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経営者や役職者のためのABM戦略:あなたの企業はABMを採用すべきか?

はじめに

ABM(アカウントベースドマーケティング)は、業種や企業規模、IR情報、企業の施策、それぞれの課題ごとに情報を整理し、ターゲット企業を特定し個別最適化されたマーケティング戦略を指します。
日本で注目されてから数年経過しますが、企業の成長戦略において重要な役割を担っています。
しかし、すべての企業がABMを採用すべきか、その判断は経営者の手に委ねられます。
この記事では、ABM導入の検討に役立つ情報を提供します。

こんなお悩みを持つ経営者や役職者の方に向けた記事です

  1. 高いリード獲得コスト
    マーケティング活動に多大な予算を投じているが、そのコストに見合うリード獲得ができていない。
  1. マーケティング活動の投資対効果が低い
    投資対効果(ROI)が期待値に達しておらず、マーケティング戦略の見直しを検討している。
  1. 営業とマーケティングの連携不足
    これらの部門間で情報共有や戦略的連携が取れておらず、効率的なマーケティング・セールス活動が展開できていない。
  1. 顧客ニーズに合わせた施策ができていない
    ターゲット顧客の具体的なニーズに合わせたマーケティング活動や営業が難しく、誰にでも同じメッセージや広告施策や営業をしてしまっている。
  1. 競合との差別化
    競合他社との差別化が難しく、自社の価値提案が顧客に十分伝わっていないと感じている。

一つでも当てはまりましたら、ぜひ読み進んでみてください。

ABM(アカウントベースドマーケティング)と従来のリード獲得型マーケティングの違い

ABM(アカウントベースドマーケティング)と従来のリード獲得型マーケティングは、ターゲットのアプローチ方法において根本的な違いがあります。
ABMは、事前に選定した特定の企業(アカウント)をターゲットとして、その企業のニーズに合わせたマーケティング戦略を展開します。
一方、従来のリード獲得型マーケティングは、広い範囲の潜在顧客を対象とし、より多くのリードを獲得し、その中からアプローチをします。ABMは質に、リード獲得型マーケティングは量に重点を置く戦略と言えます。

特徴ABM(アカウントベースドマーケティング)リード獲得型マーケティング
ターゲット特定の企業(アカウント)幅広い潜在顧客
アプローチ特定の企業に合わせたメッセージ機能や特徴を幅広い顧客に向けた統一的なメッセージ
目的ターゲット企業の関与を深め、成約率を高める多くのリードを獲得する
戦略業種や採用、IR情報など様々な情報からターゲットを絞った戦略リード獲得率の高い施策を中心とした広範囲にわたる戦略
コンテンツターゲットのビジネスニーズに合わせたコンテンツ広い範囲の顧客に適用可能な汎用的なコンテンツ
成果の測定アカウントごとのエンゲージメントや成約率リードの総数やリードの質
セールスとの連携マーケティングとセールスが密接に連携セールスとマーケティングの連携は比較的緩やか

ABM導入の判断基準

ABM(アカウントベースドマーケティング)は、特定のターゲット企業に集中させるマーケティング戦略です。
そのため、導入を検討する際には、企業の事業規模や必要なデータが集められているのか、もしくは集められる環境があるのかといった要素が重要な判断基準となります。

ABMを導入すべき企業の事業規模

ABMを導入するかどうかを決定する上で企業の事業規模は重要なポイントです。
大企業や中規模企業では、ABMによる高度なパーソナライズと戦略的なアプローチが、大きな成果を生み出す可能性があります。
特に、認知獲得後、受注までに長い販売サイクルを持つB2B企業や、高価値なソリューションを提供する企業にとって、ABMは効果的な戦略です。

大規模企業:
大規模企業は、部署ごとに担当するリソースが多くあり、The Model型と言われるマーケティング部、インサイドセールス部、フィールドセールス部など部門ごとに担当領域が別れていることが多いです。
そのため、各部署と連携した上で特定のターゲットを絞り込み、それぞれ一貫したメッセージを戦略的に発信することができます。
そのためABMを実施することでより大きな取引を獲得するのに役立ちます。

