか、訴求軸別で見たいのか。分析の軸を命名規則に埋め込んでおくことで、はじめて意味のある集計が可能になります。
BtoBマーケティングの分析に限界を感じる理由の多くは、ツールが分断されていることにあります。
Webサイト上の行動データ(ページビューや滞在時間)はGoogleアナリティクス(GA4)などの解析ツールに溜まります。一方で、誰がいつ商談化したか、受注したかというデータはMAツールやCRM(Salesforceなど)に溜まります。この二つの世界が分断されていると、「Webサイトをよく見ていた人」が「その後どうなったか」が追えません。
必要なのは、これらをつなぎ合わせ、「同じ対象を、同じ単位で追える」状態を作ることです。
これらを連携させることで、例えば「特定の業界(企業属性)からのアクセスが増えているが、商談にはつながっていない」といった課題や、「特定のブログ記事を読んだ企業は、商談化率が高い」といった勝ち筋が見えてきます。
この統合が進むほど、単なるアクセス解析ではなく、顧客企業ごとの文脈を理解して次のアクションを決める「アカウントインテリジェンス」の領域に近づきます。ウルテクのようなツールが目指しているのも、まさにこの統合されたデータの活用です。
BtoBサイトにおいて、フォーム入力(CV)に至る訪問者はごくわずかです。海外のABMツールベンダーである6senseの解説によると、サイト訪問者のうちフォーム入力に至るのは全体の約3.5%程度だと言われています。裏を返せば、残りの96%以上の訪問者は、誰なのかわからないままサイトを去っているということです。
この「見えていない96%」をどう扱うかが、BtoBマーケティングの伸びしろです。
ここで重要になるのが、匿名状態であっても「企業単位」で行動を把握するというアプローチです。個人名はわからなくても、「株式会社〇〇の人が、料金ページを何度も見ている」ということがわかれば、それは立派な購買シグナル(インテント)です。
国内でも、BowNowの「企業ログ」のように数十万社規模のデータベースを活用して訪問企業を可視化するツールや、どこどこJPのようにIPアドレスから企業情報を付与してダッシュボード化するサービスが存在します。
これらを活用し、匿名訪問を単なる「数字としてのアクセス」として処理するのではなく、「実在する企業の検討行動」として捉え直すことが重要です。
このようにデータを解釈し、具体的なアクションに落とし込むことこそが、本来の分析の目的です。
「どのページが見られたか」を細かく追いすぎると、木を見て森を見ずの状態になりがちです。URL単位の分析は重要ですが、それ以上に「この企業は何に関心があるのか」という意図(インテント)を理解することが大切です。
インテントを把握する際は、大きく2つの視点を持つと整理しやすくなります。
分析のコツは、個々のURLを追うよりも先に、自社のコンテンツや商材に基づいた「カテゴリ(テーマ)」設計を行うことです。
例えば、「コスト削減」「セキュリティ強化」「DX推進」「他社ツールとの連携」「ABM(アカウントベースドマーケティング)」といった具合に、ページをテーマごとにグルーピングします。
そうすることで、「A社は『セキュリティ』関連のページを重点的に見ているから、セキュリティ面の強みを訴求したアプローチが有効だろう」といった仮説が立てやすくなります。ページビューという「点」ではなく、興味関心という「面」で顧客を理解することで、営業担当者への引き継ぎ情報の質も格段に上がります。
BtoBの検討プロセスは一直線ではありません。行ったり来たりを繰り返します。そのため、単純な「LP別のコンバージョン率(CVR)」だけを見ていても、本当の勝ちパターンは見えてきません。
サイト改善やコンテンツ企画に活かすためには、以下の2つの視点での分析が有効です。
コンバージョン完了(サンクスページ到達など)をゴール地点とし、そこから「直前に見ていたページはどこか」「その前はどこか」と時間を遡って分析します。 これをすることで、CVの直接的なきっかけになったページだけでなく、検討の背中を押した「アシストコンテンツ」が見つかります。事例インタビューや、特定の機能解説ブログなどが、実は重要な役割を果たしていることに気づくかもしれません。
ユーザーが離脱している「穴」を見つけるための分析です。 「CTA(Call To Action)の表示」→「クリックしてフォーム到達」→「入力開始」→「確認画面」→「完了」という一連の流れの中で、どこで最もユーザーが脱落しているかを確認します。 フォーム到達率が低いならCTAのデザインや配置に問題があるかもしれませんし、入力開始後の離脱が多いならフォームの項目数が多すぎる(EFOの余地がある)かもしれません。
GA4の「探索レポート」機能などを活用すれば、こうした自由度の高い分析も可能です。国内でも多くの解説情報が出ているので、設定方法を調べてみる価値はあります。