中小企業:
中小企業でも、特定の業界やニッチ市場でABMを効果的に利用することが可能です。
リソースが限られている場合でも、ターゲットを絞り込むことで、マーケティングの効率を高め、より関連性の高いリードを獲得し受注率を高めることができます。

ABMに必要なデータとその重要性

ABMを成功させるためには、適切なデータの収集と分析が不可欠です。
ターゲット企業の選定、ターゲットに合わせたコンテンツの作成、効果的なコミュニケーション戦略の開発には、以下のようなデータが必要になります。

企業情報:
業界、企業規模、地理的位置、年間収益などの基本的な企業情報。

意思決定者情報:
ターゲット企業内のキーパーソンの役職、役割、関心事、行動パターン。

エンゲージメントデータ:
ターゲット企業のウェブサイト訪問、コンテンツへの反応、イベント参加履歴など、過去のエンゲージメント履歴。

顧客の課題とニーズ:
ターゲット企業が直面している課題や、解決したいニーズに関する情報。
これらのデータを活用することでABM戦略の基盤を整えます。
これらのデータに基づいてターゲット企業を選定し、パーソナライズされたアプローチを計画することで、マーケティング活動の効果を最大化することができます。
データは、ABMの方向性を定め、成功に導くための指針となるため、その収集と分析に時間をかけることが大切です。

ABMにおいてマーケティングとセールスの重要な連携

ABM(アカウントベースドマーケティング)の成功には、マーケティングチームとセールスチームの間の緊密な連携が不可欠です。
企業の成長を加速させるためには、これら二つの部門が共通の目標に向かって協力する必要があります。
以下では、効果的なチームワークを構築し、コミュニケーションを最適化するための戦略を探ります。

効果的なチームワーク構築法

共通の目標設定
マーケティングとセールスの目標を一致させることが重要です。ABM戦略における共通のKPI(重要業績評価指標)を設定します。例えば「有効商談獲得」と「有効商談獲得成功のポイント」を共有することを成果にするなど、両チームが同じ結果を目指して動くようにします。

定期的なミーティングの実施
定期的に合同ミーティングを開催し、進捗の共有、課題の議論、次のステップの計画を行います。これにより、両チーム間の認識齟齬や評価に対する価値観の違いを防ぎます。

部門の目的と責任の明確化
共通KPIに対する各部門の目的とチームメンバーの役割と責任を明確にし、ABM戦略におけるそれぞれの貢献をはっきりさせることが大切です。

成功事例の共有
有効商談獲得に繋がった理由、背景や商談の中で有効商談に変えられた成功事例や戦略を共有することで、チームワークの向上を図り、成果を最大化させます。

コミュニケーションの最適化

コミュニケーションツールの統一
チーム間のコミュニケーションツールを統一し、情報共有の効率を高めます。Slackやチャットワークなどのプラットフォームが有効です。

フィードバックループの確立
セールスチームからマーケティングチームへの定期的なフィードバックを促し、マーケティング戦略のスピーディな改善を可能にします。顧客からの直接のフィードバックは、ターゲット企業へのアプローチを改善する貴重な情報源となります。例えばzoomなどのオンラインミーティングの様子や議事録を共有することでリアルな情報をフィードバックすることで、具体的な改善が可能です。

共有ダッシュボードの利用
MAやCRM、ABMツールなどの活用、もしくはスプレッドシートなどチーム間でリアルタイムの進捗状況や成果を共有するためのダッシュボードを設置します。これにより、両チームが同じデータをもとに意思決定を行うことができます。

育成とトレーニングの提供
ABM戦略においてマーケティングとセールスがどのように協力するかについての定期的な営業ロープレを実施します。これにより、チーム間の理解を深め、効果的な協働を促進します。

マーケティングとセールスの連携を最適化することで、企業はABM戦略を成功に導くことができます。共通の目標に向かって効率的に動くことが、顧客満足度を向上させ狙ったターゲットの獲得から有効商談、そして受注につなげる鍵となります。

ABM施策の成功事例

以下に、実際の事例を基にABM施策のポイントをまとめましたのでぜひご参考にしてください。

成功事例①

サービス名: Musubu(ムスブ)

提供企業: 株式会社デジアサ

サービス内容: デジタルサービス部門での営業効率向上と新規事業の売上加速を目指し、企業リストの精度調整とアポイント数コントロール、成約率向上を実現するためにMusubuを活用。

利用企業名:株式会社デジアサ(朝日放送グループホールディングスの子会社)

導入目的と課題

導入目的: 新規事業の売上拡大と営業効率の向上。

課題: 新規事業立ち上げに際して、効率的なテレマーケティング活動を行うための高品質な企業リストが不足していた。

具体的な施策内容

テレマーケティングの最適化: 新規事業拡大を目的としたテレマーケティングでの企業リスト活用を検討し、成約につながる企業の検索条件を特定。

アポイント数の調整: 1日のアポイント数を最適化し、一時期は1日6件以上のアポイントを達成。

インサイドセールスの強化: リスト活用を通じて営業活動にレバレッジ効果を発揮し、事業成長を加速させます。

成功のポイント

精度の高い企業リストの利用: Musubuの導入により、目標とする企業セグメントにマッチした高品質なリストを得ることができた。

営業効率の大幅な向上: アポイントや成約につながる企業に共通する検索条件の特定により、営業の効率化を実現。

フレキシブルなアポイント数の管理: アポイント数を適切にコントロールし、成約率の向上に貢献した。

成功事例②

サービス名: FORCAS

利用企業名: 株式会社ウィルゲート

導入目的と課題

導入目的:

インサイドセールスの生産性向上

ハウスリストへの有効なアプローチ手段の獲得

課題:

インサイドセールスの商談創出数が不足

ターゲットを定めても対象企業のリードを特定できない

具体的な施策内容

ターゲット企業のプロファイル練り込み: 営業現場の声を基に、FORCASの分析でセグメントを決定。

セミナー企画とセグメントメール配信: ターゲット企業に最適なコンテンツを考え、セミナーを企画。セグメントに基づいたメール配信でクリック率とセミナー申込み率を向上させる。

インサイドセールスの自走: インサイドセールスがマーケターのように仮説を立て、リストを作成してアプローチする。

成功のポイント

生産性の3倍向上: インサイドセールスの生産性が3倍に向上し、商談獲得率も3倍になった。

戦略の実行加速: ハウスリストを重視する戦略の実行がFORCASにより加速。リストを大切にしながら効果的にアプローチできるようになった。

チームの意識変化: インサイドセールスのメンバーがアプローチする先のリストを自ら楽しんで作り、顧客訪問まで積極的に行うようになった。

ABM実施に向けたデータマネジメント

データマネジメントとは、企業が保有する情報やデータを整理し、それを使って具体的な目標達成に役立てる方法のことです。
簡単に言えば、会社で集めた大量の情報(顧客データ、製品に関するデータなど)を上手に整理・分析して、より良いマーケティング戦略を立てたり、お客様に合わせたサービスを提供したりするための活動です。

データマネジメントの流れを以下にまとめます。

ABM(アカウントベースドマーケティング)を実施する上でのデータマネジメントは、「プロダクトデータの活用法」と「CRM/SFA/Maツール」という2つのポイントが重要になります。

プロダクトデータの活用法

プロダクトデータとは、製品やサービスの利用状況、顧客からのフィードバック、製品の性能指標など、製品に関するあらゆるデータのことを指します。
ABMにおいてプロダクトデータを効果的に活用する方法には、以下のようなものがあります。

ターゲット企業の特定:
プロダクトデータを分析し、どの顧客が最も価値を見出しているか、または特定の機能に興味を持っているかを特定します。
これにより、ABMのターゲット企業を精度高く選定することが可能になります。

最近ではインテントデータを活用して「ターゲット企業が自社や競合企業を検索している」「関連する情報をこまめに探している」など自社サイト以外の行動データを活用して購買意欲の高いターゲット企業を特定することも可能です。