Web広告の運用において、CPA(顧客獲得単価)は分かりやすい指標ですが、BtoBにおいてはCPAの安さだけを追求することが危険な場合があります。
「資料ダウンロードCPA 3,000円」のキャンペーンAと、「CPA 15,000円」のキャンペーンBがあったとします。一見するとAの方が優秀に見えますが、Aから獲得したリードがほとんど商談につながらず、Bからのリードは半数が商談化しているとしたらどうでしょうか。
最終的なビジネス成果に近い指標で評価する必要があります。
これらを見るためには、広告媒体のデータと、MA/CRM上の商談データを紐付ける必要があります。
また、「アシスト(間接貢献)」の視点も忘れてはいけません。認知目的のディスプレイ広告などは、直接のCVにはつながりにくいですが、その広告を見た数カ月後に指名検索で流入してくるケースがあります。ラストクリック(最後にクリックされた広告)だけで評価をして認知施策をすべて停止してしまうと、数カ月後にじわじわと全体のリード獲得数が減少し、刈り取る対象がいなくなってしまうという事態に陥りかねません。
ここまでデータの集め方や分析手法について述べてきましたが、どれだけ精緻な分析をしても、それによって人の行動が変わらなければ成果は出ません。
「データはあるけれど、現場が動いてくれない」 「インテントデータを見ても、営業は何をすればいいかわからない」
こうした懸念は、データ活用を進める際によく挙がる、もっともな指摘です。ツールを導入すれば自動的に売上が上がるわけではありません。データはあくまで「誰に、いつ、何を話すべきか」を示唆する地図に過ぎないからです。
そこで重要になるのが、分析の出口を「営業連携」に置くことです。そして、連携の初期段階で追うべきは、売上などの大きな数字よりも、まずは「プロセスの滞り」をなくす指標です。
当社が提供する「ウルテク」のようなツールを活用する際も、単に「企業が見える」という機能に満足するのではなく、それを使って「営業が迷わずアプローチできる状態を作る」「放置されているチャンスを拾う」という組織的な運用フローにまで落とし込むことが、成功への鍵となります。
ここからは、データ分析や組織連携を進めるうえで、現場の担当者が抱きがちな疑問について答えていきます。
Q1. やることが多すぎて、まず何から手をつけるべきかわかりません。
まずは「CV定義の見直し(どこまでを追うか決める)」と「UTMパラメータ命名規則の統一」の2つから始めてください。この2つは後から修正するのが難しく、かつ分析の土台となる部分だからです。ツール連携などの高度なことは、データが綺麗に取れるようになってからでも遅くありません。
Q2. 匿名企業の可視化は、個人特定につながりプライバシーの問題になりませんか?
一般的に企業可視化ツールが行っているのは、IPアドレスなどを元にした「企業単位」の特定です。「〇〇株式会社からのアクセス」まではわかりますが、「〇〇株式会社の山田太郎さん」という個人までは特定しません(メールアドレスなどが紐付いている場合を除く)。個人を同定する話と、企業単位の傾向分析は明確に分けて考え、運用や社内共有の際も「この会社が関心を持っているようだ」という表現に留めるなど、プライバシーには十分配慮して運用することが重要です。
Q3. 企業リストが多すぎて、営業が結局見きれません。
リストは出しすぎても活用されません。「ICP適合(自社のターゲット条件に合うか)」と「温度感(直近で再訪しているか、重要ページを見ているか)」の2軸でフィルタリングし、本当にアプローチすべき「今週のトップ10社」などに絞って渡すのが運用定着のコツです。
Q4. インテントカテゴリ(テーマ)はどう作ればいいですか?
自社の製品・サービスサイトのナビゲーションや、営業資料の章立てを参考にしてください。「機能」「課題」「業種」などで分類するのが一般的です。URLを一つひとつ追うよりも、自社の編集方針(ソリューション分類)に合わせてページを紐付ける方が、分析軸がブレにくくなります。
Q5. GA4だけで商談まで追えますか?
GA4はサイト内の行動分析には優れていますが、サイトを離れた後の「電話での会話」「商談」「見積もり提出」「受注」といったプロセスは管理できません。商談まで一気通貫で分析するには、CRMやSFAとのデータ連携(「つなぐ」設計)が不可欠です。
Q6. ウルテクのようなツールを導入したいですが、上司にどう説明すればいいですか?
単なる「分析ツール」や「リスト作成ツール」として紹介すると、コストと見なされがちです。「96%の匿名訪問者という機会損失を防ぐための投資」であり、「マーケティングと営業の連携を強化して、商談効率を上げるためのインフラ」として説明することをお勧めします。「匿名→インテント把握→次アクションの最適化→営業連携」という一連のプロセスを実現する手段として提案すると、ビジネス価値が伝わりやすくなります。
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