以下に参考サービスURLを記載しましたので、ご興味ございましたらご覧ください。

〜ウルテク〜

顧客の課題に合わせたコンテンツ作成:
各ターゲット企業が抱える特定の課題やニーズに対応するためのカスタマイズされたコンテンツを作成します。製品データを基に、そのアカウントに最適なソリューションやケーススタディを提供することで、エンゲージメントを高めることができます。

成果測定と最適化:
ターゲット企業からのフィードバックや製品の利用状況を追跡し、ABMキャンペーンの効果を測定します。これにより、戦略の微調整や改善点の特定が可能になります。

CRM/SFA/MAツールの活用

CRM(顧客関係管理)、SFA(営業支援)、MA(マーケティングオートメーション)ツールは、顧客データの一元管理、営業プロセスの効率化、マーケティング活動の自動化を可能にします。
これらのツールをABMに活用する方法には以下のものがあります。

顧客データの一元管理:
CRMツールを使用して、ターゲット企業に関する全ての情報(連絡先情報、過去の取引履歴、コミュニケーションの記録など)を一元的に管理します。これにより、ターゲットに対する深い理解と、セールスおよびマーケティング活動の効率化が実現します。

マーケティングを自動化:
MAツールを利用して、ターゲット企業に対するメールキャンペーンやソーシャルメディアキャンペーンを自動化します。パーソナライズされたメッセージを適切なタイミングで自動送信することで、エンゲージメントの向上を図ります。

営業プロセスの支援:
SFAツールを活用して、セールスチームの活動(アポイントメントの設定、商談の進捗管理など)を支援します。これにより、セールスプロセスの効率化と成約率の向上が期待できます。

データマネジメントの最適化とこれらのツールの活用により、ABM戦略はより精度高く、効果的に実施することが可能になります。これにより、ターゲット企業との関係を深め、最終的には売上の増加につなげることができます。

最後に:あなたの企業はABMを採用すべきか

ABM(アカウントベースドマーケティング)は、マーケティングとセールスの効率化、顧客関係の強化、そして最終的な収益向上を目指す企業にとって非常に有効な戦略です。
しかし、全ての企業がABMを採用すべきかというと、それは一概には言えません。ここでは、ABM導入のメリットと課題を理解し、導入を検討する際のチェックリストを提供します。

ABM導入のメリットと課題

メリット

高いROI:
ターゲットに特化したマーケティング活動は、一般的なリード獲得戦略に比べて成約率が高く、投資対効果(ROI)の向上が期待できます。

顧客関係の強化:
顧客のニーズに合わせたパーソナライズされたコミュニケーションは、顧客との関係を深め、長期的な顧客ロイヤルティを築く助けになります。

効率的なリソース活用:
マーケティングとセールスのリソースを特定のターゲットに集中させることで、無駄なリソースの浪費を防ぎます。

課題

データマネジメントの必要性:
成功的なABM戦略には、正確で包括的な顧客データの収集と分析が必須ですが、これには高度なデータマネジメント能力が求められます。

セールスとマーケティングの連携:
ABMはセールスとマーケティングの緊密な連携を前提とするため、部門間の壁を乗り越える必要があります。

初期投資:
特にデータ収集・分析ツールや顧客管理システムへの投資が必要になることがあり、初期コストがかかる場合があります。

ABM導入決定のためのチェックリスト

ABMの導入を検討する際に、以下のポイントをチェックリストとして確認しましょう。

ターゲット市場の明確化:
企業のターゲット市場が明確で、特定の企業や業界に対する製品・サービスの適合性が高いか。

顧客データの豊富さ:
既存顧客や潜在顧客に関するデータが豊富にあり、それらを分析・活用できる体制が整っているか。

セールスとマーケティングの連携体制:
セールスチームとマーケティングチームが協力し合い、共通の目標に向かって活動できる組織文化があるか。

リソースの確保:
ABMの導入と運用に必要なリソース(人的資源、予算、技術)を確保できるか。

長期的な視点:
ABMは短期間での成果が出にくい戦略のため、長期的な視点で取り組めるか。

これらのチェックリストを基に、自社の現状を慎重に評価した上で、ABMの導入を決定してください。ABMが正しく実施されれば、企業のマーケティングとセールス活動を大きく変革し、持続可能な成長を促進する強力な手段となり得ます。

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